第四十七話 叙勲式
朝飯を食い終わると、俺たちは王城へと向かった。
大通りに出ると、初めて人間の街を歩く俺は、無害だと頭でわかってはいても、大勢の人間の姿に落ち着かない。それに建物も今まで襲った辺鄙な村と違って、見慣れないものばかりだった。
「なに初めて都に来たような顔してんのよ?」
あまりにも挙動不審だった俺を、ルーンが訝る。いかん、油断して口が開いたままだった。
気を取り直して王城まで辿り着くと、建物の巨大さと荘厳さにまた口が半開きになりかけた。
門番に用件を告げて門をくぐり、中で別の兵士に案内されて城内を進む。迷路かと思うような複雑な道を黙々と進み、ようやく目的の場所に到着する。
謁見の間と呼ばれるでかい部屋には、やたら意匠の凝った鎧を着た連中と、やたら口煩そうなジジイたちが並んでいて、その中央の数段高い場所には、やたら偉そうな奴がやたら豪勢な椅子に座っていた。
「スレイ、頭が高いって」
ホーリーに後ろから頭を押さえつけられて、俺は床に膝をつく。ルーンたちも同じように片膝をつき、頭を垂れていた。
「構わん、面を上げい」
上段にいた奴――ここでは王という奴か――が尊大な口調で言うには、長年国内を荒らし回っていたドラゴンを倒した俺たちに、褒賞として領地と爵位をくれるという。まあ領地と爵位がどういうものか俺にはまだわからないが、もらえる物はとりあえずもらっておこう。
その後、王の後を引き継いたジジイたちが何やら小難しい事を言っていたが、俺は奴らの話を右から左に聞き流しながらこれからの事を考えていた。
これからの事。
当然、このスレイの身体を使って何をするか、だ。
スレイになっちまった事は仕方ない。それに関しちゃもう悩まない。だから、これから先、スレイとしてどう生きるか。それを考える。
気が付くと、ジジイたちの話は終わっていた。
何故かコングたちの目に光が無かった。




