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無限空想世界の幻想的な物語  作者: 幻想卿ユバール
第二章 狼猫編
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無限空想世界の幻想的な物語~狼猫~ 第9話  「笑顔」


随分と温かい暗い部屋、俺はこの部屋の中で寝ていた。

俺は目を閉じてただひたすらにここで寝ていた。


何故だろう、何も見えないのに、

何も聞こえないのに、何故だかここで寝ていた。


ああ、でもなんだか・・とても良い場所だな、

ずっとここで寝ていたい、

だが、ここはどこか・・見覚えがあるような、

いつもなんだかここで誰かと話していた様な、

そう、それは自分の憎悪?


自分の憎悪と話していた?


・・そんなわけないよな、そんな事があるはずない、

だが、何故だかこのくらい部屋に漂う雰囲気が、

ふとそう思わせてくれた。


俺はなんだか懐かしい心地を思い出して、

辺りを見渡す。


そして、どこかへとつながっていそうなドアを見つけた。

ああ、あそこはどこへとつながっているのかな?


俺はムクリと歩き出して、そのままドアをガチャリと開けた。


そして、その先にあったのは・・、

暖かな、楽園だった。


花畑がいくつも広がる、楽園、

この部屋が暖かいのは、この世界とつながっているからなのかと、

俺は今晴れるような気持ちで理解した。


 ◆


「・・夢ッ?」


と言う夢を見ていた。

なんだ夢か、びっくりさせやがって・・、


「夢じゃないッ!!お花畑カーニバルッ!!しかも全部カラフルッ!」


なんだこれ・・なんだこれはッ!!

今の状況を確認しよう。

俺は目が覚めるとまた上半身をムクリと起こして、

ふと気づいたら周りはいくつもいくつもお花の束が置かれた花畑カーニバルとなっていた。

そしてこの静かな雰囲気の木材部屋はもしかして病室・・、

そうか、ここは屋敷の病室・・、なんで病室!?


俺は確かあの遊びの後メリルを背負って屋敷に帰ってそれから・・、

覚えていないだと・・!?


て言うかその後メリルはどうした!?


「・・・そういえばなんだか隣が暖かい様な」


俺は隣をチラっと見てみると、

そこにはなんとスヤスヤと安らかに眠っているメリルの姿があった。


うわーなんて天使の寝顔~すごーい!


「(すごくなーい!!この上なく事後な気がする!事案が発生した気がするッ!)」


何故だ!?なぜ俺はメリルと一緒に寝ているんだ!

聞きたいけど!聞きたいけどこの天使の寝顔を目の前にして起こすのは無理だッ!

どうすればいいの神様ッ!とりあえずどうすればいいの?


俺は必死に頭を抱えて悩んでいるッ!


「・・・ッ」


「(あ、あれもしかして起きた?)」


「おにい・・ちゃん?」


「メ、メリル?メリルなのかい?」


「うん・・そうだよ」


「ハア・・良かった!一時はどうなるかと思った!これで何も変わってなくてお兄ちゃん好き好き!と見せかけて馬鹿めッ!死ねッ!とかなったら俺はどうなっていた事か・・」


「あはは・・相変わらず面白いねお兄ちゃん・・」


「ああ、すまない一人で盛り上がってしまって・・」


「ううん、大丈夫」


静かな部屋の中、メリルとようやく再開できた。

それは良い目覚め、一番俺が望んだ目覚めと言う奴だろう、

あんなに苦しそうにしていたメリルが今、微笑んでいる。


良かった、やっぱりアレで全てが終わっていたんだ。


「・・待てよ、メリル・・どうしてここにいるのか説明できないかい?」


「できるよ・・ちょっと待って」


メリルは眠たそうに体を起こしてウトウトしながらもベットの上から出て、

洗面所で顔を洗った。


あ、要するにこれしばらく目覚めるための乙女の時間と言う奴だな、


「メリル、お兄ちゃんはしばらく紳士の時をこの毛布の中で過ごすから安心して着替えて良いぞ」


「うん、ごめんねわざわざそんな事してもらって・・別にお兄ちゃんなら見られても」


「いや、駄目だ、男子たるもの心未熟な童貞は乙女のありとあらゆる時間を邪魔するな、これはお兄ちゃんのお兄さんの教えだ」


「ウフフ・・ありがとうッ!」


「いえいえ~、それにしてもあついです」


俺はしばらく布団の中で暑苦しい時間を過ごしたが、

それは数分の出来事、つまり全然へっちゃらなのです。


メリルが「もういいよ!」と元気よく明るい声で言うのを聞いて、

布団を恐る恐る出てみると、そこにはあのかわいらしいメリルの姿があった。


それにしてはチェック柄はスカートにはいつも通りあると思われたが、

なんだか本当にお嬢様の様な気品のある服装になっていた。


ロングスリーブ、詳しく言うならパコダ・スリーブと言う奴だろうか?

それと似たようなスリーブ質のフリルスカート、フリルスリーブ、

なんだフリフリなワンピースと言うかドレスと言うか、

いや、ワンピースで良いのだろう。

美しい赤色のお嬢様だ。

眼は優しい水色になっていた。

でも輝きはあの時と同じくらい綺麗だった。


ピチピチしてて美しい肌のとても可愛い・・お嬢様なのは確かだが、

なんだろう、どこか・・変わった?

