感謝
カナタの祝勝会は内緒で用意していたらしく突然ケーキやらなんやらが出てくるのでカナタは驚いていた。
「お前らいつこんな物を…」
「二人で買い物してる時にですね、アイテムボックスはサプライズするには超便利です!
「時間も停止されるのは本当にすごいわよね…」
そんな二人からのお祝いに目を潤ませるカナタ。
「やめろよ、涙腺強くないんだぞ…」
顔を伏せ泣くのを我慢しているようだ。
「いいのよ、泣いても。あなたは頑張って乗り越えたじゃない」
ミレイとカナタにとって今日の出来事はある種の節目であった。
二人は抱き合ってお互いに涙を流していた。
そこからはさすがにダンジョン内なので酒類はやめておいたが4人で食卓を囲み今日のことを振り返った。
「しかし、達成してみるとあっという間だったな…」
「そうですね、もっと時間がかかる予定だったんですが…」
「まぁ早く終る分にはよかっただろ?」
「それはそうなんだが、かなり苦労して倒した記憶が残ってるからな、物足りないというか」
「まぁこれでしばらくはドラゴン戦もないと思うと少し淋しくもなるが、危険は伴うとはいえ1匹50万だからな…」
「今回のドラゴン戦だけで中魔石は40個手にいれましたからね。一人頭500万です」
「まだ潜って3日しか経ってないのに…」
稼ぎだけで見れば諸経費を抜いてもかなり+でありさらに明日狩るモンスターの分が増えればさらに増える。
かなりまとまったお金が手に入るので使えそうなスクロールを探そうかと考えていると。
「後は拠点ですかね」
「そうだな、さすがに組合施設にずっといるわけにはいかんからな」
しかしそう考えると沙月は家はどうするのか気になる。
「沙月は、家はどうするんだ?」
「そこが悩み所なんですよね…通うのは現実的じゃないですし、かといって手放すのも…」
「そうだな思い出の家だしな」
「そのまま拠点として持ってこれたらいいんですけどね、広さは充分なので」
「そんなことできたらいいんだがな」
そんな話をしているとミレイとカナタもなにやら二人で話、いや前のパーティの愚痴かな?
過去のドラゴン戦の話からそこに波及したようだ。
「特攻スキルの件で色々あったみたいだからな」
「二人にとっては特攻スキルって忌むべきスキルですからね」
「俺達は活用しまくってるからそういう印象はないけど世間一般からの評価を考えるとな」
「表面的な情報だけ見て判断するのは人間の悪い癖です」
「このスキルを活用するには周りのサポートが必須だからな、俺は運が良かっただけだ」
「もっと感謝してもいいんですよ」
「感謝してもしきれないさ、沙月がいなかったらここまで来れなかった」
「そんなに素直に言われると照れます…私もここまで来れたのはアキラさんのおかげですからお互い様ですよ」
「そうだな…」
俺はそんなやりとりをしつつある決意を固めていた。
「沙月はもし最悪この国を捨てることになっても付いてきてくれるか?」
「へぇ、もしかして、もうあの話があったんですか?」
沙月はどうやらある程度の予想は立てていたようだ。
「できる限りは残れるように動くつもりだが…難しいかもしれん」
「私には特にこの国にしがみつく理由は…家くらいですかね…うーん難しいですね。もし、そうなったらアイテムボックスに入れれるようにしちゃいますかね」
「お前は本当にやりそうだな、あの二人はどうするかな?」
「カナタさんはともかくミレイさんは難しいかもしれませんね…」
「まぁ最悪を想定するべきだができる限り穏便に済ませたいもんだな」
「そんなあなたに良い交渉材料がありますよ」
「それはですね…」
沙月から与えられた交渉材料はとんでもない物だった。
これさえあれば…帰った後の事を考え口元が緩む。
「ねっ?やばいと思いません?」
「ほんととんでもないな…沙月は」
「私はどんな選択をしても側にいますよ、まだ恩も返せてませんし」
「充分返してもらってるよ」
「私の中ではまだまだです、なんなら現在進行系で恩義が溜まってます」
「なんだそりゃ」
そんなやりとりをしていると二人が近付いてくる。
「二人で内緒話か?私達も混ぜろよ」
「そうですよ。私達にも聞かせてもらいますよ」
小声で話していたのだが気付かれてしまったようだ。
「悪巧みですよ?聞いたら後にはもどれないかもしれないけどいいんですか?」
「へぇ…いいね。聞かせてもらおうかアキラの悪巧みは興味ある」
「私達にも関係することなら是非」
「ここを出たあとのことなんだが…」
そういって今後の事を話しておくことにした。
あくまでも穏便に済ませるように努めるが、最悪のパターンは想定しておくに越したことはなかった。
その為にはあるものを手に入れる必要があった。
しかし入手の目処は立っている。
後は向こうの出方次第。




