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「そういえば、あの時のリキュウのおやじのまわりもこんな風に輝いていたな」と言いながら、クロが空の器をいくつかもってくる。
「和葉、その状態でたくさんの人にお茶を淹れるイメージをしてみな」
「え?イメージ?わ、わかった」
シアンに淹れた茶の器を大事に両手で持ちながら、和葉は目を閉じる。
(たくさんの人に一つ、一つ丁寧にお茶を淹れる。みんながほっこり笑顔になりますように)
すると、金色の光があふれだし、クロが置いた空の器も茶で満たされ、キラキラと光りを放っている。
「え?うそ?」和葉は驚き、お茶をながめている。
「師匠、これはどういうことなのですか?」
「わからん」ときっぱり言い切りクロの言葉に、ガクッとなる和葉とシアン。
クロは一つの器を手に取り、おいしそうに茶をすすりながら、
「あの時のリキュウのおやじも今の和葉みたいに金色の光が大きく輝いていて、気が付くと不思議なことに用意していた器にいつのまにか茶が入っていてな」
「どうして?何か魔法みたいなもの?」と和葉がたずねると、クロは首をふりながら
「我もその時そう尋ねたが、『はて、いつも通り茶を淹れだだけじゃよ』と話しておったが、そういえば『攻めてきたもの達にも大事な人を慈しむ心と同じように淹れた』ともいっておったな」
「大事な人を慈しむ心・・・」といって、和葉の顔が真っ赤になる。
「カズハ、どうした?」といって、シアンの顔が目の前になる。
「いや、なんでも。大丈夫」といって、目をそらせる和葉のおでこにシアンの手がふれる。
「熱はないようだけれど・・・疲れがでたのかな?」と心配そうに和葉の顔をのぞきこむシアン。
(もう、だめだ。はずかしすぎる)
「本当に大丈夫!あっ、お茶たくさん入ったからお庭にいる精霊さんたちに声かけてみるね!」といって、あわてて庵の外にでる和葉。
(あーはずかしい。あの必殺技?みたいなのをだす方法が大事な人を想うって・・・)
顔を真っ赤にしながら、胸に手をあてる和葉。
(大茶会まであと3日か・・・れ、練習しなきゃ)
そういって、精霊達をよびに庭をかけていく和葉でした。




