卵?!ゲットだぜ!!
探し物が見つからない。
こんなに広い草原なのに、木は少ない。何でだ…。
素晴らしい木陰を作る有名な「この木何の木気になる木」っぽいでっかい木はあるけど。
あれは俺の探し物に向かないのだ。
欅や檜。
ちょっと手の出ない高級木材を探しているんだけど、見当たらない。
ふふふ…俺の野望はかなりデカいから聞いて驚け!!
なんと
『大八車』を作るんだ。
江戸時代、蕎麦屋はソレだった。
やっぱり、行商部隊には出来立てを提供して欲しい。
食べ物は、出来立てが一番美味いから!!
「おい、総出で迷子探しになってるぞ!」
突然、上空から声をかけてきたのはオーツ副所長さん。そのまま降りると人型になり腕組みをしてこちらを睨む。
うーむ。それにしても鳥ってば、イケメン率が半端ない。
あの高すぎる鼻は俺への当て付けなのか?!
「全く人の話を聞いてないのはいつもの事だが何故レナトゥスすら一緒に居ないのだ?」
どうやら、俺は迷子の扱いらしい…解せぬ。
だってそりゃラスの責任なんだよ。
工作部門のボス(仮)に就任させたら…優秀すぎてさ。遂には鍋釜だけじゃなく人集めまで始めていつの間にか超優秀な人材を5人もの人手を確保して、売り歩く事まで始めたから大変だよ。
レナトゥスがオカンムリな訳さ。
俺の予感は告げてる。レナトゥスは嫉妬したな。と。むっ。図星だったんだな(そう言ったら頭を叩かれたよ。。)
そんな訳で家の近くなら一人で大丈夫だと言われたから探し物してただけなのに!!
あ。あれ??
せっかく説明してたのに何故鷲掴みされて何処かへ運ばれてるし、俺。
しかもオーツってば鳥だから爪が地味に痛いよ。
あー、上空からだと、あんなに大きな我が家が小さく見える。
アルクトスの巨大化計画…やり過ぎだよ。
アレはたぶん、もう要塞だし。
沢山ある露天風呂はカエルに占領されてるし、草原は牛だらけ。
畑は…どうだ?
あれ…確かに俺、小麦粉や砂糖など様々な作物を植えたよ。
でも…あんなに畠の面積ってば大きかったっけ?
それに、この大草原。
いつの間か…範囲が広がってる気がする。
うーむ。。周りの森が縮んだ様子もないのに。
理屈に合わないよ。
おーい、オーツ。何処へ行く気だ??
森の上を飛び越える途中であの湖を通過中だ。
上空から見るとすっげーデカイなあの湖。
真ん中に浮島なんてあったっけ??しかも城がある。
ん?人影が見えるぞ。。
あぁーー!!!もしかしてバイフーと主様じゃん!!手を振ってるから振り返したよ。そうか、新居なんだな。
「聞いていた通りだな。この森も大草原もあからさまに広がっているだろ。」
上からぶつぶつ言う声が聞こえる。何言ってるカマでは聞こえないけどさ。
鳥って、文句が多いんだな。ヒーもそうだから仕方ないかぁ。
どうやらオーツが目指したのは『山』だったみたいだ。もしかしてヒーの故郷か。
眩しい所だな。
こんなに地面が眩しいと言う事は…間違いない!!
ダイアモンドの産地なんだよ、きっと。
なるほど…目が開かないものな。
地面に降ろしてくれたのは良いけど、人型になったオーツは忙しいそうに何処かへ行ってしまったし。どうする,俺?
初心貫徹で檜探しと行きますか。
ブラブラ歩いていても、とにかく眩しい。
こんなに樹々が眩しいのも、大地に宝石が埋まっているせいかもしれない。いや.そうとしか思えない(実際、宝石の姿は見えないんだけど…)と近づくが普段見慣れている樹々と少し違う。それは触り心地で分かる。
めっちゃ硬いんだ。
こうなると細工がし難いな。やっぱり諦めるか…。
担ぎ屋台や大八車の屋台バージョンを作るつもりだったのにこんなんじゃ無理だな…。そんな事を考えながら撫でていたら。
ポコッ。
ゴロン。
へ?
何??マジで目の前で起こった事が信じられない。すっげ世界だな、ココ。
「放ったらかして、すみませんでした。」
「いいんだよ、用事は終わったの?何、その顔。イケメンの凝視は何を意味するんだよ。俺にこれ以上惚れさせるのか!!」
おい。オーツの馬鹿!!
最後のジョークに乗ってくれないと、マジなやつになるじゃん、俺。イタイ奴だよ。
まさかの無視??
「はぁ。なるほどな。
カズキ。その腕の中にあるモノをどうするつもりだ?」
あ。これね。
異世界仕様って凄いね。樹って卵を産むんだな。摩ってたら産んでくれたんだよ。
え?非常識??
そうだよね、この樹は色々と非常識だな。
オーツはまたもやため息を吐いた。
おい!!ため息は幸せが逃げるぞ!!と言ったら睨まれた。解せぬ。。
そんなやり取りに夢中な俺は知らなかったんだよ。
この卵の意味も。
なにが産まれるかも。。