第十話〜渋柿運輸の寺井 治五郎(じごろう)
書かせていただきました。こんにちは。痛みとの戦いです。変わらず私の中では、武装島田倉庫をイメージしてしまいます。オノマトペとかもっと 対応したいです。机になってみてくださいませ。
うわん うわん うわん
車体の下の方から、そんなエンジンの悲鳴のような音が響いていた。4つの車輪が路に溜まった泥水を掻き分け弾き飛ばし、ばしゃはしゃと暴れ回ってもいる。車体が軋む音までして、もういつ空中分解してもおかしくなさそうでもある。
「こっちも完全に過積載だからの。エンジンにも負担をかけるわい。それでも、ドロンコ工機のトラックだけあって長持ちしてくれているわい」
運転席に座る寺井 治五郎は、独り言を言った。もうかれこれ、七時間は走り続けていた。しかも運転席では一人きりなのだから、独り言のひとつも言いたくなるものだ。それでも運転に集中している分、気分はハイになりがちだ。
気がつくとアクセルを踏みこんでいる。エンジンに泥が入ったら大変だというのに。55歳を越えた治五郎は歳のせいかもともとの性格なのか、なかなか強情であった。
わ、をーん、わん おお わおー
ふいに、後方からそんな巫山戯たエンジン音が迫ってきていた。何事だ?と治五郎はサイドミラーを覗き込んだ。
「くそ」
治五郎は舌を打った。
ミラー越しに見えたのは、巨大な三十七㌧トラック。それも、この地区では最も有名な骨折れ運送の青いロゴが車体に描かれていた。
うおん わおん ふぉぁぁ
治五郎車を煽るかのように車間距離を詰めてきていた。もう、四メートルしか間がないように見えるのだ。
「まずいな。骨折れ運送のヤツ。正気か?ヤバいな」治五郎は、または独り 言を言った。骨折れ運送のトラックは、銀色の長細いガスタンクを4つも抱えた超大型であった。これでは、急停止した時、簡単にブレーキが利くとも思えなかった。
「こちらがスピード上げて車間を上げるしかねえ。前に他の車に割り込まれたらブレーキを踏まざるを得ないのだから。
ガスタンクの中身はおそらく、気化ヒマネタ油だろうと思われた。衝突のしょっくでガスが漏れたものに引火でもしたら大爆発を起こすであろう。
危険度で言えばタンクを直に積んでる骨折れのヤツの方が余程危なく、運転手だって怖いであろうに。
次第に高速道路は、泥水の浸水してない辺りに差し掛かってきた。どういうつもりか、かかわらず 車間距離が狭い ままだが、この中型のトラックと同等に渡り合える 超大型のエンジンはどんなもんなんだろう?
そして、何故、こいつは俺と張り合ってくるんだろう?
治五郎はあれこれ考えたが、答えなど出るものではなかった。
ドバイの現実にどう対処するかしか考えていない。
になっていただきまして誠にありがとうございました。次話も楽しみに!




