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第69話 勘違い


sideリン




・・・・・・詰んだ・・・。




リンはオークと相対しながら必死にどうするべきか考えていた。リンが創った竜巻も一瞬にして掻き消された。他の竜巻もオークにとっては脅威でも何でもないだろう。このオークと渡り合えそうな精霊は今のリンには居ない。





『やりますな。流石は召喚者である』





オークが槍を必死に交わすリンに敬意を表する。大精霊の導きでギリギリ避けているだけだが、周りには華麗に避けている様に見える。





将軍に至っては、感動して涙している。





『ふ・・・。それはこちらも同じですよ・・・。オークがここまで強いとは衝撃的です・・・。』





リンがオークに返答する。





だがリンは分かっていた。このままでは死んだ様に見せる前にマジで死ぬと。





・・・




・・・・・・リンは考えた。結果、一か八かで精霊の力を組み合わせる事を思いついた。追い詰められた末にたどり着いた名案であった。





『ふふふ、このままでは勝負がつきそうにないですね。・・・・・・奥の手を見せて差し上げます。』





リンが無自覚で初の試みなのにカッコつけながら言い放つ。そして将軍にも・・・





『将軍! このままでは勝負がつかない。 おれは相打ち覚悟で行く。あとは頼む! 』





強引に自分が死んでも不自然ではない様に演出する。側から見たらそれ自体が不自然としか言いようがないが、周りはリンに魅了されているため大丈夫だった。





『では・・・オークよ。見せて差し上げます。炎の精霊よ・・・炎舞』





リンが炎を纏って竜巻の周りを舞う。





『・・・(頼む・・・)』





リンは炎と風の精霊の奇跡を願う。





・・・





竜巻はどんどんと巨大化していく。






『(・・・・・・おぉ。)』





リンは自分の力が覚醒したことを確信する。






『ふふふ、オークよ。私の全身全霊。凌いで見せよ』






リンの其の場凌ぎの奥の手がオークに襲いかかった。








sideワンコ




「・・・・・・なんか凄いことになってるな。オークが」




『・・・はい。なんですかねあれ。』





おれはコボルトに抱えられ戦況を見ながら雑談をしていた。





『お・・・お宅のオーク殿・・・凄いですな。』





ブルテリア国王のバーナードからお褒めの言葉を頂く。おれもまさかオークがここまでとは思わなかった。おそらく槍と雷の相性の結果だろう。




戦況はというと・・・。

予想通りリンがまずい。上手いことオークの攻撃を避けている様に見えるが、あれでは死ぬのも時間の問題だ。負けてくれる約束をしていただけにこのままやられるのは同じ異世界人としても忍びない。





・・・うーん。




・・・




どうするか迷っていると、リンが炎を纏って竜巻の周りを舞いだした。






・・・それで現状を打開できるとは到底思えないが。






・・・・・・ん?・・・んん?






リンが舞っている竜巻の横でケルベロスことケルちゃんが、竜巻の中になにかを投入しているのを発見した。あれは・・・





魔法石だろうか。コボルトもバーナードも気づいていない。





・・・





・・・・・・なにやってんだケルベロスのやつ。しばらく様子を見ているとケルちゃんは魔法石を投入しながら竜巻の中に呑まれていった。





・・・呑まれた





ケルちゃんが呑まれた直後に竜巻は大きさが跳ね上がった。





・・・





・・・・・・見なかったことにしておこうと思うのであった。





sideリン



『やった・・・』




リンが竜巻の周りを炎を纏って舞うと竜巻がどんどん巨大化していった。(ケルちゃんが魔法石を投入しているだけ)





リンは自分の目論見があたったことで少し余裕ができ笑みがもれる。





『流石は召喚者殿。これは・・・私も必殺技を出さないと負けるでござるな』





オークはそんなリンをみて出し惜しみはしない様だ。まだどこか余裕なオークだが、リンも全力を振り絞る。





『ふ・・・。私も全ての力をこの一撃に捧げよう。いくぞぉぉぉお。』






リンの唸り声とともに竜巻は更に爆発的に巨大化した。(ケルベロスと魔法石が呑まれただけ)






『な・・・なんと。これは・・・止められるか・・・』





竜巻の急激な巨大化によりオークには先程までの余裕がなくなった。

そして内心ではリンが一番びっくりしていた。





『では行くぞ! オーク! くらえー』





リンが手刀をオークにかざす。巨大な竜巻はオークに襲いかかっていく。





『う・・・うぉぉぉぉお。ぜ・・・全力だぁぁぁあ』





オークが手にしたゲイボルグから新たな波動が発生し、その形態を変化させた。空中に浮かんでいた数千の紫電槍がオークの前に集結し一本の巨大な紫電槍に姿を変える。





『うぉぉぉぉ』

『うぉぉぉぉ』

『うわぁぁあ』




竜巻と紫電槍がせめぎ合う。

ケルちゃんが竜巻内で跳ね回る。





『う・・・・・・うぉぉぉぉぉお』





紫電槍が劣勢になって来た。オークが踏ん張る。






その時、優勢の筈のリンの表情が曇った。

リンは自分がギリギリ負けて、美しく散る算段だったがこれでは自分が勝ってしまうことに気づいたのだ。自分が勝ってしまっては、約束を違えた事になる。急いで竜巻の力を弱めようとする。




しかしこの時、まだリンは気づいていなかった。

この竜巻が序盤の段階で既に制御不能だったということに。



次回へ続く。

昨日から携帯が不調で遅れてしまいますた(´ω`



いつもありがとうございます。もし気が向きましたら、ブックマーク、レビュー、評価など頂けると、やる気がでますのでよろしくお願い致します(´ω`

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