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藤本落語  作者: 藤本GJ
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亡霊

人によって態度を変える駅員がいた。50代のベテランだ。


仲の良い駅員とはゲラゲラ笑いながら談笑し、そうでない者には冷たく無表情で接した。


それに対し『人見知り』と言う便利な言葉で自分を肯定していた。



ある日、派遣社員が駅に配属された。道案内および身体障害者の介助を請け負う人として来た。


若い兄ちゃんやから、すぐ辞めるだろう。


そう思い、素っ気ない態度で冷たく接した。


若い兄ちゃんはややこしい車イスの客に当たったのかグチって来た。


「めっちゃ偉そうにされましまわ!早く来いって言われたり、お前らは車椅子に冷たいんじゃって…」


「頑張ってください」


話の途中でぶった切った。そこから若い兄ちゃんは何も話して来なくなった。





その日の晩、駅員は変な夢を見た。死んだばあちゃんから


「あの若い派遣の子に冷たくしたらアカンで。こっち来た時知らんで」


「えっ!どっかで見てんのか?」


男はそこで目が覚めた。



3日後



また、若い兄ちゃん派遣が駅に来た。僕ら駅員全員に初日と同じように挨拶して来たので


「おはよう」とその日は言い返した。


初日はチラ見して無視していた。若い兄ちゃんから


「おばあちゃんに怒られたんですか?」


男はビクっとなった。


「えっ?俺のばあちゃんだいぶ前に亡くなってるんやけど」


答えながらも、めちゃくちゃ背中に冷や汗をかいている。恐い。


「おはようございます」


男の返事を無視し、若い兄ちゃんは誰もいない所に向かって挨拶した。


「誰に挨拶したん?まさか、俺のばあちゃん?いや、実は昨日夢で見て、軽く説教と言うか何と言うか。久しぶりにばあちゃんに会って…」


「あの世で頑張ってください」


「えっ?」


今度は男が話をぶった切られた。



そっから若い兄ちゃんに何を聞いても無視された。


そんな若い兄ちゃんが帰り際に放った一言が


「あなたの読み通り、僕は今月いっぱいで辞めます。残りの日は別の駅で働くので、お会いする事も無いでしょう。人によって態度変えない方が良いですよ。あの世で知りませんよ」



最後の言葉はばあちゃんと一緒だ。


額から汗が出た。



その日から男は死ぬのがより恐くなった。


みんなに対しても優しくもなった。


人見知りを卒業した。

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