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もしも十年前に戻ったら  作者: 茶々
プロローグ 二週目の始まり
9/28

#9一年ぶりの故郷


 中学二年になった。

生徒会に入ろうとしていたが、中学は部活と勉強と習い事を多くやりたいので、生徒会はやめておいた。高校では入るかな。

兄は、コンビニでのバイトを始めていた。

それなりに頑張っているようだ。

 中卒という学歴なので、色々厳しいだろうけど、頑張ってほしい。

習い事は少し減らした。

習字はもうやめた。習字を始めた目的が、字をきれいにすることだったので、目的はもう達している。今後やっても意味はないだろう。

ピアノはやめない。音楽知識が欲しいと思っていたから、その最初のステップだ。

 中二の勉強はいままでのどんな勉強よりも真剣にやっている。

なぜかというと、中二の年は前回の人生で欠席ばかりしていて、知識がゼロだからだ。

ここだけは二週目の利点がない。まじめにやらなければ簡単においていかれそうだ。

前回の人生よりも基礎をしっかりやっているから大丈夫だとは思うが。

 そんなわけで、中二になっても大して変わらない日々を歩んでいた。


 中二の夏休みになった。

吉田と、塾が同じなのでいつものように顔を合わせている。

前回の人生でも、中三の時に塾が同じだったので、その時を思いだす。少し懐かしい。

なんだかんだで前回の人生の記憶は減っていくと思っていた。

だが不思議とずっと忘れない。僕が十年前に戻ってきてから四年ほど経ったはずだ。

もうこの人生にも慣れてきた。だが前回のくそだった自分も忘れずに生きていきたいと思ってはいる。なぜなら前回の人生もそれなりに楽しんでいたからだ。

嫌なことや、理不尽だと思う事。後悔することは前回の人生で多くあったが、それを上書きできるほどに人生を楽しんでいた。そんな記憶がある。

なので今回の人生では、その楽しさも手に入れたい。欲張りかもしれないが、今の僕ならできる気がする。

まだバイトができる年じゃないので、自由に使えるお金が少ない。なのでまだその時ではないと思ってるが。高校一年生になったら、前回の人生でやっていたような楽しいことをやり始めよう。余裕があればだが。


 夏休みの日々が進んでいき、北海道に遊びに行く時期がやってきた。

去年の冬休みは、まだこっちに来たばかりだったし、行くことはなかったが、中二の夏は行くことになっていた。

兄も、来るようだ。

親はついてこない。なので、僕と兄で向こうの祖母の家にお世話になりに行く形だ。

会うのは一年ぶりなので、少し久しぶりに感じそうだ。

前回の人生でも、年に二回は会いに行っていたので、 一年会わないというのはとても久しぶりだった。

まあ変わりがないのは知っているが、それでも久しぶりに会うのは楽しみだ。

兄も友達に会うのを楽しみにしている。

僕は、正直友達と会うかは悩んでいる。

兄の友達で、前回の人生でもずっとかかわりがあった友達が一人いる。そいつには会いに行こうと思っている。

だが、ほかの友達。特に林さん。

会うべきなのか、悩む。正直に言うと、会いたい。

何を話すというわけではないが、ただ会いたい。だけど連絡先を知らないので、会うのが少し難しかったりする。まあ会えそうなら会うぐらいで考えておこう。



 北海道に行く日が来た。

飛行機の予約などは、親がやってくれていた。

自分でもできるが、今は前の人生と違ってお金がないので、仕方ないだろう。

電車に乗って空港に行き、飛行機に乗る。

兄は、子供だけで飛行機に乗るのが初めてだからか、とても戸惑っている。

まあ僕は慣れているので、兄を先導して、飛行機に乗る。そうやって先導していると、当然兄は。


「お前ってほんとに大人すぎないか?」


 と、聞いてくる。

まあ聞かれても仕方ないかもしれない。

前の人生でも、一人で飛行機に乗ることが多かったので、周りの友達からは大人っぽいと言われたりしていた。

それと同じ感じだろう。慣れれば難しいことなんて一つもないんだけどね。


 飛行機に乗り込み、北海道へ向かう。

あっという間に北海道につき祖母の家がある駅まで向かう。

駅に着いたら、ばあちゃんが車で迎えに来てくれていた。


「ひさしぶり、颯ちゃんに恭ちゃん」


「久しぶりばあちゃん」


「久しぶり」


 兄は、少し気まずそうにしている。

兄が高校に行っていないことを当然ばあちゃんは知っている。そのせいだろう。

まあ僕からしたら、前回の人生で祖母の家で引きこもっていた兄を知っているので、全然ましだと思うんだけどね。あの時バイトもしてなかったし。


「恭ちゃんバイトは頑張ってるの?」


「う、うん、初めてのことだから、色々と戸惑ってるけど、何とか頑張ってるよ」


「そう、よかった」


 ばあちゃんが安堵の言葉を吐く。

なんだかんだで心配していたのだろう。


「颯ちゃんは変わらずかい?」


「うん、少しだけ習い事減らしたけど、変わらず過ごしてるよ」


「相変わらず偉いねぇ」


 ばあちゃんはそう言って、息を吐く。

何というか、しっかりしすぎてて呆れられているような感じがする。まあ分からなくもない。


 そんなこんな車の中で話していると、すぐに家に着いた。

一年ぶりの祖母の家は、当然変わっていなかった。やはり落ち着く。


 部屋に荷物を置いて、リビングに行く。

時間はもう夜なので、ばあちゃんがご飯を用意してくれる。

 こちらには四日ほど滞在する。

僕が五歳の時に亡くなった母方の祖父母にも会いに行かなければならないので、時間は多めにとっている。

まあせっかくの北海道なので、少し長く居たいという気持ちも当然あるんだが。

 とりあえず明日は、祖父母の家に行くことになっているので、友達に会ったりはできない。

兄はすぐにでも会いたそうにしていたが、まあ我慢してもらおう。


 ご飯を食べ、風呂に入り、寝る準備が終わった。

飛行機などでの移動が長かったので、少し疲れている。

なので、すぐに寝ることにした。


 僕は、部屋に行き、布団をかぶる。

布団をかぶったら、すぐに眠りにつくことができた。



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