隣りの空席
30歳の男は満員電車で端の席に座っていると、停車駅で隣りの客が降り、席が空いた。
ところが誰も座って来ない。まぁ、そんな事もある。
しかし、ショックな事が起こった。
さらに隣りの定食駅に着いた時、向かいの客が降りて、オレが座ってた時からずっと立ってたお姉さんが空いた向かいに座ったのだ。
オレの横がそんなにイヤなのか…
結局、横がずっと空席のままオレは過ごした。
家に帰り鏡を見ると、灰色のジャージ上下が何か怪しいんじゃないかと、ジャージのせいにした。
あと、自分から変な匂いがするんじゃないかと思い、香水の通販サイトを調べた。
意外にも安くで香水が売られてたので買った。75ml(1500円)は安いと思って即決だ。
服もある程度オシャレじゃないと誰も隣りに座ってくれないんじゃないか。オシャレな友達が「supremeってメーカー好きなんだよね」って言ってたのを思い出しsupremeを調べた。
「高っ!」
思わず声が出た。Tシャツだけで2万もする。
ジャージなんて4〜5万するじゃないか。しかも上下セットじゃなく上だけ。
4〜5万払ってまで隣りに知らん人、座ってほしいか?
もう空席で良いんちゃうか?
いや、こんなことじゃ一生誰も近寄ってくれない。
私は勇気を振り絞り43000円のジャージを買った。
送料無料なのにホッとした。
私は香水を振り、supremeジャージを羽織り、Gパンは父親お古のエドウィン503を履き、自分に出来る最高のオシャレで電車に乗り込んだ。
夕方行ったので帰宅ラッシュである。
前と似たような場面がやって来た。隣りに空席が出来た。
オシャレしても誰も座らない…
髪型か?髪型を忘れてたが、ツンツン短髪やからそこまで奇抜ではないはず。
顔か?…イヤ顔はオレが誰かの隣りに座る際、気にせえへんけどな。
次の日の朝も隣りは空席でヘコんでると職場の女の子から話しかけられた。
「…最近雰囲気変わりましたね」
「オシャレに気遣うようになったんですよ」
「良い感じですよ。…良かったらお昼一緒に食べませんか?」
空席が埋まった。




