第55話 リナからジークフリートへのお願い~私を書庫へ連れてって~
社交シーズンが終わった教室。
人が多いのが難だけど、男子寮に行くわけにもいかず。
リナはどうしたものかと、考えていた。
国王の書庫に行くのに、クリフォードが付いてくるようでは、調べ物が出来ない。
事情を知っていて書庫まで行けそうなセドリックは、ライラがこの前の事を宰相に報告してしまい、謹慎処分になってしまっていた。
「どうしたの? リナ嬢」
ジークフリートが珍しくリナに声をかけて来た。
「あの……」
どうしよう。さすがに内緒話出来ないよね。王太子殿下に耳打ち出来るのは、臣下では宰相クラスまでだ。
「ん?」
リナの心を読むように、ジークフリートはリナに顔を近づけてきた。
「内緒の話があるの? 良いよ。耳打ちして」
「え……と、王宮の国王と宰相しか入れない書庫に行きたいです」
ジークフリートが一瞬ビックリした顔をしたけど、リナにニッコリ笑って
「良いよ。今日にでも行こうか」
(良かった。これで調べ物ができる)
学園が終わって、リナはジークフリートと一緒に王宮を歩いていた。
「セドリックに連れてきてもらったら良いのに」
「私もそのつもりでしたけど、ちょっとあって今、謹慎中なんですよ」
(セドリックって本当に使い勝手良かったんだなぁ。本人に言ったら怒るだろうけど)
「まぁ、詳細は聞いたけど。面白いね、セドリックは……君相手だと途端に脇が甘くなる。でも、リナ嬢、今はライラが陰から護衛をしてくれているから良いけど、男性と2人の時は、警戒した方が良いと思うよ」
「ジークフリート様といる時もですか?」
ベタだなぁと思いつつリナは質問してみる。
「一応、私も男だからね」
ジークフリートはリナがした質問をサラッと流した。
「さて、これでいいかな。後は、夕方迎えに来たら良いんだね」
書庫の扉を開けて、リナが頼んだことをし終えると、ジークフリートはさっさと行ってしまった。
公務でそれなりに忙しいらしい。
調べたいことは、リーン・ポートのことと、それが出来た経緯。
学者たちも分からないところに載っていると思う。
だって、分かってたら何人も優秀な王子たちを死なせて無い。
この前、クリフォードと来たとき背表紙は全て読めた。
多分、学者が読めない文字も……これが、かの有名な転生者や転移者に自動翻訳装置が付いてるってやつ?
後は、内容が理解出来るかどうかだと思う。
1冊目、あれ? おかしいな。
ジークフリートに言って、学者でも解読出来ないものを選んだはずなのに……戦時中の王宮を舞台にした救いの無い悲恋もの。ハンカチ必須。
つい、ガッツリ読んでしまったよ。
夕刻、約束通り迎えに来たジークフリートは、リナが泣いてたので焦っていた。
いや、1日恋愛小説読んで終わるとは……。
あの本って、別にあそこに置いとかなくてもいい気がするけど。
読める人がいなくなって、大切な文献認識で移動したのかな。
まさか、恋愛小説で埋まってるんじゃあるまいな。
何日か通って分かったことは、本当に翻訳無しで読めるという利点しか無いと言うこと。
少し言い回しが難しかったり、知識が無いために読みこなせないものは、他の書物を持ってくる等の作業があるので難航していた。
そして、恋愛小説はあの1冊で、他は昔の帝王学や大昔の他国との交流や戦争の歴史。
そういえば、今現代はどうなっているのだろう。
学校の図書室の歴史書にも他国との戦争どころか交流の記載って無かったけど。数百年も他国との戦争が無いなんてあり得るのかなぁ。
(乙女ゲーム補正? いや、無いに超したことは、ないけど……う~ん)




