料理
54話
(うぅぅ、恥ずかしい... よりにもよってリク君にお姫様
抱っこされるなんて 死にたい...)
俺とカエデは現在大岩から逃げている
「お姉ちゃんとリク君遅いッスね」
「ん、確かに遅い遅い でもリクリクなら大丈夫」
「あそこに居るのって... カエデもう少しで皆と合流
できるから痛み我慢してくださいよ」
(そんなことより降ろしてほしいわよ...)
「あ、リク君来た…ッス...」
「カエデお姫様抱っこ」
「そう見えるッスよね...」
突き当たりの壁に辿り着き、右通路に隠れるように
ネオとカリンがいた
「ふぅ、やっと合流できましたね」
「そ、そうッスね...」
「無事で良かった良かった」
(そろそろ、降ろしてほしい...)
「あの所でリク君はお姉ちゃんの事をお姫様抱っこを
している理由ってなんッスか?」
「あぁ、カエデを助ける時に色々あってね あ、カエデ
もう安全なので降ろしますね」
「えぇその方が助かるわ」
「まぁリク君がそう言うなら深くは聞かないッス
それよりもこの右通路すぐ壁なんッスよ」
大岩はそのまま転がり壁に激突する
「リクリク...」
「となると、この行き止まりの通路は大岩から隠れる
唯一のポイントだったのかもしれないわね...」
「確かに隠れてくださいっていう感じがしますね 」
「はぁ長い道のりだったッス」
「ん...確かにいっぱい走って疲れた疲れた」
だが、ここで一つの疑問が生まれてしまう
「この通路は行き止まり、ということは三階層に続く階段は一体どこにあるのかしら?」
大岩に追われている時にも特に曲がってはいない、
一本道だった上に走っている最中にも他の通路を見た
記憶すら無い
つまり、そう二階層を探索した結果今の所三階層に
向かう階段を発見できていないということだ
「まぁ、ひとまず探索で疲れたと思うから今日はここ
で休みましょう サエルには事前にメールで迷宮探索をするって事を説明しておいたわ」
「安心安心」
「やっと休めるッス...」
モンスターに寝込みを奇襲されないように天井ギリギリまでの高さの《血壁》を創る
何故《血壁》を天井ギリギリの高さにして創ったかというと、
もし壁で通路を完全に防いでしまったら、酸欠の恐れ
があると思ったからだ
「それでご飯どうするッスか?」
「この前作った料理なら、インベントリにウルフ肉と
ウサギ肉が残っているので作りましょうか?」
「楽しみ楽しみ」
俺は、早速夜ご飯の準備に取り掛かる
パンに関してはカリンが持っていたフランスパンを
今回は4等分にして使う
おかずは、ウルフの肉を焼いて
サイコロステーキ状にする
でも今回もパンと肉じゃお腹いっぱいにならないと思い、ウサギ肉を使ったスープも作ってみることにする
「え、リク君料理も作れるの?」
「そうッス この前リク君の手料理食べたんスけど
めっちゃ美味しかったッスよ」
「美味美味」
「リク君、私も料理のできるけど、リク君何か手伝う
ことはあるかしら?」
「それなら、フランスパンに切れ目を入れてそこに
レタスをちぎって挟んでください」
「えぇ分かったわ (包丁はないから『神重』で切ろう
かしら)」
カエデは鞘から『神重』を抜いて、構える
「それじゃあフランスパンに切れ目入れるわね」
「あぁ、俺は調理に集中するのでお願いします
そこに材料は置いておくので... それとできれば作ったサイコロステーキも挟んでおいてください」
「了解したわ」
カエデは『神重』を振り抜き空中に幾つもの斬撃を
固定していく
その後四等分にされているフランスパンを同時に空中に投げ斬撃を発動する
「あ⋯(勢い余ってフランスパン切り裂いちゃったわ)
あの...リク君フランスパンって何個かあるのかしら?」
私はリク君にバレないようにインベントリに切り裂いたフランスパン三つを急いでしまう
「えぇ、ネオさんからもらったので足りないようでしたらネオさんから受け取ってください まだ持っているって言ってたので」
「わ、分かったわ ネオから受け取ってくるわね」
「了解〜(フランスパン三つくらい置いたけど、どれだけ作るつもりなんだろう?) まぁいいか〜」
俺は料理に集中する
「ねぇ、ネオ フランスパンって余ってるかしら?」
「ん、余ってるけど料理に使用使用?」
「そ...そうなのよ 余ってるフランスパンをネオが持ってるってリク君が言ってたから貰おうと思って...」
(まさか、切り裂いたのバレたのかしら...)
「分かった 五個持ってるけど何個必要必要?」
「全部貰ってもいいかしら?」
「ん、構わない」
「助かるわ ありがとね」
「お礼要らない ご飯楽しみにしている 腹ぺこ腹ぺこ」
「え、えぇ 作り終わったら皆で食べましょう」
(は、早く切れ目入れないと)
「こ、今度は切先でゆっくり切りましょう」
急いで切れ目を入れていく
「つ、次はレタスを切りましょう」
(さすがにレタスは刀で切っても大丈夫でしょう...)
レタス一玉を空中に投げて刀で切り刻もうとする
その時
「カエデ、フランスパンとレタス終わりまし⋯た?」
(あれ?俺の目おかしくなったのかな?レタスを刀で切り刻もうとするカエデの姿が見えるんだけど)
「って、なに刀で切り刻もうとしているんですか!」
「ごめん ダメだったかしら?」
「いや切り刻むのは別にいいんですけど、何も『神重』でやらなくても 俺に言ってもらえば《血液創造》で包丁やタガーを創ったのに」
「そ、そうなのね でもレタスを斬れば終わるから
今度料理を作る時に頼むことにするわね」
俺とカエデはフランスパンにサイコロステーキやレタスそれに俺がさっき切ったトマトを挟み作っていく
「そういえばさっき渡したフランスパンもまさか『神重』で斬ったんですか?」
「え、えぇ 最初のは勢い余って切り裂いちゃって
それでネオから新しいフランスパンを貰って...」
「あ、そうだったんですね」
「ごめん リク君 切り裂いちゃったフランスパンは
料理に使えないと思ってインベントリに入れているわ」
「構いませんよ それも渡してくれますか?」
「え、えぇ分かったわ」
俺は横に上下に分かれたフランスパンを受け取り
その間に材料を挟み四等分に切っていく
「これで料理に使えましたよ」
「ありがとう 助かったわ」
「それとできれば、この事は皆に秘密で...」
「えぇ構いませんよ 二人だけの秘密ですね」
「ふ、二人だけの秘密 そ、そうね 絶対秘密よ!」
「はい、俺からは言いませんから安心してください」
(リクリクにお姫様抱っこ羨ましい...)
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