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異世界にとばされた社畜OLですが、ツンデレエルフと行商ライフを満喫中です!  作者: しらたき 茶々麻呂
04_VS 魅了の魔女 ハル編

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42/227

42_急募、気まずい空気を消す方法

「んん……」


 なんだかふわふわで、柔らかくて心地いい。爽やかな鳥の声と水のせせらぎの音が耳を擽って、ぼんやりと目を開ける。


「あら、おはようルナちゃん」


 超美人エルフの笑顔が目の前に広がった。私は彼女の肉付きの良いムチムチな太ももを枕にして、寝こけていたらしい。


「ほわぁあ!!!!」


 美人の膝枕(しかも目の前には豊満な胸)で目覚めるなんて!!ご褒美です、ありがとうございます!!


 ……じゃなくて!


「す、す、すみませんシンシアさん! 私、えっと、なんで」


 戸惑って慌てる私の様子を見て楽しそうに笑うシンシアさん。彼女は私の頭を優しく撫でて、現状を教えてくれた。どうやらシンシアさんたちは、最下層の湖の辺に野営地を設置して、休憩させてくれていたようだ。


「あなた、ヌシの攻撃に巻き込まれて湖に落ちたのよ」


「そうでした……! あの、大きい方のヌシは!?」


「エルフのお兄さんが倒したわ。魔法でドカンッ!てね」


「ビョルンさんが……え、じゃあビョルンさんは大丈夫なんですかっ!?」


 うっすらと覚えているのは、稲妻を伴った竜巻を創り出したビョルンさんの後ろ姿だ。


 ようやく先程までの激闘を思い出して、起き上がってビョルンさんを探す。しかしすぐ近くには見当たらない。


「お兄さんなら向こうで休んでるわ。あなたも無理に起き上がっちゃダメよ?」


「私はもう大丈夫です。ビョルンさんのところに行ってきます!」


「あぁ、ちょっとルナちゃん!」


 シンシアさんの静止を振り切って、彼女が指さした場所へと走る。まだ頭がクラクラするけれど、今はビョルンさんのことの方が心配だったから、自分のことなんて後回しだ。


 ビョルンさんは苔の生えた岩陰に座り、剣にもたれ掛かるようにして休んでいた。


「ビョルンさん!」


「起きたか」


 私を見上げた顔は、やっぱり血色が悪い。あぁ、やっぱり無茶をさせてしまったんだ。


「ビョルンさん、すみませんでした」


「何に対しての謝罪だ」


「だって私……何も役に立てなくて、ビョルンさんにばかり負担をかけてしまって」


 ビョルンさんは何も言わず、懐から取り出した何かを私の手のひらに乗せた。そのキラキラと内側から神秘的な光を放つ透明な結晶は、まさに私たちが探していたものだ。


「『水鏡の結晶』!」


 ビョルンさんは静かに頷く。


「お前の手柄だ」


「私の?」


「水に飲まれたお前が握りしめていた。お前のユニークスキルが呼び寄せたのかもしれん」


「そうでしたか……! よかった!」


 ただ水に飲まれて足を引っ張ってたわけじゃなかったんだ!


「よかった、だと?」


 しかし、せっかく目的が達成されたにも関わらず、ビョルンさんの顔は晴れない。なにか懸念点があるのだろうか。


「今回命があったのは、運が良かっただけだ」


 彼の氷のように冷たい声と表情に背筋が強ばる。


「そうですね……でも、レア素材が手に入って良かったです」


「お前は死にかけたんだぞ」 


 私の返答にさらに苛立ったように、ビョルンさんの語気が上がる。


「毒の時もそうだった。なにか幸運を引き寄せる時、お前はいつも危険に晒される。そんな非効率的なことをこれからも続けるつもりか」


 急な内容に理解が追いつかない。


「確かに結果的にビョルンさんに助けられてばかりで……ごめんなさい」


「謝罪を要求しているわけではない」


 どうして、彼はこれほどまでに苛立っているんだろう?


「ユニークスキルについて不明な点が多い以上、解決策はわからないんです。でも、ビョルンさんの言う通り、今の私は計画性に欠ける行動が多いですよね。すみません」


 視線を足元に落として、またしても謝罪を口にする。ビョルンさんの顔を見られないのは、自分に非があると分かっているからだ。


「これは心配をかけてしまったことに対する、謝罪です」  


「勘違いをするな。取引が完了するまで、お前に死なれては困るだけだ」


 ピシャリとビョルンさんが言い放つ。


 分かってる。彼の負債が完遂されるまで、私がいなくなるわけにはいかない。そういう契約なのだから。


 あの時、身の危険を鑑みて真っ先に逃げるべきだった。それでも、私は『水鏡の結晶』を諦めきれなかった。きっと彼はその諦めの悪さに苛立っているのだろう。


「……」


 私は叱られた子供のように、何も言い返すことができなかった。 

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