相談事
部屋に戻ったがまだ二人は戻ってきてはいなかったようだ。
恐らく席を外していたのは1時間は経っていなかったと思ったが思いの外時間がかかっているようだ。
それから10分も経たないうちに二人は戻ってきた。
「待たせて申し訳ない」
そういって氷川さんは入ってきた。
「いえ、こちらも席を外してましたので先ほど戻ってきたばかりなのでこちらがおまたせすることにならなくて良かったです」
後ろから沙月も入ってきたがその表情は少し暗かった。
「すまないが小林さんは今日は帰ることができないので君一人で帰ってもらうことになる」
申し訳なさそうな顔で頭を下げる、氷川さんだったが・・・
「あっ私もこちらに泊まって検査することになったので私も帰りません」
どうやら氷川さんには、日和の話は通ってなかったようで驚いたような顔をしていた。
「おっと、そうなのかじゃあ連絡しとかないと」
そういって氷川は電話をしながら出ていく
「なんかあった?」
二人になった為、様子がおかしかった沙月に声をかけた。
「あっいや、気付いちゃいました?」
「なんとなくね、出てった時と違って明らかに表情曇ってたからさ」
沙月からきいた話では出ていった後に魔力値の高い人間に起こった出来事を聞いたとのことだった。
「あの、もしかしてこの施設の宿泊施設に泊まりますか?」
「ああ、この施設に宿泊することになるって話だよ」
「じゃあ、後で相談にのって頂けますか?」
「もちろん、俺で良ければ」
そんな話をしていると氷川さんがもどってきた
「お二人ともこの施設に宿泊とのことなので案内します、食堂なんかも一緒に案内させてもらおう」
それから専用のゲートを通り宿泊用の施設及び食堂を案内された。
検査などで宿泊になる人の為に宿泊施設が併設されておりなんなら一部の職員もここに泊まっているとのことだ。
宿泊用の着替えなども売店で一緒に販売しており、俺と沙月は二人とも検査で宿泊ということになるので無料で支給された。
氷川から連絡受けていた日和とは食堂で合流し一緒に夕食を食べることになった。
「私はまだ仕事があるので失礼する。日和君あとはよろしく頼む」
「わかりました、氷川部長。後は、おまかせください」
日和の様子が俺に接した時とは比べ物にならないくらいに丁寧だったのを少し気になったが黙っていることにした。
「さーて、ちょっと早いけど夕食にしようか。そのゲストカードで3食は無料で食べれるから好きに使っていいよ」
そう言われ日和に続き料理を注文した。なんなら朝から何も食べていなかったので良い匂いのせいかようやく空腹だったことを身体が思い出したようだった。
明日からの挑戦への景気づけとかつ丼定食の大盛を頼んだ。
「大盛りにしたんだねぇまぁ明日から再出発だもんね」
「そうですね、それにタダならたくさん食べておいた方が良いってもんです」
「それは間違いないわね」
そんな話をしていると迷っていた沙月が大きな鍋を持って戻ってきた
「こんなものまであるなんてすごいですね!」
沙月が頼んだのはもつ鍋だったようだがこれは一人で食べる量なのか・・・・明らかに女性が一人で食べる量を超えていた。
「大盛りも無料だったから大盛りにしちゃいました」
沙月はそういってパクパクと食べ始め最初はすごい量だった具材がどこにそんなに入る所があるのかと様子を日和と一緒に眺めていくことになった。
「さて食事も終わったし、私の部屋でお話しましょうか?二人とも聞きたいことがあるみたいだしね」
沙月の相談内容についても日和に相談することは了承済みだった。正直専門家の意見がないと二人では解答を得ることは難しい。
「いいんですか?今日あったばかりなのに部屋に案内しても」
一応生物学上は男だ、嫌がる女性が多いことは知っている。
「ああ、いいのいいの部屋っていっても家に帰るのめんどくさくてここの宿泊施設を使ってるだけだから。ずっと使ってるせいで自室みたいになってるけどね」
それはいいのか?と思ったがこの女性は印象とは違ってかなり優秀な人物なようで先ほど名前で検索したらダンジョンにおける研究者のなかではかなり有名な人物だった。
少し移動して部屋に案内されたが宿泊施設というよりは確かに彼女の自室といっても過言ではないほどに物が散乱していた。
「ちょっとだけ待ってて」
部屋をあけた瞬間に少しまずったという表情をして部屋に一人で入っていった。
中からドタバタとなにやら物音がしていたがここは先ほどのもみなかったことにするのが紳士というものだろうと思い黙って待つことにした。
五分ほどして彼女は慌てた様子で扉をあけた。
「おまたせ・・・いいよ入っても」
先ほどのいろいろ散乱していた物はどこにいったのかという位に片付いていたが所々に片付け残しというか物が残っていたがまぁ気に留めないことにしていたが下着らしいものがベットの下に落ちていたのを見つけてしまい。
「小林さん、ベッドのところの物を指摘してくれ」
と小声で伝えた
そういうと沙月はアッという表情になり日和に近づき小声で何かしゃべっている
その様子を見て見ぬを決め込み、その間に下着を慌てて回収したようで日和は肩で息をしていた。
「はぁはぁ、さてじゃああなたたちの相談事を聞きましょうか。そこにかけて頂戴」
そういってソファーへと促された。
彼女はパソコンの前にある椅子に座りこちらを向き息を整える。
二人はお互いに相談事をすることになっていたが正直俺はそんなに相談することはない、そうなると沙月の相談事から解決することが先決と感じ沙月に先に言うように促した。
「じゃあ、すいません。私の今後のことで聞きたいことがありまして・・・」
沙月は申し訳なさそうに話だした。
 




