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捨てられたヒト、拾われた瞬間  作者: 桜井良樹
13/14

理想に近くなるヒト

彼は、自分の正義を信じ続ける。

日が、沈みかけている。

鬱蒼とした森の中、微かに聴こえる潮の音。

僕は、その音に心を打たれていた。


今、僕に見えているモノは、死んだ一匹の鳥、一本のナイフ、そして酷く歪んだ友の顔。

これは、僕が殺めた。

こうするしか無かった。

あの気持ちを、抑え切れなかった。


今、僕に残るのは激しい後悔と、()()()()()()


ダメだと分かっている、でも、少しの優越感に逆らえない僕がいる。


この時の気持ちを、今でも覚えている。

歪んだ友の顔を見た時、僕の気持ちは最高に楽しかった。


()()()()()()()()()()

これには逆らえない。



そして、今も同じ光景を見ている。


違うのは、前よりも血が多く流れ落ちた死体が多く、俺を引いている人が増えただけ。


この孤立感。

これがやめられない。


自分と他人は違う。

それをとても間近に感じる。


でも、今回は違った。


一つの視線が、僕を苦しく見つめている。

この視線は、僕の心を締め付ける。


目を輝かした少年、アルダンテ・シャロン二が僕の心を締め付け、一つの恥ずかしさを僕の心に作る。


だから、僕は()()()()()()()()()()()()







「頭?下げる訳がないだろう。何故俺らが下げなければならない?この餓鬼は俺の所有物だ。そして粋がるな、オッサン。いい歳こいで正義感に浸るな、正義な人間は居ない。お前はきっと、この世界で悪になるぞ。これは俺からの忠告だ。生きたければ諦めてすぐ、家まで帰りな。」


「一つ、お前は勘違いしている。僕は正義じゃない。世界に()()()()()はない。僕は認めたくは無いが、お前は一つの正義だ。だが、その正義は僕の正義では無い、それは僕の後ろにいる二人も同じだ。」


「だから、どうすると言うのだ?」


「だから、()()()()()()()()()()()。」


「砕く、か。なら砕いて見ろ!!俺の正義、屑の信念を!!」


今、僕の目の前には男が立って僕と話している。

その男は、屑だ。

屑の人間の需要を優先し、夢見る子供の未来を絶つ。

完全にヒトを利用する事しか考えていないヒトだ。

だか、男は自分で屑と認めている。


そこが、悔しい。

屑は屑らしく自分の力、他人の権力に溺れていればいい。

なのにこの男は、自分の価値を理解し、認めているから、開き直って誇っている。


それが許せない。

早く殺さなければ、早く殺さなければ、子供の身体はどんどん蝕まれていく。

蝕まれた身体は戻る事はない。

ずっと変わらず付き合っていく事になる。

子供の頃に見た景色は変わらず、目に焼き付き、忘れたくても忘れる事は出来ない。

その様な、子供達がこの屑共の手によって次々と、創り出されている


(すぐ、止めなければ。)



僕の正義が僕を動かす。


()()()()()と。



 そして、僕の体を地獄の僕の少女が動かす。

()()()()()()()()と。

()()()が示された道は()()()

歩いた先にあるのは、()()()()


もう、見えている。


なら、使うしか無い。

僕の理想の為に。

塗り替える力。


今こそ、過去の自分を()()()()!!




ずっと眺めてる。


俺は、ヤヨイの競り合いを眺めるだけ。

俺に、彼と話す勇気が出ない。


ただある恐怖。


怖さが、全てを追い越して行く。

自分の怒りも。

この光景の酷さも。

俺を惹きつけた、()()()()()()()()も。


でも、ここままだと、また同じ結末。


逃げた後にやってくるのは、失敗した後悔よりも、大きく、苦しい後悔。

だから、この鼓動が聴こえる。

締め付ける、自分の鼓動。

これを解けば俺も、()()()()()()


生憎、俺の鼓動は止まらない。

もう、逃げる事は出来ない。

だから、俺は誓った。

()()()()()()()()()()と。


今しか無い。

 駆けろ!!

そして、少女を探せ!!そして、自分に()()()()()()




叫べ!!

