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心結乃熾刀  作者: 氣肚愛烙
《 Prologue 》
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彼が唯一もてた業火

 あぁ、心に向き合うって

 なんだったかな。

 薄れゆく意識のなかで、心へ直接、語りかけてくる女神の意志が聞こえ、自身に今一度問い直してみる。


 わたしは永き泥濘《でいねい》のなか、雪辱と空虚に悶えながらも、取り戻せなかった怒りとやるせなさへ

 私怨をただひたすらに、惨めに、何度も、そう何度も燃え上がらせていた。

 でも、本当のことをいうと、

 そんな負の螺旋に心は疲弊していた。


 もう思い出せない。

 優しさなどと呼ぶ感情に、最後に触れたのは、いつのことだっただろうか。

 あぁ、そんな問いもやはり、もう形を為せない。

 この滅びゆく肉体に、いくら語り掛けても仕方がないから。

 謝罪も贖罪ももはや意味を為さないんだよ。


「あぁ、、、あの時、なんで、俺は分かってあげられなかったんだろ。どうして俺はもっと俺を大切にしてあげられなかったんだろ。丁寧に自分と向き合えていたら、あぁはなっていなかった筈なのに。」


 募る責念に、胸の奥がつっかえて、吐血しそうで

 せめて、喪う前に、もう一度、微笑んで、語り合いたかった。


なんで、こんなしわくちゃな顔をぼくはみせてるんだよ。もうもどってこないのに。


心底、俺は俺を憎んだ。

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