表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/73

4.猫の楽園へようこそ。

※今回短めです。

 ここは猫耳、猫しっぽ、世界の隅々まで猫の獣人でいっぱいの世界、キャットピア。

「ようこそ猫の世界へ!」


 元気に挨拶をする案内役はミーコ。

 百年に一度この世界に迷い込む旅人、チーキュからやってくるニンゲンを導く、大切な役割を任されている。




 ニンゲンは猫とは違ってしっぽが無く、耳もヘンな生き物だが、その実、頭が良くて様々な知恵を与えてくれる。これまで野生の動物を狩り、森の中で他の知恵なし大型動物に襲われないかと震えていた我が種族の祖先を助けたのがニンゲンだった。


 ある時は、火の起こし方を教え、罠の張り方や武器の作り方を広めてくれた。畑に種を植えたり、干し肉を作ったりと、冬でも食べ物に困らないようにしてくれた。


 またある時は、木を倒して家を一緒に造ってくれた。生活の場が一気に広がると、ニンゲンは船の造り方を教えてくれて、遠くの魚や新しい島へ向かう事が出来るようになった。


 空を始めて飛んだのはちょうど百年前。ミーコには原理が分からなかったが、グライダーなる乗り物を設計したのもニンゲンだ。まだまだ危険で改良が進められているが、全ての猫獣人にとってニンゲンとは、まさに救世主。憧れの存在なのだ。


 かといって、別に知識を強要する訳では無い。そんな事をすれば今まで恩を受けて育った先祖から叱られてしまう。快適に、楽しく、のびのびとこの世界で過ごしてもらい、これまでの恩返しをしようというのがこの世界の総意なのだ。





「ところで……」

ミーコは不思議そうに首を傾げた。

「具合が悪いようでしたなら、医者をお呼び致しますが?」






「ゲホッゲホッ……私、猫アレルギーなんだけど……」

先程から目を真っ赤に充血させて咳き込むニンゲンは、辛そうにそう言って涙を流した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いいですねこの緩急
[一言]  いやアレルギー持ちにとっては地獄やろ‥‥‥。  
[良い点] 思わずクスッと笑ってしまいました。前三話からの落差よ笑。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