沙月side
一連の流れを見ている事しか出来なかった私はすべてを飲み込むしかなかった。
「ふぅ⋯これで邪魔者は消えた」
アンノウンがそう言いながらこちらに近づいてくる。
まずい⋯本当にまずい。
アキラさんを取り返して⋯逃げる。
本当はあっちのルーシェルに仕込みをしておいたのであいつを人質にして逃げる予定だったのだが⋯。
後退りをする。
「ああ、警戒しなくても良いわよ。これ渡しておくわ」
そういってアキラさんを渡される。
「えっ!?」
「悪いんだけど私も限界なの⋯意識を失う前に伝えておいて頂戴⋯アキラ強くなったわねって」
といってアンノウンはその場に仰向けに倒れた。
先ほど確認した時に彼女の名前が清水聖歌であることは確認出来ていた。
しかし、記憶が戻っていないのであればそれは赤の他人と同じである。
「記憶が戻ってたんですかね」
「どうだろ⋯薄っすらとって感じだったのかも」
「そうなんですか?」
「もし完全に戻ってたのなら聖歌ならもっとうまいこと立ち回ってたでしょうし⋯戦ってる間に身体が思い出したとかそのレベルじゃないかな」
彼女のことをよく理解している京香さんが言うのでそういう話だったのかもしれない。
何はともあれ安心した。
これですべての障害は排除出来た。
正直彼女の強さからすると、もしここに全員が戻ってきても制圧された可能性すらあった。
油断した訳ではなかった。
アキラさんよりも強い事も想定していたしその対策も立てていた。
それを踏まえてもも彼女は規格外だったと言わざるを得ない。
「危なかったら引きましょうって言っておいたのに」
と言いながら手渡されたアキラさんの頬を撫でる。
しかし、あのアキラさんが完全に敗北したかと思っていたのだが、相打ちだったようだ。
攻撃が効かなかったのは『無敵』スキルの効果だったようで特定の範囲内で受けたダメージは解除後に受けるスキルだったようだ。
そのせいか身体中に先ほどアキラさんに負わされたであろうダメージの痕が現れていた。
「無敵ってそういうスキルだったんですね⋯使い勝手悪い⋯」
とぼやく。
アキラさんが何度か距離を取ったというのに接近してこなかったのはこのスキルを使用していたからだったようだ。
まぁそんな聖歌さんとアキラさんは双方ボロボロなのでとりあえずキャンピングカーを出して寝かせておく。
『色欲王』の効果があるので念のため枷をハメてから中に寝かせておく。
「それであいつのスキルって何があったの?」
と京香が尋ねてくる。
「ええっと固有スキルの『色欲王』は」
『色欲』
・自身への好感度が高い者からスキルを奪うことが可能。(接触必要)
・好感度に応じて奪えるスキルが変化する。
・奪えるのは1人(匹)につき1つまで。
これがランクアップして一部能力が強化されている。
『色欲王』
・奪ったスキルを好感度に応じてレベルアップさせる。
好感度という概念があることについては自身のスキルに親愛度という項目があるのですんなりと受け入れられる。
「ってスキルですね⋯いやぁ怖いです⋯」
「でもこのスキルってかなり手間がかかるわよね、それこそ長く一緒にいないと」
「人相手であればそれなりに時間はかかると思いますけど⋯モンスター相手だと結構楽かもしれませんよ」
「このスキル、モンスターからもいけるの!?」
「私が作れる薬品の中にモンスター用のが何個かあるんですよね⋯テイムモンスター用かと思ってましたけど⋯」
彼女が『錬金』スキルを持っているのも怪しい。
恐らくモンスターの好感度を上げてスキルを取得している。
そうでもなければ彼女のスキルの数に説明が付かない。
それでも『王権』も含めて3つの固有スキルを持っているので他にも2人からスキルを奪っているのは確実なのだが⋯。
強力な固有スキルを所持していた。
『ワンマンアーミー』
・パーティ人数が少なければ少ないほど能力が上昇する。
『未来予測』
・周囲の情報から予測して未来を観る事が出来る。
この2つがあのアキラさんと互角以上にやりあえた理由。
先ほどの攻撃にも使っていたのは⋯。
『空刃』
・空気の刃を作り出す
アキラさんの攻撃を凌いでいたのは
『無敵』
・一定フィールド内では無敵になる。
効果が切れた際にフィールド内で受けたダメージはすべて効果終了後に反映される。
他にもアイテムボックスや水魔法など主要なスキルはすべて取得していた。
まさしく所有しているスキルの通り、ワンマンアーミーである。
1人で何でも出来る代わりに連携するようなスキルはほとんど所有していない。
恐らくそういうスキルを優先して取得しているのだろう。
「でもこれでDDDは終わりじゃない?」
「あそこの国の始末は色々と考えてたんですけどね」
彼らを生かして捕えようと策を練ったのはあの国の存在があったからである。
「国王の失態を国民すべてに責任を取らせる訳にはいきませんから」
あの国の仕組みはとても歪⋯。
普通の国とは違いよくもわるくも独裁国家⋯上が潰れればすべてが終わり。
もしそうなれば近隣諸国に食い物にされるのは目に見えている。
「大きな力を持つっていうのは大変ね」
「人間同士で争ってる場合じゃないんですけどね⋯」
こんなことをするよりもダンジョンを攻略していた方が余っ程、健全で利がある。
「大分予定と変わっちゃいましたけどね⋯」
上だけすげ替えてしまう予定だったのだが⋯。
幹部連中は残ってはいるけど、ここからどうすればいいんだろうか。
親子揃って私の予想を超えてくる⋯。
全くこれからの事を考えると頭が痛い⋯。
まぁそんな所に惹かれている私が言う事でもないか。
そんな事を考えていると堅牢を連れてミレイさんが出てきた。
さてここからが私の腕の見せどころである。
戦闘で役に立たなかった分ここで活躍させてもらおう。




