第二十一話 まずは己を知る事
爪という選択肢を除外し、本格的に牙による攻撃一本に絞る事にした。
だがそうなると大問題が一つある。
刺さった牙が邪魔なのだ。
この問題を解決すべく頭を捻ったが、どう考えても今の段階では解決する方法が無い。せめてあと一手、噛み付いた後一度だけでいいから顎が開ければ。
例えば、俺が脳から離れて傷口に向かい、ちょうど到着した頃に顎が開くような、そんな都合のいい方法は無いだろうか。
駄目だ。俺が脳から離れて接続が切れた時点で、宿主の身体は弛緩してしまう。何故かと言うと、生物の身体は脳からの命令無しでは、立った状態を維持する事もできないからだ。まあ失神してるようなものだな。
ではどうすればいいのか。
そうだな。もしも脳からの命令ではない形で、身体に指示を出せれば。
……できるのか、そんなこと?
そもそも脳に、そんな都合のいい機能があっただろうか。
いや、それ以前に、俺は寄生しておきながら、いったい脳の事をどれだけ知っているのだろう。
そして俺自身、どこまで脳を使いこなしているのだろうか。
もしかしたら、俺にはまだ伸びしろがあるのではなかろうか。それこそ、脳から離れていながらにして、宿主の身体を思うがままに操れるような技術や能力とか、そういうのが会得できるかもしれない。
これは考えを改める必要があるな。
ここは視点を変えて、俺自身の知識や能力の底上げをしてみるというのはどうか。
いや、しなければならない。
今後の事を考えれば、これは必須項目だ。




