表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインと悪役令嬢を幸せにしてその後をのんびり眺めるつもりが巻き込まれたモブの話  作者: 綴織仄


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/3

3.まだゲームは開始してないんですが!

 やる気が出たついでにぱかりと目が開いた。


 のっぺりとした木製の天井が見える。頭を支える枕は羽毛なのか実家のものより柔らかさが際立っている。現代で言うタオルケットの代わりにシルクの掛け布団が私の身体に掛かっていた。さわり心地が家の布団より半端なく良い。

 多分ここは保健室だろう。くるりと視線を回してみれば部屋の中は一級品を扱っていることが伺える。うん、さすが王家御用達。設備がすごい。

 後頭部と顔面が地味に痛みを訴えてくるけれど、意識は正常で私がこの世界で生きている人間であることを示しているので我慢しよう。

 というか、ご令嬢のあのか弱い細腕から人間を昏倒させ、尾を引くような痛みを出せる力があるのか不思議すぎる。もしやモブってことで私がか弱い設定にでもなっているんだろうか。


「まぁ!」

「…ようやく目が覚めたようですね」

「気分はどうだい?」


 天井を眺めながら考えていると仕切りカーテンがそっと開かれ、その向こうから淑女2人と1人の美丈夫が顔を覗かせて微笑んだ。その微笑みは輝く太陽のように見えた。うん、顔が良いな。

 淑女は言わずもがな、この世界のヒロインの2人だ。

 そして、男の方は…、なんかこの顔…見覚えがあるんだけど…。


「もう最後の授業も終わったぞ。こんな時間まで気絶しているなんて可哀想に…。リディア、お前どんだけの馬鹿力で殴ったんだよ…」

「そんなに力は入れておりません!」

「そうは言っても平手打ちでも当たり所が悪ければ十分な武器になりますからね」


 そしてさらに男性2人がその後ろから姿を現す。

 またこの二人も整った顔立ちをしている。

 何故か分からないけれど、私の目の前には顔面偏差値高レベルの人間が5人も並んでいて目のやり場に困る。

 眺めて良いと言われたら眺めたいけれどさすがに不躾すぎるだろう。

 視線を彼らの胸元や腰に定めながら時々チラリと盗み見る。


「おい、こいつ黙ったままだが大丈夫か? …殴られて記憶でも飛んだか?」

「ウルツ様!またそういったご冗談を!」

「リディア様、私たちが彼女を傷付けたことに変わりありませんわ」

「それは大変だ。クロム、先生を呼んできた方がいいだろうか?」

「殿下、そういったことは私が対応いたします。そしてクレース様、落ち着いて下さい。リディア様も。お2人ともまずは彼女に話すことがあるでしょう」


 私は眼前の美男美女にぼーっと見惚れていました。ほんとすごいわ。大団円のスチルかこれは。

 そしてメガネを掛けた令息に促されたリディア様とクレース様が私へ向き直り、ゆっくりと頭を下げた。

 エッ!?何!?


「モルデン嬢、この度はわたくしたちの諍いに巻き込んでしまい申し訳ありません」

「大変申し訳ありませんでした。…そして、わたしくちたちを止めようとされたその勇気に感謝を」

「また、大切なお顔を傷付けてしまい重ねてお詫びを申し上げます」


 私の思考はフリーズした。

 美しく気高いご令嬢が私に頭を下げている。え、なにこれ。

 顔?いや、私モブです!ゲーム内では顔がないただのモブです!

 会話画面に表示されるアイコンがぼんやりしてるモブです!! 

 ご令嬢が頭を下げてお詫びされる顔じゃ無いですーーーー!!!


「お、おふたりとも!顔を上げて下さい!私はなんともありません!どうか、早くお顔をあげてください!」


 必死だった。王家に次ぐ高位貴族のご令嬢2人に頭を下げさせるってなんだこれ。

 なんとか顔を上げてもらい私はほっと息を吐く。心臓止まるかと思った。


「昏倒して顔も腫れてるのに許すなんて、お嬢ちゃん心が広いな~」

「からかうんじゃありませんよ、ウルツ」

「しかしこの傷が治るまでは我々で彼女をサポートするべきだろう」


 そして頭上で飛び交う会話の合間に呼ばれる名前とじっくり拝んだ彼らの顔で私は男性3人のことを思い出した。


 わりと砕けた話し方をするのは、プライス侯爵家の長男ウルツ様。

 メガネをかけてツンとして固めの話し方をするのは、デュルレ侯爵家次男のクロム様。

 そして太陽の微笑みを浮かべて話しているのはこのセレスタイン国の、次代の太陽となるユーク・セレスタイン殿下だ。


 つまり、ゲームの醍醐味である攻略対象の男性だ!

 なんですぐに思い出せなかった私!


 2次元の男子キャラってあまりにも理想を求めすぎて、3次元になると「残念」って思うことがたまにあるんだけどこの現実ではそうはならないということを思い知らされた。

 あまりにも世界に馴染みすぎている。顔が良い。

 顔が良すぎて世界が彼らの基準に合わせているんだろうかと思い始めた。

 ヒロイン2人のご尊顔を見たときも思ったんだけど、ゲームより美しすぎて眩しい!

 2次元からのグラフィックとか効果補正とか思ったけど、現実も、全然、悪くない!!!

 グラフィックからはあまり読み取れなかった男性の身体の厚みとか、仕草とか、ヒロインとの身長差とか、なんか、すごい。あと何回でも言うけど、顔が良い。

 ああ、ヒロインと並んでいるだけでも絵になっているのに、この人達が恋愛しちゃうの?

 は~、なんなら今すぐ抱き合って欲しいくらいだ。


 いやいやいやいや、違う!

 私が考えてるのはそんなことじゃなくて!



 なんでメインキャラが、私の前に全員揃ってるのかな???

 まだゲーム開始してないんだけど!?!?



1-3話、加筆修正しました。

この後はご令嬢ご令息達に可愛がられるモブの生活が始まったり、モブを溺愛する(イケメン)にご令嬢2人が色めき立ったり、ご令息達がモブを囲い込もうとしたりする話があるのですがここまで。

読んで下さってありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