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王子様に恋の手ほどきを・・・。  作者: 夏野 みかん
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「なんだよ…これ?」


その瞬間…マリーの顔が頭を横切った。


まさか、こんなデマを信用するとは思わないが…だが一昨日か…あの湖に行こうと約束していたのに行けなくなった日だ。まぁ今までだって、こんなデマを書かれていたんだ。何を今更…という感じでマリーは見ているさ。



…と思っていた。




あぁ…今ならなぜあの時に、マリーの下に行って(あれはデマだ)と言わなかったんだろう。

今、目の前の婚約者殿は…微笑みながら俺を見ている…だが目はぜんぜん笑っていない。


ようやくマリーが、あと一ヶ月足らずで、俺の妻になると言うのに…。こんな冷たい目で、見られることになるとは…。


あぁ、挙式でどんなに俺が、マリーを愛おしく思っているか伝えたくて、俺はここ一ヶ月ほど、画策をしていたのだが、運悪く一昨日はどうしても、そのための打ち合わせをしなくてはならなくて、マリーとの約束を泣く泣く諦め、幸せそうに微笑む姿を思い描いては、頑張ったと言うのに…


あの新聞の3日後、マリーの屋敷に訪れた俺への最初の言葉は…これだった。


「あら?もしかして…ラファエル?もう、ここには来ないと思っていたわ。」


「おい、マリー。なんだよ。」


「エフレン国の伯爵令嬢…キャサリン様との熱い夜。」


「はぁ?」


「お楽しみだったそうで…」


「何言ってんだよ。社交蘭のゴシップは大概がデマって、知っているだろう。ふざけるなよ。」


「…ふざけていないわ。」


「えっ?!」


「私はあなたの愛人にはならないから…。」



バタン!!



目の前で、扉は大きな音を立ててしまったが、俺は身動きも出来なかった。


何が、何があった?


今、マリーはなんて言った?


あ、あいじん?


なんだ、それは?


なぜ愛人になるんだ?おまえは俺の妻になるんだぞ!


だが間違いなく、あの記事が要因だ。

でも…なぜ?あの記事を信用する。


「ちょ、ちょっと待て!マリー!」



ドンドン!!!


激しく扉を叩くが、扉が開くどころか、物音一つ音もしない。

.

.


……無視かよ。


いったい、何故ここまで、マリーは頑なに俺を拒否するんだ。いつものゴシップ記事だぞ。確かに結婚が決まってからは、こういう記事は、初めてだが…今までに何度もあったことなのに。


どうして、ここまで…


俺は大きな溜息をつき、俺の背後をコソコソと動く人物に声をかけた。


・・・


「説明できるかなぁ…兄上。」


背後から…震えながら

「えーっと、もしかして私のことでしょうか?ラファエル王子。」


俺はにっこり笑い

「なにがあった。」


「そ、それが、色々とありまして…話せば長い…」


・・・


「簡潔に…お願いします。兄上」


「か、簡潔に、頑張ります!!」


「あの、あの記事が出た日の夕刻。

キャサリン様がお見えになって、マリーに言ったんです。


『あなたの住むところは、ラファエル様の妻になる私が、決めて参りました。旦那様をよろしくお願い。』…と


最初はマリーも呆れた声で、 『頭、大丈夫ですか?』と言っていたんですが、私がちょっと席を外して、戻ってきたら、状況が一変してて…俺、一応聞いたんですよ。あのキャサリン様に何を言われたんだと…でも、あいつ…涙を浮かべて…。」


涙を浮かべて?…

いったい何があったんだ。



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