第16話 学校の怪談リアル?(2)
泥棒は小学校に入った。夜の小学校はとても静かだ。この時間帯、小学校は用務員しかいない。夏休みであって、宿直はいない。とても暗い。この目立たない服なら、大丈夫だろう。
「へへへ・・・。ここの時計、盗んでやるぜ!」
泥棒は入り口が開いているのを見つけた。ここから入ろう。でも、どうして開いているんだろうか? 今まで、開いていた事って、なかったよな。まぁいいか。ここから入ろう。
「よし! 開いてる!」
泥棒は中に入った。中は暗くて、非常口の明かりがとても目立つ。
「えっ・・・」
突然、入り口が勢いよく閉まった。泥棒は驚き、振り向いた。誰かが後ろにいると思ったのだ。だが、そこには誰もいない。泥棒は首をかしげた。
「ヒッ・・・」
泥棒は知らない。勢い良く閉めたのは、透明になったお化けの令太だという事を。
「だ、誰もいないよな・・・」
泥棒は少し不安になった。もしかして、この小学校にはお化けがいるんだろうか? いや、いるわけがない。そんなのフィクションだろうと思っていた。泥棒の後ろに本当にいるにもかかわらず。
泥棒は辺りを見渡した。ここに古い時計がある。その時計を盗んで、オークションで売ろうと思っていた。
「どこやったかな?」
泥棒は音楽室の辺りを歩いていた。突然、音楽室から音が聞こえる。ピアノのようだ。誰かがここにいるんだろうか?
「えっ・・・」
泥棒は音楽室に入った。だが、音楽室には誰もいない。音楽室には世界の音楽家の肖像画が数多く飾られている。だが、暗くてよく見えない。
「何だこの音は・・・」
泥棒はピアノを見た。すると、ピアノのふたが開いている。誰かが弾いているんだろうかと思い、泥棒はのぞいた。だが、誰も弾いていない。
「ピアノの音?」
泥棒は首をかしげた。すると、ピアノが勝手に動いた。これは電子ピアノだろうか? それとも、お化けが動かしているんだろうか? いや、お化けなんていない。だから、これは電子ピアノだろう。泥棒は不思議だと思わなくなった。泥棒の考えは間違っていた。姿を消したお化けの令太が弾いていた。
泥棒がピアノをじっと見ていると、また鍵盤が動き始め、音を立てた。鍵盤には血が付いている。
「えっ!?」
泥棒は呆然と見ている。これは何だろう。まさか、お化けだろうか? 泥棒は震えあがった。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
泥棒は大声をあげて音楽室から逃げた。あまりにも怖かったからだ。
泥棒は2階へ向かう通路を歩いている。目的の時計はこの先にあるはずだ。早くその場所に行かないと。
途中、泥棒は絵画を見つけた。美しい女性の肖像画だ。思わず見とれてしまう。こんなのが飾られている小学校って、素晴らしいな。
「きれいな絵画だな・・・これも盗みたいな・・・」
泥棒がそう思っていたら、女性の目が動いた。
「えっ・・・」
泥棒は呆然となった。これもお化けだろうか? 泥棒は震え上がった。
「目が・・・。わぁぁぁぁぁぁ!」
泥棒は大急ぎで2階に向かった。その様子を、透明になったお化けの令太は面白おかしく見ていた。その絵画も、令太が化けたもので、目が動く仕組みも令太自身が考えたものだ。
泥棒は2階にやって来た。廊下はとても静かで、暗い。夏休み前までは多くの子供たちが行きかったが、この時期はとても静かだ。8月の登校日までそんな感じだろう。
「カタカタ・・・」
歩いていると、教室から音が聞こえる。何だろう。泥棒はその教室に入った。
「何だろう・・・」
泥棒は教室に入った。だが、そこには何もない。泥棒は首をかしげた。首をかしげたその時、椅子が浮き上がり、飛んできた。
「えっ・・・」
泥棒は呆然となった。これもお化けの仕業か? 早く逃げないと。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
泥棒は廊下を全速力で走っていく。早く時計のある部屋に向かわないと。
「な、何やこの学校。お化けがおる!」
泥棒は次第に変に思い始めてきた。この小学校には、本物のお化けがいるんじゃないかと。確かにそうだ。だが、それはお化けに変身できる令太がいるだけだ。
