↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
91/223

第91話 リリス

黒霧の森攻略から一日後。


忘れられた洞窟は久しぶりに静かだった。


戦後処理。


素材整理。


負傷者確認。


軍団再編。


やることは山ほどある。


それでも全員の表情は明るかった。


実ダンジョン戦勝利。


順位は942位から934位へ上昇。


成果は十分だった。


「黒影樹はどうなりました?」


リリスが聞く。


管理室の隅。


そこには昨日回収した黒影樹が植えられていた。


正確には移植用の魔法陣に固定されている。


黒い幹。


夜属性魔力。


独特な存在感。


「定着中だ」


アルベルトが答える。


情報解析。


表示。


⸻


黒影樹


定着率


87%


⸻


「高いですね」


「ああ」


このまま行けば忘れられた洞窟で育つ。


かなり大きい成果だった。


夜宝守も満足そうである。


黒影樹の周囲を何度も巡回していた。


もはや自分の畑らしい。


「グル!」


「分かった分かった」


リリスが適当に返事をする。


夜宝守は満足した。


単純だった。


その横ではナイトレイブンウルフが眠っている。


黒影果を食べ過ぎたせいか、昨日からずっと寝ていた。


進化条件達成率は六十三%。


順調すぎる。


「この子も大概ですよね」


「そうだな」


今後の切り札候補。


伝説級候補。


将来が楽しみだった。


その時。


新しい通知が現れた。


⸻


実ダンジョン戦報酬配布


⸻


「あ」


リリスが声を漏らす。


忘れていた。


まだ報酬が残っている。


一覧が開く。


黒霧狼王の牙。


夜属性結晶。


黒影果。


シャドウファング素材。


ブラッドファング素材。


大量だった。


さらに。


登録一覧も増えている。


「増えましたね」


「ああ」


アルベルトの目が輝く。


リリスは嫌な予感しかしない。


案の定だった。


次に開かれたのは配合画面。


「やっぱりですか」


「当然だろう」


当然らしい。


全く反省していなかった。


新素材。


新魔物。


新候補。


配合士が興味を持たない方がおかしい。


アルベルトは真顔だった。


配合候補一覧が展開される。


一気に増えていた。


八十件。


九十件。


百件。


次々と表示される。


「多いですね」


「多いな」


その時だった。


リリスの身体が光った。


沈黙。


管理室全員が固まる。


「……え?」


本人が一番驚いていた。


光はどんどん強くなる。


淡い金色。


暖かい光。


アルベルトも立ち上がる。


「リリス」


「わ、私です!」


完全に混乱している。


珍しい。


いつも冷静なリリスが慌てていた。


そして。


通知が現れる。


⸻


補佐妖精


進化条件達成


⸻


進化開始


⸻


管理室が静まり返る。


数秒。


誰も喋らない。


夜宝守ですら見ている。


「え?」


リリスはまだ理解できていなかった。


今までずっとサポート役だった。


アルベルトの補佐。


解説役。


管理担当。


その自分が進化する。


想像していなかった。


「条件満たしていたのか」


アルベルトが呟く。


通知が続く。


⸻


実ダンジョン戦勝利


条件達成


⸻


軍団規模到達


条件達成


⸻


特殊ダンジョン補佐実績


条件達成


⸻


リリスが固まる。


積み重ねだった。


一つではない。


今までの全部。


忘れられた洞窟で過ごした時間。


支えてきた実績。


それらが進化条件だった。


光がさらに強くなる。


リリスの羽が大きくなる。


髪が伸びる。


魔力が増えていく。


そして。


最後の通知。


⸻


補佐妖精


↓


記録妖精


⸻


進化完了


⸻


光が消えた。


静寂。


リリスがゆっくり目を開く。


「……え?」


第一声は変わらなかった。


アルベルトが情報解析を発動する。


⸻


記録妖精


能力


歴代記録閲覧


管理補助


育成補助


知識継承


⸻


追加能力


記録解放


⸻


「新能力ですね」


リリス自身が驚いていた。


記録解放。


聞いたことがない。


その瞬間。


頭の中へ映像が流れ込んだ。


知らない景色。


知らない人物。


知らない声。


古い研究室。


大量の資料。


配合陣。


そして。


一人の男。


白衣を着た男が笑っていた。


『やはり成功したか』


そこで映像が途切れる。


リリスは息を飲んだ。


「今の……」


「何か見えたのか?」


アルベルトが聞く。


リリスはゆっくり頷く。


「分かりません」


本当に分からなかった。


だが。


一つだけ確信できる。


忘れられた洞窟。


三十年以上前。


その時代の誰かだった。


「記録です」


リリスが呟く。


「記録?」


「はい」


胸が高鳴る。


進化した。


強くなった。


それも嬉しい。


だが。


それ以上に。


忘れられた洞窟の秘密へ一歩近付いた気がした。


アルベルトも静かに頷く。


「面白いな」


「その感想になりますよね」


リリスは思わず笑った。


変わらない。


本当に変わらない。


だが。


それで良いのかもしれない。


忘れられた洞窟はまた成長した。


軍団だけではない。


幹部だけでもない。


リリス自身も。


確実に次の段階へ進んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。