歓迎会(スミレ+ツバキ)
歓迎会に関しては終始なごやかにというか俺は割と蚊帳の外でスミレとツバキがみんなに質問攻めにあっていた。
特にスミレは俺の昔話を聞き出そうと問い詰められていた。
ツバキの方は、ファッション系の話が弾んでいるのかランやソフィアと話をしていた。
特にアニメや、マンガ関係の話題で盛り上がっているように聞こえる。
「まぁ仲良くしてるようで何よりか…」
「親目線で見てるんですね~」
とアカネが近づいてきた。
「まぁ保護者的な目線で見てるのは否定しないけどな」
「そういえばアニメ化の方の企画は順調ですよ」
「それはよかった。まぁ放送されるにしても来年とかだろ?」
「早く作ってもクオリティが犠牲になりますからね。妥協は出来ません」
完全にアカネに丸投げになってしまっているアニメ企画だが順調に進んでいるようで何よりである。
監督までは決まっているはずなので、後は周辺のスタッフ等の起用などやることや決める事は山積みである。
放送されるのは来年になりそうである。
「それにしても広報要員は助かります」
「そうか?1人でなんとかなってそうだったが」
「1人でやれるっていうのと人が足りてるかは別問題って事です」
話を聞いた所、Vチューバー活動に関しては本人が行う必要がありもっと言えば情報の精査なんかもアカネが対応している。
「セキュリティ関係の業務もあるので結構カツカツでして…」
「それにしても広報系の仕事ってそんなにあるのか?」
「ダンジョン関係の情報を小出ししてるんですけど私のチャンネルでお知らせするのも変ですしミレイさん達の配信チャンネルでほそぼそと情報を発信してるだけなので明確に配信したかったんですよね」
「あれって政府管理じゃなかったんだ…」
「私が管理したほうが安全なので…」
と俺の知らない所で色々と苦労していたみたいだ。
「2人を前面に押し出して本格的に配信していけるのは非常に助かりますね…ある程度ダンジョンの情報を出していかないとうちだけじゃ世界的な需要を賄いきれませんからね」
アカネの言うことも最もでミスリルや転移石の情報などは、発信して世界で供給して言ってももらわないととても賄いきれるものではない。
こちらの強さの根幹たる情報を流すつもりはないが人類全体が強くなる=攻略が進む事に繋がるので積極的に情報を発信しているのだが…。
「それにしても成長が遅いんだよなぁ」
「そもそも普通は、レベルを上げるにはとんでもない時間がかかりますからね…うちはズルしてますけど」
「それはそうなんだけどな」
という訳でスミレとツバキにも仕事が待っていそうで何よりである。
実際組織的には、沙月がトップでミレイ、サキが経理や総務関係で補佐。
アカネが情報セキュリティ等を担当、今までは広報も兼務。
って感じで回っている。
俺や他のメンツは実務要員といった感じである。
まぁ実際運営については、ほとんど把握していないのでどういう運営をしているのか知らなかったりする。
「まぁ俺に手伝える事があったら言ってくれ」
「了解です」
歓迎会は無事に終了した。
スミレ達が困っているようなら助け舟を出すつもりだったのだが元々社交的…というかアイドルだったのだからこういう集まりは問題ないみたいだ。
スミレの所に言って伝えたのは一言だけだった。
「俺の秘密を聞く気になったらツバキと一緒に言ってくれ。伝えておくことがある…」
他のメンバーには話している以上スミレ達にも話しておく必要がある。
本人達が聞きに来たいタイミングで来てもらえば良いと思い伝えておいた。
とりあえずモバイルハウス戻りって久方ぶりの風呂に入る。
「やっぱり自分の家の風呂は落ち着くなぁ~」
「それは同意ね~なんていうか回復力が違うわ~」
「もう慣れたけどほんと隙があればくっついてくるな」
「人前では遠慮しているのだから感謝してほしいわ~」
「へいへい」
「それよりもワタクシに何も反応しないあなたの身体の方が心配ね」
「もう、慣れた…女性ばっかりのパーティだからなそういうのを出すのは控えてるからな」
「姉妹にくっつかれて反応してたように見えたけど?」
「くっ変なとこ鋭いな…」
「だって言うのにワタクシに反応しないんだからちょっと傷つくわね」
「いっとけ」
といつものようなやりとりをしてから風呂を出てのんびりしていると…来客があった。
開けると立っていたのは、スミレだった。
「こんな夜分に男の部屋を尋ねてくるのはどうかと思うが?」
「大丈夫1人じゃないから」
スミレに隠れてツバキが立っていた。
「夜分にすみません…」
「覚悟を決めるのが早いことで」
「話し振り的にみんな知ってる事なんでしょう?だったら私達も聞いておきたい」
「そうか…まぁそういうことなら聞いてもらうかとりあえず部屋に連れ込むと怒られそうだからリビングで」
俺とスミレとツバキはリビングに移動する。
「さて、どこから話をするか」
俺は掻い摘みながらここまでの生い立ちを伝える事になった。
2人は驚いた表情を浮かべながらも後半の内容に聞いてどんどん表情が暗くなっていく。
「こんなとこだな。驚いたか?」
「驚いたというか…あんたそんな人生を歩んでたのになんでそんな平気そうな顔してんのよ」
「平気って訳ではなかったんだけどな…大分吹っ切れたって感じだな。それでどうする?こんな俺が嫌って言うなら大人しく身を引くつもりだが」
「そんな事はない!絶対にない!あーしは、どんなあんたでも受け入れる!」
と立ち上がり大きく宣言をしてくる。
そこまで言われるとちょっと恥ずかしい。
「お姉ちゃんほどの覚悟はないですけど、私はアキラさんが悪い事をしたとは思ってませんしとやかく言うつもりもないです」
とツバキも続いた。
「ってかそんなことやらかした奴の方が許せないんだけど!」
とスミレは憤慨していた。
地団駄を踏んで怒っていた。
「そこまで怒ったのはスミレが初めてだな。まぁやらかしてた奴はもうこの世にいないからな怒りの矛先はないわけだが」
「そうなの?」
「アカネのおかげでな…ひどい最期だったそうだよ」
まぁ正直それですっきりした訳では無いのが難しいところではあるんだが。
「そっか…それでもやっぱり許せない!」
「その気持ちだけで充分だ…まぁ特に問題がないようならこれからもよろしくな」
「こちらこそ」
「よろしくお願いします」
と2人が頭を下げた。
伝えるべき事を伝える事が出来て心の余裕が出来た。
「よかったじゃない伝えられて」
部屋に戻るとシトリーが現れ声をかけてくる。
「そうだな、胸の支えが取れたよ」
「他の人に受け入れられても本人は吹っ切れてないみたいだけどね」
「そう簡単に吹っ切れるもんではないからな」
「全く…ほら寝るぞ」
といってシトリーに抱きつかれベッドに倒れ込む。
シトリーの温もりを感じながら眠りについた。
過去の話をした後は、どうしても気分が落ちる。
シトリーのおせっかいはとても助かった。




