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第71話 リナちゃんは下町に行きたい 団長に聞いてみた

 そういえば、とリナは思う。

 セドリックと一緒だったら、下町に出れらるかしら。


「セドリック様。次の、お休みいつです?」

 リナは、さりげなくセドリックの予定を訊いた。

「何? どっか行くんなら、休みじゃ無くてもいけるぜ。護衛だし」

「ああ、そうか……。町に行きたいんですけど、騎士団の制服以外でも大丈夫ですか」

「買い物? 商人呼んだ方が早くね」

 商人……そうか、貴族は自分で買いに行かなくて、家に商人を呼ぶんだっけ。

 セドリックのような上位貴族なら、その発想しかないよね。


「そうですね。そうします」

 リナは文献を調べている内に、この国が色々おかしいことに気付いた。

 下町の……いや、下町で無くても良いのだけれど、なるべく庶民が多く集まる場所に行って、情報収集する必要がある。


 貴族の狭い世界には、入ってこない情報が欲しかった。

(だけど、行きたいところに連れて行ってもらえないんじゃ、意味が無いよね)

 出来ることなら、庶民出身か庶民に近い人が騎士団にいたら……と思う。

 それに、誰かが隠しているのか、本当に知りたい本は無かった。


 セドリックが訓練に戻って行ったのを機に、リナは団長のところに相談に行くことにした。

「いない……んですか?」

「ああ。近衛もこちらの騎士も全員貴族だぞ。大昔は庶民の兵士もいたんだろうけど、今は騎士が兵士の仕事も兼ねてしまってるからなぁ。今、兵士って言われてる奴らはみんな、私兵だしな」

 リナは、誰かいないかと、騎士団長の執務室まで行って訊いてみた。

 けれど、意外というかやっぱりと言うか、そういう答えが返ってきた。

(下部組織の軍兵隊もないものね)


 リナが考え込んでいるのを見て、サイラスが言う。

「まぁ、仮にいたとしても許可出来無いけどな。庶民に近い一般兵と一緒に町に出るなんて」

「許可って?」

 リナはキョトンとしてる。言われたことがよく分かっていないようだな……とサイラスは思う。

 上司として、部下が危ない目に遭うのは見過ごせない。


 サイラスは団長としてでなく、ふっと、夜会の時のような雰囲気をつくり出した。

「リナ嬢。貴女は自分の魅力がまだ分かられてないようですね。いくら、子どもっぽく振る舞っても、我々にとっては美しい女性に違いないのですよ。憧れを抱(いだ)かれるだけならまだしも、不埒なことを考える輩(やから)は山ほどおりますでしょう」

 サイラスはそっとリナの手を取る。そして、危機感を持たせるため、手の甲では無く手の平の方を向け、マメがつぶれて堅くなってるところに口付けた。


 ゾワッとした。本能的にイヤだと思った。リナは、手を引こうとしたけれどサイラスは離してくれない。

 優しく持っているように見えるのに。

「誰かに手折られるくらいなら、私が……と思う輩(やから)もおりましょうに」

(で~、まずい。逃げらんない。ライラ)

「ああ、貴女の護衛はここには来れませんよ。私を誰だと思ってるのです」

(詰んだ。ダメだ。団長もホールデン侯爵家の人間だった)

「団長、私は今、貴方の部下としてここにいるのですが」

 リナはまっすぐ、団長を見た。何かされたら部下に手を出したって、宰相通じて、噂流してやる。

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