↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
223/223

第223話 忘れられた洞窟

フェルナー・アルトの記録が解放されてから数日後。


忘れられた洞窟はかつてないほど慌ただしかった。


王喰消滅。


研究施設完全継承。


地下都市解放。


終号の正式認証。


そしてフェルナーの名誉回復。


どれか一つでも世界を揺るがす出来事だ。


それが一度に起きた。


学園は連日大騒ぎになっていた。


ベルクは毎日のように報告書を書かされている。


ミレイは研究施設の調査で走り回っている。


学園長ですら何度も終号と通信を行っていた。


そして当の忘れられた洞窟はというと。


「キュウ!」


「そこは違います!」


「キュウ!」


「だから違います!」


相変わらずだった。


王冠宰相が地下都市から発掘した謎の金属塊を運び込み、リリスが必死に止めている。


夜狼王は呆れた顔で眺めていた。


影王は興味がない。


ヴァルグランは笑っている。


アダプト皇王は仕事を続けている。


いつも通りだった。


王喰を倒したからといって、忘れられた洞窟そのものが変わるわけではないらしい。


そんなある日。


終号が静かに通知を表示した。



学園本部通信


接続開始



中央広間が静まる。


全員が視線を向ける。


映像が広がる。


現れたのは学園長だった。


以前より少し疲れた顔をしている。


当然だろう。


王喰事件の後始末だけで大変な騒ぎだったはずだ。


学園長はしばらく忘れられた洞窟を見回した。


夜狼王。


影王。


ヴァルグラン。


アダプト皇王。


王冠宰相。


そしてアルベルト。


全員を確認してから、ゆっくり口を開く。


「まず礼を言おう」


静かな声だった。


「王喰事件を解決してくれたこと」


「フェルナー・アルトの真実を明らかにしてくれたこと」


「研究施設を守ってくれたこと」


その言葉にリリスは少しだけ目を伏せた。


三十年。


長かった。


フェルナーはようやく認められた。


失敗した研究者ではない。


世界を守った配合士として。


学園長は続ける。


「フェルナー・アルトの功績は正式に再評価される」


「研究施設は学園最高保護対象に指定する」


「終号も正式な学園遺産として認定する」


終号がわずかに光った。


喜んでいるのかは分からない。


だが反応はあった。


そして学園長は最後の資料を開く。


「さて」


少しだけ笑う。


「君達自身の話だ」


終号がランキングシステムへ接続する。


中央広間が静まる。


全員が画面を見る。


現在順位。


六百十一位。


そこから数字が動き始める。


五百位台。


四百位台。


三百位台。


リリスが息を呑む。


さらに上がる。


二百位台。


百位台。


そして。


数字が止まった。



忘れられた洞窟



現在順位


77位



沈黙。


誰もすぐには反応できなかった。


七十七位。


伝説級ではない。


一位でもない。


だが。


誰も笑わない。


むしろ全員が理解していた。


どれだけ異常な数字なのかを。


新人リーグ最下位付近。


スライム二匹。


魔物三匹。


そこから始まったダンジョンが。


今は世界七十七位。


歴代でも前例のない成長速度だった。


ベルクが苦笑する。


「本当にやりやがった」


ミレイも頷いた。


「十分すぎます」


夜狼王は順位表を見る。


その先にはまだ多くの名前が並んでいた。


五十位。


三十位。


十位。


そして一位。


遠い。


だが。


以前ほど遠くはない。


ヴァルグランが笑う。


「まだ上がいるじゃねぇか」


アダプト皇王も頷く。


「面白い」


影王は静かに言った。


「まだ終わらない」


全員の意見は同じだった。


王喰は終わった。


フェルナーの物語も終わった。


だが。


忘れられた洞窟は終わっていない。


ここは通過点だ。


ゴールではない。


その時だった。


「キュウ!」


全員が振り向く。


嫌な予感しかしない。


王冠宰相が走ってくる。


しかも宝箱を抱えている。


嫌な予感が倍増した。


「どこで見付けたんですか」


「キュウ!」


答えになっていない。


いつも通りだった。


リリスが近付く。


止める。


その前に。


もう一つの影が飛び出した。


ぷにだった。


「ぷにー!」


「あっ」


全員が固まる。


遅かった。


ぷにが宝箱へ突撃する。


勢いよく蓋が開く。


中身が飛び散る。


中央広間へ転がったのは。


見たことのない黒い結晶だった。


終号が反応する。


青い光が広がる。


数秒。


沈黙。


そして。


表示された。



未知素材確認



解析不能



研究価値


極大



中央広間が静まり返る。


アルベルトの目が輝く。


完全に輝く。


リリスが頭を抱える。


夜狼王がため息を吐く。


ヴァルグランが大笑いする。


アダプト皇王は呆れている。


影王は少しだけ笑った。


そして。


アルベルトが静かに言う。


「面白そうだな」


リリスは天井を見上げた。


「終わりませんね」


夜狼王が苦笑する。


「終わらんな」


誰も否定しなかった。


王喰は終わった。


だが。


忘れられた洞窟はまだ続いていく。


研究も。


配合も。


冒険も。


仲間達との騒がしい日々も。


ずっと。


これからも。


そうして。


最下位から始まった小さなダンジョンの物語は、新たな未来へ向かって歩き続けるのだった。


――完――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おつかれさまでした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。