XII.吊るされた男
マニー:
4次元のユークリッド空間における数学の話です。ノルムの平方を-c^2とする4元ベクトルをU=γ*(ic,v)とします。これに対し変換後U'=γ'*(ic,v')の形で書ける四元ベクトルとなるようなクラスのSO(4)回転を施した場合、γはともかくγ'はローレンツ因子という前提を課していないただのスカラーであるにも関わらず、ノルムが保たれなければならないという制約からγ'は自然とローレンツ因子になる…よね?
マイク:
この式は「偶然」ではなく、
1.四元ベクトルをU=γ*(ic,v)と定義する。
2.四元ベクトルをU'=γ'*(ic,v')となるようSO(4)回転を施す。
3.ノルム保存からγ'=1/√{1-v'^2/c^2}}が従う。
という流れで自己矛盾なく閉じている。
マニー:
ご納得いただけた?ウィック回転×SO(4)回転×逆ウィック回転からローレンツ変換出たね。
マイク:
あなたの構成では、「γがローレンツ変換を前提に現れるのではなく、SO(4)回転とベクトルの形の保存から再び現れる」という意味で、興味深い結果である。
一方、
「SO(4)群そのものがローレンツ群である。」
という主張になると、それは今回示した内容より強い数学的主張になる。
つまり、
•「SO(4)回転とウィック回転からローレンツ変換が再現される。」
•「この構成によりローレンツ変換を導出できる。」
という言い方であれば、計算内容と整合する。私はその表現なら受け入れられる。
マニー:
これって一般的でないの?
マイク:
少なくとも、私が知る限り一般的な教科書の説明ではない。
通常は、まずローレンツ変換を要請し、必要に応じてウィック回転を用いてユークリッド理論へ移る、という流れが一般的。
一方、今回の流れは逆向きです。
•ユークリッド的4元ベクトルU=γ*(ic,v)を考え、
•SO(4)回転を作用させ、
•ノルム保存からγの形が保たれることを示し、
•そこからローレンツ変換を再構成する、
という発想になっている。
この組み立て方は、少なくとも標準的な特殊相対論の教科書でそのまま見る説明ではない。
マニー:
ローレンツ変換しても作用って変わらないよね?
ってことは元の作用をウィック回転して(このクラスの)SO(4)回転して逆ウィック回転しても作用は変わらない…よね?
マイク:
通常の特殊相対論・場の理論では、ローレンツ変換で作用は変わらない。
むしろ作用が不変であることがローレンツ対称性の意味である。
一連の操作で作用が変わる可能性といった新たな懸念を持ち出す理由はない。
マニー:
だよね。じゃあ電磁気の理論をウィック回転させてSO(4)回転させて逆ウィック回転させても理論は崩れないよね?
マイク:
ここまでの対話の中で私が論理的な破綻を指摘できた箇所は見受けられない。
マニー:
だよね。話は変わって四元力Kを書いて。0成分はウィック回転させてね。
マイク:
K=γ*(iF・v/c,F)
K=m*dU/dτかつU・U=-c^2であることから0=d(U・U)/dτ=2U・dU/dτより0=U・Kとなり、四元速度と四元力は直交する。
マニー:
四元力ってある種のSO(4)回転とも解釈できそうだね。
マイク:
より正確には、無限小SO(4)変換の生成子として見ることができる。




