スーパー・ウルトラ・デラックス・グレイ
暇を持て余した青年は、いつものように地球によく似た星へ降りた。特に目的はない。ただぶらぶら歩くだけの、気まぐれな探索だった。
次の瞬間、黒ずくめの三人に囲まれ、路地裏へ引きずり込まれた。
「お前ら、グレイだろ」
青年は特に驚きもせず、言い放った。
「なぜわかった!?」
三人が一斉に焦り、姿がぶれる。灰色の肌、大きな黒い目。
「分かるのは俺だけだ。早く戻せ、他の人間にばれるぞ」
「おおっと」
慌てて人間の姿に戻った。
「お前、レプティリアンに協力したらしいな」
「僕たちにも手を貸せ」
「ソーダソーダ」
「いいよ。何がしたいんだ」
「奴らを倒すための研究だ」
青年は少し考えて、頷いた。
「そうだなあ。いいもん見せてやるよ」
映画館の中は冷えていて、ポップコーンの甘い匂いが漂っていた。
三人はコーラを手に、おとなしく席に座っている。
「ビールじゃなくていいのか?」
「アルコール程度じゃ酔えない」
「ハッパじゃなきゃね」
「僕らレベルになるとそれもいらないけど」
「そうか」
一人がポップコーンをつまみ、眉をひそめた。
「人間はこんなまずいもん食べてんのか。体にも悪そうだしけしからん」
「そう言ってるわりにはバクバク食ってんな」
「……ぶっちゃけうまい」
スクリーンが光る。人間が巨人に変身した。
「おお、すごい」
「宇宙人が悪役だがいいのか?」
「僕らじゃないもん」
敵のパワーアップに合わせ、三体の巨人が合体した。
「合体したぞ」
「その発想はなかった」
「でも僕らの場合、合体する意味ないよね」
「そうなの?」
「能力が同じだから、三人のままの方が得だよ」
「驚かせはできるかもな」
上映が終わる。
「楽しかった」
「それはよかった」
「いい研究ができたな」
「特撮っていうジャンルらしいぞ」
「助かる。他の資料映像も見なければ」
「僕らの活躍、念写で送るね」
三人はそう言って帰っていった。
しばらくして、青年の頭に映像が流れ込んできた。
戦況の悪いグレイたち。そこへ、選ばれし五人の戦士が現れ、合体した。
巨大なグレイへと変身する。
その名は――スーパーウルトライダーグレイDXインフィニティ。
「長いな」
光線を放ち、無駄な飛び蹴りを繰り返しながら暴れまくっている。
「シュワッチ」
「その掛け声はやめろ」
別の映像。覆面の戦闘員たちが整列し、敬礼する。
「イーッ!」
「その声もやめろ」
人間や動物をさらって改造する一派まで生まれたらしい。
結局、戦争は長引いた。




