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大茶会の朝はやくから、王城の門の前には招待されたたくさんの国民があつまっていた。
「私、お茶会なんてはじめて!」と心躍るものや、「リキュウさまが異世界よりいらしゃったといううわさは本当なのかしら?」と千利休の存在に興味を持つもの、そして「どんなお菓子がでるのだろう?」とお腹を空かす食いしん坊。そして・・・
「黒い霧ははれず、漁にもでれない」
「国の危機にお茶会になんて悠長なことだ」
「そうだ。そうだ。明日の生活も保障されていないのに」
と、少し黒いもやのかかったもの。そのさまざまな声をかき消すかのように、ファンファーレが鳴り響くとともに、王城の門が開く。
兵士を先頭に、国民達は期待や不満を胸にゆっくりと広場まで長い並木道を歩いていくと、そこは一面ピンク色の桜に囲まれ、花吹雪がまっている。
「なんて、美しい・・・」
「これは一体・・・」
「こんなきれいな景色はじめて」
さくらが舞う景色に息をのみ、涙をうかべるものもいる中、城のバルコニーから王とシアンとイリスが現れ、その後ろにリシェルがひかえている。
「おぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~!」
「シアン王子、素敵~!」
「イリス様、今日もお美しい!」
「リシェルさま~かっこいい~!」
と国民達から大きな歓声があがるとシアンやイリスは笑顔で手を振っている。
そして、王が片手をあげるとその合図とともに歓声がやみその場が静かになると、王が威厳ある声で話しだした。
「今日はこのような状況の中、我が茶会に王城へ足を運んでくれたことに感謝する。今だ黒い霧がはれず、皆に不安な日々を過ごされておること、この国の王としてすまなく思っている。だが、その不安も終わりをつげようとしている。この地にリキュウさまと精霊クロさまがふたたび降り立たれた」
「え?リキュウさま?」
「うわさは本当だったんだ!」
「絵本でよんだ古のリキュウさまと精霊クロさま!?」
国民たちが驚き、ざわついている。
「今日は、そのリキュウさまのご意思により、古の伝えにあるよう皆でリキュウさまのお茶を楽しもうと思う」
「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~!!!」
「リキュウ様のお茶が飲めるの!!??」
「すごい!!!」
その様子をながめながら、王が合図をおくるとバルコニーから一同は去り、国民達は興奮がおさまらないといった様子で浮足立ちながら、広場にひかれた赤いじゅうたんに案内され思い思いに腰をおろすと、演奏家たちの音楽が広場に流れ、大茶会のはじまりをつげた。