しばらく歩いて、泥棒は時計のある部屋にやって来た。そこは物置で、今は使われなくなったものがある。泥棒は中に入り、その時計がどこにあるのか探し始めた。部屋には様々な物があって、なかなか見つからない。どこにあるんだろう。全くわからないな。
しばらく探していると、目的の時計を見つけた。美しい振り子時計だ。
「あった! これがあの時計だ!」
泥棒は時計を手に取った。これで目的は達成した。早く逃げないと。
「取ってと・・・」
泥棒は誰かの気配を感じて、振り向いた。そこには少年がいる。その少年は白いシャツを着ていて、顔が白い。まるで本物のお化けのようだ。
「だ、誰?」
「返して、学校の時計・・・」
少年は悲しそうだ。泣いているようだ。だが、泥棒は返そうとしない。これをオークションで売るんだ。そして、大金を手にするんだ。
「返して」
突然、少年の首がろくろ首のように伸びた。そして、泥棒に近づいてくる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
泥棒は時計を持ったまま、部屋を全速力で後にした。それでもろくろ首は追いかけてくる。泥棒は冷や汗をかいている。今日は熱帯夜なのに、全くそれを感じない。怖いものを見ているからだ。
「何や! 何の騒ぎや!」
泥棒は見回っていた用務員に止められた。用務員は驚いている。何事だろうか?
「で、出たぁぁぁぁぁ!」
出たと言っても、何が出たのか? まさか、お化けだろうか? と、用務員は気づいた。この男は関係者じゃない。不審者だろうか?
「ってお前、誰や!」
「そ、それは・・・」
泥棒は戸惑っている。どういう言い訳をしようか? 全く思いつかない。焦っている。用務員は泥棒が持っている時計を見た。それは、物置にある学校の時計じゃないか? まさか、盗もうとしたのか?
「何や手にもっとんのは! うちの時計やないか!」
「そ、それは・・・」
泥棒はまた戸惑っている。そんな泥棒の表情を用務員は全く気にしていない。警察に言おうとしている。
「お前、泥棒やな! 警察呼ぶぞ!」
「はい・・・」
泥棒は下を向いた。まさか、捕まるとは。それにしても、この小学校は何だろう。お化けがいるんだろうか?
それから数十分後、西成署がやって来た。
「お邪魔します、西成署です」
警察官を見て、用務員は泥棒を見せた。
「こいつです!」
「逮捕する!」
警察官は泥棒に手錠をかけた。と、警察官は泥棒の表情が気になった。とてもおびえている。どうしたんだろうか?
「な、何やおびえて・・・」
「こ、怖い・・・」
怖いって、何だろう。まさか、捕まるのが怖いんだろうか?
「どないした?」
「この学校、幽霊がおる・・・。冷気を感じるし、ピアノが勝手に動くし、絵画の目が動くし、いすが飛んでくるし、ろくろ首が現れるし」
警察官は首をかしげた。お化けなんているわけがない。今年の春、へんげ屋に入った泥棒がお化けが出たと言うが、そんなの妄想だろう。
「はぁ?」
だが、時計を盗もうとしたのは確かだ。逮捕しよう。
「まぁええ! 時計を盗んだのは確かやな! 逮捕する!」
用務員は首をかしげた。こんな事が起こったのか? 誰かが入った形跡がないし、お化けがいるって情報を聞いた事がない。
「え? こんな事、起こったんか?」
用務員は見て回った。だが、何も異常っぽいのは見当たらない。
「何もあらへんな・・・」
用務員は安心して部屋に戻った。もう夜遅いから、もう寝よう。
泥棒はその後も、変な事を言っていた。この小学校にはお化けがいて、自分を怖がらせていた。本当だ。信じてほしい。だが、警察は信じなかった。
「だから見たんだって! 信じてよ!」
警察は泥棒を平手打ちした。あまりにも作り話っぽいじゃないか! まるで学校の怪談じゃないか?
「アホ! そんなん、映画だけの作り話やろ! それに、学校の怪談そっくりやないか! 何ほざいてんねん!」
「本当なんだってば!」
泥棒は必死だ。本当に見たんだ。信じてくれよ。
2人は知らなかった。そのやり取りを、姿を消したお化けの令太が見ている事を。




