3.邪魔できない領域
翌日、琉と茜は、X組の教室へ向かった。
教室はいつも以上にガランとしていて、人気がなかった。いるのは帝と桜だけだった。
恐らく皆、例の作戦の支度をしているのだろう。教室にいた帝と桜を捕まえて、琉は声を上げて言った。「いい加減にしろよ!お前等は人の命も簡単に奪う事が出来る悪魔か?こればっかりは、ふざけている…。殺人罪で訴えるぞ?」しかし、琉がこう言っても、帝は薄ら笑いをしながら。
「人の命ねぇ…。でも、能力のない馬鹿は死ねばいいんだよ?死しかないんだよ…。君には耳にたこが出来るほど言ったはずだよ?それでも、分かんないの?」命の有り難味、そして、能力がある者のみが生きればいいと考えるX組の考え方に腹が立っていた。茜は「じゃあせめて、爆弾を仕掛けた場所を教えなさい!」と、説教の如くに二人に言った。桜が、「あら、根暗な茜に説教されるとはね…。こんな日が来るなんて夢にも思ってもみなかった。」嫌味たっぷりに呟く。
茜は桜に「あれは、フリよ!そう見せかけていただけよ!そうしたら、気が緩むでしょ?」帝と桜は大笑いした。怒った茜が、「何?私、変な事でも言った?」と、声を上げた。帝は笑いを抑え、「そうか、そうか、爆弾の場所ね…。でも、言ったって、見つかりっこないさ。」と、呟いた。
琉は「そんな事、分かんねぇだろうが!?どこだよ、言え!」見るに見かねた二人は、笑いながら、「仕方ないな。僕もそこまで鬼じゃないし…対抗馬がないのも面白くないからヒントだけ、ヒントだけあげるよ…。」と、人を馬鹿にしたような言い方をした。
「ヒント…だと?」琉は怒りを通り越して呆れた。帝は「そうさ、ヒント。一度しか言わないよ?爆弾を仕掛けているのは、沢山の死者、そして、大怪我が出るんだ。テストで死者百人は死ぬって言ったけれど、そうだね…それ以上は確実に死ぬんだよ。だからテストの中止はありえない。そんな大被害が起きるって場所は、まず近場じゃ病院か、デパート、しかも、今はプロ野球のオープン戦と選抜高校野球だね。だから甲子園やドームって事もあるかもねぇ…。そうそう、空港とかも怪しいかもよ?」全く場所が絞り切れなかった。人をからかうような言い方で、ヒント出す帝に切れた琉は完全に信頼し切れなかった。「フン、一週間以内に探してやるさ!見ていろよ、お前等。絶対に死者を出さないようにしてやる!」と、毒を吐き捨てて。
二人が帰った後、桜が「貴方も悪ね?帝。」と、笑った。帝は、渋い顔をした。「皇様に任せると、必ず死者が出るんだ。そんな事は、重々承知の上だし、分かっている事だった。まぁでも如月琉の暴行を止めるには、皇様の動きが丁度いいのかも知れない。ただ、皇様も…。」と、言った後で黙った。
帝が何を言おうとしたのか、桜には分かった。桜が「大丈夫よ。ちょっと分からせてやるだけでしょ?マジで、殺すつもりじゃないと思うけど…。もし殺したら私達もただじゃないわ。」帝は桜を見て、「皇様は、いつも本気だよ。多分今回も…。まあ、この学校の連中百人が亡くなったって、僕等は悲しくはない。むしろここからが、本物のX組だよ。僕等も、言われた事を早くしよう。桜、もうメールは打ってあるね?」桜は、「もっちろん!今から送るわよ。」と、言って謎のメールを送った。
これから始まるサバイバルの序論に過ぎない…メールは悪魔のメールだった。
帝は「メールは送った。後は、皇様に完了のメールを送るのみ…。」と、悲しそうに言った。桜は、何かを察知したような感じがした。「心配なの?大丈夫よ、私はいつでも貴方の味方よ…。」と、優しく声をかけて、ゆっくりと抱きしめた。
X組に、微かなる亀裂が見え始めてきた。この時に気付いていれば、X組は今頃、平穏いや悪童行動が目に余る悪がき集団で終わるはずに違いない。




