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藤本落語  作者: 藤本GJ
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開花

若い男は警備員の仕事で花の水やりもしていた。


外仕事である。


警備員が花の水やりもするんだと不思議に思った。まぁ、そんなに大変じゃないから構わないけど。


ある日、警備員仲間や通行人からビックリされた。



「ここに白い花が咲いてる!」



男には訳が分からなかった。そりゃ水やってりゃ花も咲くだろう。


ある日、中年女性がやって来て


「あなたがここに水やりしてたんですか!ありがとうございます!」


礼を言われた。訳が分からない。


「警備員みんなしてるんで、僕だけじゃないですよ」


「いえいえ、あなたが来てから花が咲いたんですよ!」


「そうなんですか?」


「息子が2年前に病気で亡くなったんですが、その子が生前ここに種を蒔いたんですよ。私が水やりしても他の人がやっても花が咲かなかったのに、あなたが水をやったら咲いた。開花したんですよ。あの子がきっとあなたを素敵だと思ったから咲かせてくれたんですよ!ありがとうございます!」


「そうだったんですね。どういたしまして」


「どんな水やりの仕方をしたんですか?」


「いや、まぁ普通にこんな感じです」


本当に普通だった。特別な事はしていない。ジョウロから水をかけただけ。


「普通じゃないですか。あなたスゴいですね。天国のあの子がきっとあなたを素敵だと思って咲かせてくれたんだわ」



「……ありがとうございます」



なぜ咲いたか男は何となく分かった。


研修の時にそんな話をしてたが、男は半分寝てて聞いてなかった。バイト初日、引き継ぎの人から「水やり頼むわ」とジョウロ渡されて初めて知った。


それが良かった。知らないってのが良かった。


「咲いてくれ!」って思わなかった無欲の勝利である。


過剰に応援せず、淡々と。


世の中、無欲の応援が大事かもしれません。

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