それぞれの心の変化
文化祭を終えて学校で変化が……?
13話です
劇は成功を収め、文化祭をつつがなく終えてからこっち、ある変化が起きていた。先輩後輩関係なく連日のように学校の男子から萌への告白が続いているのだ。そんな状況に優大は一人快く思っていなかった。
「……ったく、文化祭から後にどうしていきなりあんだけ沢山の男子達が萌に声をかけてるんだよ……? 気に入らない。確かにあの時の演技は最高だったよ。そこに魅力を感じたのは嬉しいけど……。だからってあいつらは萌のことをちゃんと分かって接しているのだろうか?」
優大は男子達に囲まれて戸惑っている萌を眺めながらむくれる。
「居~村!」
「…! 和也か!」
「萌ちゃんが男子達と話してるからって妬くなって」
「ばっ……、妬いてないし! ただ……幼馴染として変な男に絡まれないか心配しているだけだ!」
「ふーん、そ」
「…………。で、何の用だ?」
「おっと、親友に対してなんちゅー言い方だ~? 用がなければ来ちゃダメなのか?」
「いや、そういう訳ではないが……」
困惑してる優大に和也はニマニマと笑う。
「な、何だよ……」
「いーやー、別にー?」
「……」
親友の態度になんか腹が立ったので彼はふいっとよそを向くと、たまたま藍と目があった。
(あ……)
しかしなぜか慌てて彼女にふいっと目をそらされてしまい、優大はなにやら謎の悲しみに陥るのだった。そして部活が終わり片付けをしていても二人の姿はなく、いつもなら萌が来るのに、人気者になってからはまったくここに来なくなった。
これが所謂幼馴染離れというやつかと一人悲しみに暮れながら電車に乗り、ゆらゆらと揺れながら家の最寄り駅に着く。そして彼はポケットに手を突っ込んで下を向きながら歩く。風が容赦なく吹き、優大の懐を一気に寒くする。
(いつもなら隣に萌がいるのになー……)
「…………萌」
「優君っ!」
彼が一人呟いた時、後方から一人の女子が呼び止める。
「……! え、萌か!?」
「う、うん。どうしたのそんなに驚いて……?」
「あ、いや……別に……?」
「?」
夕日に照らされながら優大は頬を少し赤く染めた。
日がもう山の上にいる。日が落ちるのが随分と早くなった。二人は公園に行き、ブランコをこぐ。
「……ごめんね。なかなか一緒に帰れなくて。放課後になるといつも誰かしらに呼び出されるの……」
「仕方ないさ。けどそれは良いことだよ……。やっと周りの男子達が萌の魅力に気づいたようだから」
「……」
キーコーと二つのブランコが交互に揺れる。
「……それで何か話があってここに来たんだろ?」
「……うん」
萌はブランコの揺らすスピードを落とし、優大に最近あった困ったことを吐露する。
「姉さんが……最近冷たくて……」
「え? 藍が……?」
「うん……」
話を聞くと、どうやら文化祭以後からのことらしい。
「話しかけても全然優しく返事が来ないし……。やたら私へのあたりが強いのよ……」
「……」
文化祭からで藍が気にしそうなことと言えば……、やはり萌の芝居……のことだろうか。確かにあの時の萌の演技は凄まじかった。あれは努力型の藍とはまったく違った表現の仕方だった。
「だから……私は姉さんにどう接したら良いか分からなくて……」
「……。分かった。藍に一度それとなくどういうことか確かめてみるよ」
「え、本当!?」
萌はぱあと急に明るい声を出す。
「あぁ、勿論……」
「ありがとう。さすが優君! ……良かった~。嫌われてなくて……」
「?」
家に戻った優大は藍にメッセージを送った。藍はなかなか忙しい人間だ。話す時間を探すのが大変……、
そして翌日。
「おはよう……」
我が家の玄関を開けると、藍が落ち着きなく待っていた。
「へ? 藍、仕事は……!?」
「よ、呼んだのはあんたでしょ!? だから時間をやり繰りしてここで待ってたのよ!」
「あ、ありがとう」
そしてニコーと藍は笑う。
二人して駅まで歩くが、優大はなにやら照れくさい気持ちになる。
(朝から藍と二人で登校することはなかなかなかったから、なにか変な感じだな……)
「それで話って何?」
「え? あぁ、それはだな……」
(いや直接の聞き方はまずいんだった……。婉曲に、婉曲に~……)
「最近仕事で困ったこととかあるか?」
「え? ……そうね、今回やる役がヤンデレ系だから、どう演じたら良いのかなかなか摑み所が難しくて……」
「あぁー、ヤンデレ系……。そうか、なるほどね…」
ヤンデレ系。うーん、男ならストーカー的な感じになるのかな……? だとすると、粘着系とかになるのかな。いや、男のヤンデレと女のヤンデレは違うな。男の望む女子のヤンデレは怖可愛いイメージだから嫉妬嫉妬した感じだろうかな。
「その相手を好きで好きで堪らなくて、その人に近づく女子がいたら無性に妬いて妬いてするイメージじゃないかな?」
「だとすると粘着系?」
「ふむ、あながちそれで間違ってなかろう」
「好きな相手と周りに嫉妬しながら」
「狂気も入り混じりながら」
「ふむふむ……。あ、もう駅に着いた」
「え?」
ガタンゴトン、ガタンゴトン。
「電車に二人で乗るのってなんか照れちゃうね~」
「あれ?」
プシュー、ガラガラ……。
「よーし、学校に着いたー」
「あれれ?」
話は次の芝居ばかりして、本題を待たずに気づけばもう学校に着いていた。
(まずい、このままでは……!)
「おーい、優大ー。早く学校に行こうよー」
「あのさー藍……! そのー……、次の土曜日にウチに来ないか?」
「え?」
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