「身体強化!!、創り出せ!!屑を滅ぼす粛清の刃を、過去の自分を!!僕にとっての正義を用いて、お前ら屑共を砕く!!」

身体能力の向上を感じる。

手に出るは、一本のナイフ。これが僕の正義。

もう、変に躊躇う必要はない。

 声を張り出す。

声に出して、理想を語る。

想いだけでは、完璧に理想を創り出す事は出来ない。

 この世界は僕の理想だ。

僕の理想ならば、()()()()()()

 僕が叫んだ時、全ての視線が集まる。

傲慢な屑の目も、美しい子供の目も、全てが僕を見る。


「おい、それだけか?、大口を叩いた割には、カスみたいな武器を作るな。笑」


「お前はそのカスに、身を滅ぼされる。いや、滅ぼされた。そしてもう見えている、お前の未来が。神からの力でな。」


「お前!また神の事を言う、、、、」

その時。

男は首を切り裂かれ、身体から血が飛び散り、身体が倒れ落ちた。

そして、男の死体の後ろに立つ、首を持つヤヨイ。


 


 それを見た俺は、さっきまであった駆ける気持ちが吹っ飛んだ。

ヤヨイの早さを見てしまうと、自分が駆けようとしたのが、とても馬鹿馬鹿しい。

それより俺は何故、()()()()()()()()()

 ヤヨイの目付きが変わった。

ランドー・ケンヨードを殺した時の目をしている。

俺は、()()()()()()

 ずっと、分からなかった。

だが、やっとは分かった。

ヤヨイは、()()()()()()()()


「お前は、もう砕けた。後は、この店の始末だな。」

それを見ていた、屑共の目が変わった。

客は急いで服を着始めた。

まるで逃げるかの如く。

 そして、一人がヤヨイの前に土下座をした。

「すまなかった!!俺が悪かった。俺が全て悪かった。全て反省する。だから、俺の命は取らないでくれ!!俺には、()()()()()()()()()()()()がいるんだ。」


その言葉を聞いた僕は、屑は根から屑だと改めて理解した。

「残念だったな。僕はお前を許す程、腐っていない!」


首を投げ捨て、土下座する屑の背中にナイフを突き刺す。

屑は血を吹き出し、土下座の姿勢が崩れ落ちた。

そして、屑の身体と首を切り放つ。


「汚い血だ。僕にこんなものを付着させるなんて、最後まで屑は屑だな。」

僕は想像する。

血の汚れが無い、自身の身体を。

血を()()

汚れた血は()()()()()()()()()()


僕は夢を見た少年、アルダンテに話しかける。

「もう大丈夫。君が怖がる事は無い。君の信念を壊す屑は居ない、たとえ居たとしても、僕が全て壊す。だから君を呼ぶ少女の元へ行くべきだ。」


「あ、ありがとう。」

少し不安そうな声であったが、彼の目は晴れていた。


「カゲアキ。」

「な、なんだ?」

「アルダンテと共に子供を助けてくれ。」

「あ、ああ。分かっている。」


ああ、本当に最初から分かっていた。

分かっていたのに、分かっていたのに。

忘れていた。


また、()()()()()()()()()()


此処に居る子供を助ける。

それが本当の目的だったのに、俺はいつの間にか、()()()()()()()()()、されていたのか?


(俺はいつだって、本当に動けないな。)


一人、屑が走ってくる。

「お、お、お前!!もういい加減にしろ!俺らは屑じゃない。た、ただの合法だ。だからお、俺は!悪く無い!絶対!」

酷い見た目の屑だ。

見た目も汚ければ、性格も汚い。

ヒトは性格と言うが、一人でも屑が居れば、見た目が悪いヒトは屑と言う印象がついてしまう。


だからこそ、本当に要らないヒト。ただのゴミだ。

「何度、言っても変わらないぞ。僕の正義は。それでも挑むのか?、お前は。なら、応えよう。」


「ああ、いつでも来、、い、、、。」ドタッ。


本当に、馬鹿だ。

最初から分かっていた筈だ。

()()()()()()()()()()()()

何も持っていない人間が、僕に挑んで来る。

本当に、馬鹿だ。

でも僕は手を抜かない。

手を抜いたら、()()()()

そして、また僕は、()()()()()


やっと理解した。

僕が何を成したいか。

僕が、この能力を望んだ理由が。

僕は、()()()()()()()()


「僕の成す事は、()()()()()。」







そんな、、、


嘘、嘘だよね。嘘がいい!!


嫌。信じたく無い。


どうして居るの?


酷い事をされたのに、どうして()()()()()()


「どうして、、、居るの?」







「思い出したか。お前が隠していた()()()()を。」


「ここまでは計画通りだね、創造主。」


「ああ、仙崎弥生は、私の頭の中で踊っているだけだ。わかるだろう。アルト・ジョーリック、ナーヤ・サンドラス。」


「そうですね。創造主。私は、そろそろ戻らせて頂きます。失礼しました。」


「そうか。」


(アルトが気に入っているのが彼か。やっぱり彼は馬鹿ね。私なら、奥の少女の方が気になるけどなぁ。だって、()()()()()()()()。)




彼は、自分の正義に酔う。








読んで頂きありがとうございました。

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