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『最弱ダンジョンの配合士 ~誰も知らない配合で最強ダンジョンを目指します~』  作者: もかどら


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215/223

第215話 学園連合

地下都市西区画へ向かう前夜。


忘れられた洞窟の中央広間には、いつもと違う緊張が満ちていた。


終号の画面には、王喰領域の解析が表示され続けている。


その中心にある二つの反応。


夜狼王。


リリス。


どちらもすでに王喰内部へ取り込まれたまま、戻っていない。


それは事実として確定していた。


アルベルトはその表示を見つめたまま言う。


「救出じゃない」


「構造破壊だ」


誰も否定しない。



その時だった。


空間が揺れる。


転送ではない。


学園との強制接続。


中央広間の一部が書き換わるように光り、複数の人影が現れる。


先頭に立つのは調査局ベルク。


そしてその隣に――ミレイがいた。


リリスの補佐役として何度も関わってきた人物であり、王喰調査に最も近い学園側の存在だ。


ミレイは周囲を一度見渡すと、すぐに状況を理解したように息を吐いた。


「やはり、ここまで来ましたか」


リリスはいない。


その事実だけが空間の重さを増す。


ベルクが一歩前へ出る。


「学園は正式に介入します」


「王喰は個別ダンジョンの問題ではありません」


「構造災害として扱われます」


その言葉に誰も反応を返さない。


すでに“戦いの規模”ではないことを全員が理解していた。


ミレイは静かに続ける。


「王喰は記録系統の暴走構造です」


「夜狼王とリリスの同時消失も、偶然ではありません」


アルベルトが視線を向ける。


「知っているのか」


「はい」


ミレイは短く答えた。


「学園記録にも“記録妖精系統”と“王候補系統”の同時消失事例が残っています」


その言葉で空気が変わる。


リリスの存在はまだここにない。


だが“記録としては存在している”。



ベルクが地図を展開する。


地下都市西区画。


王喰領域。


拡張予測図。


それはもはやダンジョンではなかった。


侵食する構造体だった。


ヴァルグランが低く言う。


「戦争じゃねぇな、これ」


「違う」


アダプト皇王が続ける。


「構造だ」


アルベルトは頷く。


「だから壊す」



ミレイが一歩前に出る。


「私も同行します」


ベルクが一瞬だけ目を細める。


「危険だぞ」


「分かっています」


即答だった。


迷いはない。


彼女の視線は王喰領域のデータに向いている。


そこには“未回収記録”の文字がある。


それはリリスと夜狼王の痕跡だった。



終号が静かに表示を出す。


学園戦力接続率:94%

構造干渉可能領域:拡張中


アルベルトはそれを見て立ち上がる。


「行くぞ」


その言葉で全員が動き出す。


忘れられた洞窟。


学園連合。


そしてミレイ。


それぞれの立場は違う。


だが目的は一つだった。


王喰という“完成した構造”を崩すこと。


そしてその中に残された夜狼王とリリスを取り戻すこと。



扉の前。


アルベルトは静かに手を置く。


「これは戦いじゃない」


「修正だ」


ミレイが小さく頷く。


「記録の更新ですね」


「そうだ」


ヴァルグランが笑う。


「めんどくせぇ話だな」


影王は黙ったまま影に沈む。


アダプト皇王は一言だけ言う。


「全部崩す」


その言葉で十分だった。


扉が開く。


その先には地下都市西区画。


そしてさらに奥には、王喰という“完成してしまった世界”が待っている。


彼らはそこへ踏み込む。


取り戻すために。


そして終わらせるために。

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