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第83話 王女殿下の婚約者 お茶会

 王宮のサロンで、レイモンドを待つ。

 侍女はまだ慌ただしくしてたけど、リナたち近衛はすることが無い。

 いや、護衛してるけど。


 リナは、フイリッシアからの願いで、すぐ後ろに立ってた。

 程なくして、レイモンドとサイラスがやってくる。

 侍女たちが、慌ててサイラスの席を作ってるところを見ると、予定外だったようだ。

 サイラスも今日は騎士団の制服を着てない。完全プライベートだ。

(あんた騎士団の采配は? 特別任務中だよね)


 レイモンドは、フイリッシアの後ろにいるリナを見て、一瞬『え?』って顔したけど、リナの方はスルーした。

 だって、男装してるし、今は近衛騎士(しごとちゅう)だし。


「フイリッシア嬢。今日はまた雰囲気が変わって……レイモンドも焦ってるんじゃないか?」

 サイラスの方が取りなしてる。

 まぁ、自分が口説き文句言うわけにはいかないものね。

 レイモンドの方は、素っ気なくフイリッシアの方を見て。ふっと視線をそらしてしまった。

(……ちょっと、その態度は無いんじゃないかね)

 チラっとフイリッシアを見たら、泣きそうな顔になっていた。

 リナはレイモンドたちからは、見えない位置でフイリッシアの背中を撫でてあげる。

(かわいそうに、毎回こんな感じなのかな)

 内心めちゃくちゃムカついてたら、私の方に話題が来た。


「君は、見ない顔だが?」

 サイラスが、リナに話を振ってくる。

 確かに、騎士団経由で上がってくる近衛をサイラスが知らないって言うのはあり得ない。

 部下を下っ端まで知ってるとは、言わないだろうけど。

 団長の推薦状いるもんね。って言うのは、建前で。


 知ってるよね、あんた。いたもんね、あの話し合いの時。メインで。

 ここで、正体ばらす気かそれとも……。

「宰相閣下から預かっている子どもです。職場体験をしたいというので……。こちらでしたら、形ばかりの護衛でかまわないでしょう?」

 オールストン隊長が引き取って言ってくれた。


「というか、リ……ポートフェン殿だよね」

 流石にサイラスは仕事中、男装中って空気を読んでくれた。

「はい。団長、お久しぶりです」

「オールストン隊長。こいつ、まだ戦闘能力皆無なんで、何かあったら庇ってやってくれ」

「申し訳ありません」

 オールストン隊長が思いっきりお辞儀して謝罪している。


「なにか、あったのか?」

 サイラスが怪訝そうな顔になった。

「何でも無いですよ。想定内のことです」

 リナは、オールストン隊長に見えないように、口のところで人差し指一本立てる。

(今は、何も訊くな。私の性別を正しく知ったら、隊長が憤死する)

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