↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
74/74

74.治療の代償。

お久しぶりです。

 一筋の流れ星がとある星の上空に現れた。






 だんだんと地表に近づいてくるにつれ……流れ星だと思われた物体が、実は直径40メートル近くある円盤である事が分かった。大きな音を立て、地上に着陸する。



 銀色に、てらてらと怪しく光る円盤から現れたのは……宇宙服を着た、イルカのような顔をした宇宙人だった。本来は無いはずの二つの足ヒレが付いている。それを器用に動かし、ヨタヨタと二足歩行で人里まで歩いて来た。

 突然の未知の生物の来訪に、周囲の人々は大いに驚き、沢山の人が集まってくる。



 『キュキュッ……キュイ……キュイキュイ』



 この星の言葉では無い、未知の言語を使って意思疎通を図ろうとするものの、宇宙人の言語が分かるものなんてまずいない。



 騒ぎを聞きつけた警官が拳銃を片手に近づいてみた所、何やら腹を抑えて苦しんでいる様子。

 病気なのだろうか?と警官は訝しんだ。

 やがて何かを訴えていた宇宙人はプルプルと体を痙攣させた後……そのままピクリとも動かなくなってしまった。














 これはいけない、と警官の連絡を受けた政府の秘密病院に搬送された宇宙人だったが、当然ながら医者は困惑した。


 まずは大統領に連絡し、指示を仰ぐべきでは?


 獣医師を呼べ。この場合は水族館の館長もついでに。などなど。




 とにかく大騒ぎになった。


 ただでさえ周囲が困惑する中、未知の生物の命を繋ぐ為、医者は奔走する。




 そして獣医学者、動物学者の観察の結果、この宇宙人の病気がおそらくこの星でいう所の肺炎に近いものではないか、という事を推察された。


 手探りではあるが、着実に治療は進んでいき、イルカ星人の病状はようやく安定を見せたのだった。














─────────


















───治療から10日後。




「キュイキュイ!キュイキュイキュイ」




 衰弱していたイルカ星人は意識が戻ったようで、政府関係者を安心させた。


 宇宙人の治療など、前代未聞ではあったものの、治療に携わった方々の奔走もあっての成果だった。


 ……イルカ星人は男性医者に何かを話しかけていたが、その意味を分かる者はもちろんいない。






「キュイキュイ。キュキュ!」






 看護士が腹の包帯を取り換え、政府の役人がその様子をビデオカメラで撮影する。


 もし、この宇宙人がこの惑星に敵対的であったなら……緊張は絶えない。


 だが幸いな事に、一ヶ月も経つと宇宙人の身体は完治し、その身柄は政府の管理する大使館へ移送される事になった。










「キュキュ!」




 イルカ星人が何やら興奮した様子で空を指をさす。指の先には、また一筋の大きな、大きな流れ星。


 それが降り立つと、何とも見覚えのある、てらてらと光る大きな円盤が現れ……。


 中から、また新たなイルカ星人が現れたのだった。


 




「キュイ!キュイキュイ!」


「キュイ。キュキュ」






 鳴き声を上げ、喜びを表現する宇宙人達。


 なるほど、負傷していた最初のイルカ星人は宇宙船から救助信号を発していたらしい。


 突発的な病に罹り、訳があってこの星に不時着して救助を待つ事にしたのだろう。








 しばらくすると、胸に保安官のような星バッジを付けたイルカ星人が役人の元にやって来た。




『ア……ア……翻訳装置は無事に作動しているようですな。この度は我が星の民を救助して下さったようで、感謝申し上げます』






 きゅいきゅいと話すイルカ星人。


 役人はひとまずホッとしながらにこやかな笑みを浮かべる。






『しかし……それはそれとして。非常に残念なのですが、救助に関わった方々に我々の星の取り調べを受けて頂かなくてはなりません。まずはこの星に、銀河惑星同盟に加入して頂いてからになりますが……』






 突然の物騒な発言に驚く役人。


 言葉の意味が分からず、慌てふためいた。






「我々は突然やって来た病気の宇宙人を助けただけですよ?あなたの民は助けを求めていました」


『はい、その通りです。その点は感謝申し上げます』


「では、治療に何か問題が?何かまずかった……としても人命救助だったはずでは?その責任は我々にはありません」


『いえ。治療行為そのものに問題はございません。医療が未発達な星においても、手探りの中で治療して頂いたようで、その点にも感謝申し上げます』






 役人は意味が分からず狼狽する。






「だったら!我々はあなた方に対し、敵愾心を持ってなどいない。こちらで取った医療データや宇宙船の内部構造等が把握されるのが問題なら……」


『いえ。その点も問題は無いのです』


「では……一体何が問題なのですか?」






 

『実はですね。我々のドーファン星、並びに銀河惑星同盟では、女性を辱める事は何があっても許されないのです。同種のオスは勿論、それが貴方達異星人のオスであっても許されません』


「……どういう事です?」


『オスはオス。メスはメスの医者が治療を行わなくてはならない決まりなのです。お互い嫌な思いをさせない決まりでして。例外はありません』


 イルカ星人は申し訳無さそうに答えるのだった。

 乳腺外科医せん妄事件から着想を得ています。

 私は女性も、男性も救われなければ駄目だと思いました。


 今回は、「異性に触れるのが禁忌な世界になったらどうなるのか」をテーマに書きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます。 よろしくお願いします。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。