そういえば起こした時もどっか違和感・・、


「髪の毛?髪の毛が短い・・」


「き、気づいた?ほら・・大分切ってなかったし・・そろそろ切ろうかなーてっ思ったらリアリナさんがしてくれたの!に、似合うかな?」


「ああ、また一段と君を輝かせてるよ、君の様な黄金に輝いて舞う金髪の美少女はそのぐらいのセミロングがちょうどいい、それに頭のベレー帽も似合っているよ」


「えへへ~!また褒めてくれた、ありがとう!」


「いやいや、とんでもないさ、こんなクソ野郎の言葉を素直に受け止めてれてこちらこそありがとう」


「ううん、そんな事ないよッ!ジィお兄ちゃんに言われるなんてとっても嬉しいよ!」


ああ、毎度のことだが・・とっても心が癒される。

美しいよ、君と言う純粋な子は、

あ、話がそれるところだからそろそろ戻そう。


「ええーと、とりあえず・・メリル、話戻してもらって良いかな?」


「あ、そうだった!あの後何があったかだよね!」


「うん、そうです、何があったか教えてほしいです!」


俺はベッドの上でニコニコな表情をしながら冷静に聞き取る体勢を、

メリルは近くの椅子に座って俺に話をしてくれた。


「まずね、あの後ジンお兄ちゃんがドアを開けた瞬間にバタッ!てっ倒れて、その後「ジンがジンだッ!この人でなしッ!」てっシルバお兄ちゃんが叫んだの」


何を言っているんだあのシルバニア家族・・、

恥ずかしいからそういう発言は控えてほしい所だよ、


「でね、先生が「ああ、疲れちゃったか~まあ、とりあえず焼き殺しておきます」てっ言いだして」


〇〇さん!?〇〇さんでもいたの!?※プライバシー保護

バイオなハザードの四作目やってたの!?


大体そのネタ古いよッ!前回やりかけたの知ってるぞッ!

いや、そうじゃなくて!


「そ、それでどうなったの?」


「ええーと、その後結局「焼くのは可哀想だからベッドでせめてお花に包んでやろう」てっシルバお兄ちゃんが言ってた」


よーし、あとであの兄貴の口に玉ねぎ投入してやろう、

覚えておけよ脳みそカラフルフラワー、


「そして?」


「で、なんやかんやあって先生がジィお兄ちゃんの怪我を直して、みんなでお花を置いて後は一旦部屋から出たんだけど、中々心配だっからその後あたしはそのまま見守ってたり看病したんだ」


「なんていうか・・ありがとう、君がいなかったら今頃兄がなにをした事か・・」


「ううん、いいよ!命を救ってもらったんだからこのぐらい当然だよ!・・あの子も・・ヴァレッタもきっとそうするよ」


ヴァレッタ・・メリルが胸に手を当てて言う。

彼女の二つ目の人格として投入されたのがヴァレッタだ。


データには「子供にして狂気の殺人鬼」と書かれていのを思い出した。


あれは実験後の話だったが、まさかこんな形でな・・、


「ちなみに・・その後ヴァレッタとはどうした?」


「・・お空に・・行っちゃったんだと思う・・どれだけ心の中で叫んでも・・どれだけ呼んでも・・もう、返事すら来ないから、きっとお空に行ったんだと思う」


「そっか・・やっぱりあの時のアレは・・やっぱり・・」


原因は不明だが、ヴァレッタは天国へ召されたらしい、

満足そうな顔をしていた彼女にとってやはり、アレは救われたという事だろう、

そうして彼女はもう、この世から消えて行ったんだ。


「・・元気にしてると良いな、ヴァレッタ」


「うん、元気にしてると良いなぁ・・」


目をつぶって祈りを告げる様に暖かな表情をするメリル、

彼女の祈りが無事に届くといいな、


「・・うん、きっと届いたよね・・元気でねヴァレッタ・・」


メリルの話やこの雰囲気で、

恐らくだが・・俺はなんだか、いろんな事がわかってしまった。


彼女は長かったから髪の毛を切ったと言っていたが、

実は「ヴァレッタと決別する為」に切ったんじゃないかと思う。


これは俺のただの推測だが、そんな気がした。

そしてヴァレッタは実はメリルと元から親友だったんじゃないかと言う事だ。


メリルとヴァレッタにそこまで距離を感じない、

そしてなにより2人が偶然出会ったとは思えなくらいに、

何か、深い絆を感じた。


これもただの推測だが、きっとこうで合ってほしいと、

心の中でこの話を閉ざした。


「さて、そろそろ部屋から出ようか、お兄ちゃんお腹がすいたよ」


「さんせーい!メリルもまだ今日のご飯食べてないもん!」


「そんなジン君の為に私が来たッ!」


「あんたどこから来たッ!?」


病室のパーテーションからサッと登場した先生、

なにやらおぼんを二つ持って登場したあたり前からいたのだろうか・・、




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