1.享年49歳。
初投稿です
よろしくお願いします。
はて、中年によくある "突然死" というものでも食らったのだろうか?
通っている道場から帰宅する途中だったはずなのだが、私の意識は急に途切れた。そして目が覚めると、目の前には異様な風景が広がっていたのだ。
風景を言葉で表すなら"天空に浮かぶ舞台"とでも言えばよいのだろうか。その舞台の真ん中に私は立っている。そして私の目の前には、色白いローマ風の恰好をした金髪碧眼の女性が見事な。
それはとても見事な美しい姿勢の土下座をしていた。
「あの……とりあえず頭を上げてもらえませんか?」
少々引き気味で土下座をしている女性に声をかける。しかし、女性は土下座の姿勢を崩そうとはしない。それどころか劈く勢いで謝罪の言葉を発してきた。
「ほんとぉぉぉぉに!この度は申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁ!」
「ひえっ……ですから頭をあげ……」
「このたびは!このたびはぁ!当方の不手際によりとんでもない事をおぉぉ」
ガチ泣きは勘弁してほしいと内心考えてしまうが目の前の泣いている女性が居るのは気まずい。私は女性にハンカチをそっと差し出し手渡すことにした。
ブビィィィ!
「あ、そういう風に使うのね」
盛大に鼻をかまれてしまった。あっと思ったが間に合わず、ハンカチは涙だけじゃなく鼻水でベチョベチョだ。頭が少し痛くなってきた。
「あの、大丈夫ですか?」
ハンカチは無かったものと扱うと決めて、泣きじゃくる女性に声をかける。落ち着き始めたのか女性は深呼吸をすると、自責に満ちた目を私に向けた。
端正な顔立ち、相当な美人で思わず見惚れそうになる。先程まで涙と鼻水で酷い状態だった顔が目に焼き付いていなければだが。
「えっと、落ち着きましたか?」
「はい、ありがとうごじゃいましゅ……あのハンカチは洗って……」
「差し上げますのでお気になさらずに」
「はう!?すいません……」
「それはそうと、ここは何所でしょうか?私は先程まで自宅への帰路を歩いていたと記憶しているのですが……」
少なくとも私はこのような場所に見覚えは無い。そもそもここは日本なのか?周りは立体映像なのか?最近のVR?AR?は凄いなぁ……そんなことを考えていると。
「申し訳ありませんヤマカシ・ジョウイチロウさん、私の不手際で」
嫌な予感が頭を過ぎる。こう見えても小学生の頃からアニメや漫画は好きだ、現在でも漫画やアニメの類を読んだり見たりと筋金入りの懐古なヲの字の人間だ。
お約束なのか、テンプレか……この後の言葉は決まっている。
「あなたはしんでしまいました」
流石に自分が"死"の対象になると、驚きよりも落胆のほうが強い感じがした。これは所謂"異世界転生"というものだろうか?
私こと"山樫杖一郎"は本当に死んでしまったらしい。復活の呪文とかは……どうやらそんなものは無さそうだ。
「享年49歳はちょっと早いなぁ……」
我ながら順応が早いのか、ボヤくしかなかった。
主人公である山樫さんの通っていた道場は『神道夢想流杖術』となります。
併伝武術は『神道流剣術』『根岸流手裏剣術』『内田流短杖術』
ロマンスグレーの一歩手前なおじさんでした。
完結できるように努力します。
12月3日に修正




