第49話 宰相の提案と現状の厳しさ
リナは戸惑ってしまう。だって昨晩、ケンカして守ってくれなくていいって言ってしまったから。
「セドリックは第2王子派では無いのですか?」
「派閥は関係無いですね。どちらにしろ、こちらからの命令なら動きますよ。彼は騎士団の騎士ですから」
「え? だって……学園生ですよね」
「セドリックは騎士養成学園の方を先に卒業してるのですよ。王太子殿下が入る年に入学を合わせたかったのですが、今年20才ですからねぇ」
(なるほど、成人していたのか。って、童顔なのか? てっきり10代なのかと……)
「危なくても近付かないといけないのでしょう? リナ様は。セドリックなら、ずっと裏で動いてましたし役に立つと思いますよ」
「セドリック様は、前回も私の勝手なお願いで命の危険に晒してるので、あまり頼みたく無いのですが」
宰相は深い溜息をついた。
「では、この時よりあなたをここから帰すわけにはいかなくなります」
「どういう事ですか?」
「私の保護下に置くと言うことです。子どもは、素直に大人に守られていれば良い」
宰相は、穏やかに言っているが、目は冷たい光を宿している。
決して好意で言っているのでは無いのは、リナにも解ってしまった。
ばかだなぁ~と、つくづく、リナは思う。
邪魔だと……己が立場も解らない子どもなのかと、宰相に言わせてしまった。
「……あの事件から、何も学べていませんね、私は」
嫌になるなぁ、自分が。エイリーンやジークフリートは、なんて言ってた?
「生まれたときから世界が違う」と「守られることを覚えろ」と、親切にもアドバイスをしてくれていたでは無いか。
リナは、自分に覚悟がないだけなんだと思う。
セドリックも、確実にあちら側の人間なのに……。
「宰相様。命令では無く。私からお願いしてみます」
珍しく宰相の表情が動いた。
「交渉決裂したら、宰相様に従います」
決裂したら、任務失敗だ。リナは、もうこの件に関われなくなる。
「では、ここに呼び出しましょう」
宰相としばらく雑談していたら、騎士団の制服を着たセドリックがやってきた。
彼は、リナをチラッと見ただけで、無視して宰相の方に向く。
「失礼します。お呼びでしょうか」
「任務です。本日付けで通常任務を外れ、リナ・ポートフェン様の護衛につくこと。ただし、私からの命令では無く、あくまでもリナ様からのお願いなので、拒否権があります」
セドリックは一瞬意外そうな顔をしたが、すぐに仕事の顔に戻り宰相に訊く。
「拒否権……ですか。質問してもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」
「私が拒否したら、どのようになりますか?」
「リナ様のことですか?」
「はい」
「安全な場所での、保護。と言う形になりますね」
少しセドリックの表情が動いた気がした。




