草
森林破壊のおかげでなんとか目的の物がドロップした。
「この草なのか?」
「ええ、一応他のドロップ品にもそれ相応の効果があるものが混じってるから粗末にしてはダメよ」
ちなみに、あの若返りの霊草は一つもドロップはしなかった。
スミレに効果がある草も一つしかドロップはしなかったのでやはりドロップ率はかなり悪い。
「元々、あれだけの大火力で狩れる探索者が少ないのだからほんとに凄いと思うわよ」
と母がサキを褒めていた。
「光栄です!」
「それでこの草を飲めばいいのか?」
「そんな訳無いでしょ?」
と言ってその草を手に取りその場で母は『錬金』を発動した。
「この草とキュアポーションを合わせて『錬金』することで出来るのよ」
と言ってポーションを取り出して草と一緒に光の玉の中に投入する。
「私も錬金は持っていますが、そんなレシピはありませんでしたけど…」
「基本的にこの手のアイテムは材料を本人が手に取らないとレシピは出ないわ。見えてるレシピに余り囚われない方がいいわよ」
と母が沙月へアドバイスを送っていた。
「そういう仕組みだったんですね…」
と感心している様子だった。
割と知らない事が多い印象がある沙月だがかなり長い期間をダンジョン探索に費やしていた母の知識量はとんでもないようで教えられる事が多いそうだ。
「はい、これで完成!」
といってあっという間に完成させてしまった。
「これでほんとに…」
と渡された薬を持ってスミレが感慨深い表情をしていた。
ここ数年付き合っていた自分の病気が完治すると言われてまだ実感がわいていないのかもしれない。
緊張しながらも薬を飲み干した。
飲み干すと身体淡く光る。
ポーションを飲んだときと同じ反応だった。
本当に効いたのか半信半疑のような表情をしていたが、実際現状症状がでていなかったので実感がないのも無理ないかもしれない。
アイラさんの場合は、常時症状がでていたのですぐ判別出来たが、スミレの症状はすぐに現れるものではないのでしばらく様子を見るしかない。
ちなみに、他のドロップ品には不穏な名前の草も多かった。
「狂草とか不穏な名前だなぁ…」
「こっちの美草はちょっと気になりますね…」
と沙月はみていた。
ちなみに先程の錬金に使った草の名前は治草とかいうふざけた名前である。
「ネーミングセンスが終わってる気もするけどわかりやすいからいいのか…」
「基本単体で飲んでも効果はないものしかないからね、『錬金』なんかの加工スキルがないと無意味よ」
戦闘だけではダメでしっかり加工スキルも持っていないと活かせない辺りが厭らしくも感じるが非常に利に叶っていた。
人類全体で助け合うようにという心遣いなのだろう。
まぁ規格外の存在のせいで単体運用されてしまっているが…。
「懐草これは?」
「それがモンスターに好かれる薬の材料よ。モンスターにとっての媚薬みたいな感じ。ちなみに人間には効果はないわ」
と言った瞬間に沙月が少しびくっとしていた。
「怖草これは?」
「それは…ってこの流れ全部する気?」
ちなみに落ちた草は全部で10種類以上。
討伐数を考えるとソフィアを連れてきてもよかったかもしれないが…残念ながらソフィアは色々と仕事に追われているので仕方ない。
「まぁでもあれだけ倒してこれだけしか落ちてないという事はそれぞれドロップ率はあんまり高くないんですね…」
2枚落ちたのは美草のみで他は1枚しか落ちなかった。
残りの草の効果については沙月に後で説明するそうだ。
「アラクネの方は順調かな?」
「まぁ倒すのは問題ないと思いますけど問題はドロップするかですからね…」
昨日結構討伐したが1個しかドロップしなかったアイテムなので恐らくドロップ率は渋い。
「あれの数が揃い次第、ボス攻略にいくんだろ?」
「はい、管理化に置いた方が便利ですからね…」
という訳でそろそろ倒す算段についても立てる必要もある。
メンバーの選定に関しても結構悩ましいところである。
そんな話をしていると沙月とスミレの背後から手が伸びて抱きかかえられる。
「じゃあそれに備えて特訓に行きましょうか?」
「あっ…」
「えっ…いやあーしは別にそっちには」
と驚きながらも諦めた表情を浮かべている沙月と前回の惨状をみたせいで怯えているスミレだった。
「頑張ります!」
サキに関してははりきっている様子だった。
キャラが変わりすぎている。
いや、素があれなのか?
まぁ反論の余地もなく連行されていく。
「あんたも組手付き合いなさい」
「本気でやっていいんだよな?」
「もちろん」
という訳で俺にとっても有難い話であった。
転移石で10階層へと戻った後は沙月達はまた地獄を見ていたが…耐えてくれこれも今後の為だと目を逸らすしかなかった。




