外科の新人の歩み43 誕生日祝い
木曜日、仕事が終わり店長のところに向かった。
店長「おかえり。さあ、今日は主役だ。行こうか。」
外科の新人「ねえ、あなたのご家族は。。」
店長「部長がケーキ買いに来た日の夜に伝えるつもりだったけど。。まあ、僕達に希望を与えて頂いた方々に祝ってもらえるなら。。いいかと思ったから誕生日ということは伝えてない。店忙しいから定食食べるだけになっちゃうし。」
外科の新人「そう。。分かった。ねえ、店閉めちゃうの?」
店長「張り紙してあっただろう。当たり前じゃない。」
部長の自宅の近くに建設中の建物が形になってきている。
店長「なあ。あれって。。部長の病院じゃないかな?」
外科の新人「あっ!そうかも。。ねえ、私達どこに住むの?ケーキ屋さんの2階では無理な気がして。」
店長「さすがに2階に住まないよ。この辺りで探そうか。」
外科の新人「実家も遠くないし。。いいかも。私、転職したら免許取らないと。」
店長「お金あるの?」
外科の新人「まあ、ギリギリ何とかなると思う。」
部長宅に到着すると温かく迎えられ、奥さまにお祝いされた。
店長のケーキを食べつつ、高級な寿司をいただく。
部長「店長。寿司はこれより美味しいの作るんですか?」
店長「いや、寿司は修業しなかったから無理ですね。」
次女「なんかさー。私の誕生日より豪華だよね。なんか怪しい。」
奥さま「誕生日を聞いたから私が提案したのよ?何が怪しいのよ。」
長女「何となくね。」
部長「あのな、彼女は恵まれない環境で育ち、故郷を捨ててこちらに来たんだ。」
奥さま「だから、私は家族のつもりで接すると決めたの。もちろん店長も。2人とも家族のつもりよ。あなたと同じくらい大切なの!」
外科の新人は泣き出す。
外科の新人「奥さま。ありがとうございます。。。私。この街に来て幸せなことばかり。。ありがとうございます。」
店長「私もですか。嬉しいですね。」
長女「そういえば、この間。店長の実家の定食屋さんに家族で行ったの。すごく美味しかった。お父さまもお母さまも素敵で。すっごい好きになっちゃったな。」
部長「泣いてないで、寿司。」
部長が外科の新人の口に寿司を運ぶ。外科の新人は申し訳なさそうに奥さまをチラっと見て、ニコニコで食べる。
豪華で幸せな誕生日祝いに感激し、外科の新人と店長は礼を言い帰宅した。
後片付けをする母に次女は言う。
次女「お母さん。やっぱり怪しい。」
奥さま「何が。」
次女「お父さん。なんか看護師さんを見る目が違うのよ。寿司を口に入れる時に確信した。お母さん。気をつけないと。」
奥さま「いい加減にしなさい!あなたには深くは伝えてないけど、あの子の幼少期の辛さは。。お父さんだけでなく、私も彼女を応援してるの。」
次女「怒らなくても。。お母さんが心配だったから。」
奥さま「お風呂入ってきなさい。あらメール。。」
ありがとうございました。今日いっぱい愛されるはずですよ!と書いてある。
奥さま「いや、さすがにないわよ。長く夫婦してるとそんな感情は形が変わるの。まだまだ勉強よ。」
はあ。。しかし、あの子は鋭いから困るな。。確かに寿司は嫉妬したけどね。。私だって複雑よ。でもあの子は愛しい。主人にもっと愛されるように努力だってするわ。それに、あの子ならきっと主人の夢を叶えてくれる。
もう!いつまでも家にいないで、さっさと嫁に行けばいいのに!
と言いながら、その日の夜は、奥さまはいつもより情熱的に迫り、主人にいっぱい愛された。
奥さま「ちょっと嫉妬しちゃった。。けど、今日。。今まで一番愛された気がした。あの子は回りを自然に幸せにする魅力があるわね。」
部長「今はともかく。。自分は人間として惚れたからな。。彼女な、感情さんが亡くなると、必ず号泣するんだ。。」
奥さま「えっ!。。それは、心がもたないんじゃ。」
部長「何かな。看護師を目指すきっかけの憧れの方が自分の大切なおばあちゃんが亡くなった時にそうだったんだらしくてな。。彼女は、研修生の時に看護師にプロになれ、心がもたないって言われた時に言ったんだ。」
奥さま「それは私も思う。。何て言ったの?」
部長「私が直接聞いてたからな。。私はこれを捨てるなら看護師は辞める。一生懸命やったからこそ涙が出る。もっと勉強して、反省する。でも今日で区切りにする。私はそれでも生き続けなければならないからって。。でな、病室出たらすぐに笑顔で他の患者さんの世話してたんだ。。叱った看護師が今や外科の婦長になり。婦長は彼女を先輩と呼ぶようになった。。どの部署も要らないって避けられたあの子は今や病院一の看護師だ。外科の誰もが認めてる。理事長も気づいて、来期婦長にする気だった。だが、彼女が断ったよ。ウチの病院に来たいからだって。。表向きは赤ちゃん作って結婚するからってな。けど不思議なんだよな。。」
奥さま「不思議って?」
部長「私は確かに3カ月看護技術や道具や機器の使い方は教えた。だが、医療知識は教えていないのに。。私より知識あることが良くあるんだ。あの子、医師になれる知識と技量がある。あの子と手術すると、やろうとすることを勝手に先に準備されてな。。自分が助手なのか。。よく分からない時がある。」
奥さま「それは。私、負けるかも。。一番じゃなく。。」
部長「何を言ってるんだよ。一番さ。僕に家族。幸せをくれたんだ。ああ、一番だな。間違いない。」
奥さま「ち、ちょっと。明日の仕事に。。あっ。あん。あなた。。愛してる。愛してるわ。」
部長「一番じゃないか?」
奥さま「あっ。あっ。あなた。すごい。一番よね?あっ。あなた!!」
奥さまは疲れ切って安心して眠った。
朝起きて、幸せに包まれて食事をする。
次女「なんか、朝から豪華だよね。嫉妬?」
奥さま「あなたねえ!」
次女「い、行ってきます。」
全く。。あら、メール。
奥さま。いっぱい愛されたでしょう?部長の一番は奥さま。家族の幸せを教えてくれてありがとう!愛してる。
まあ、なんてかわいい。娘よりかわいい。。ん?私。。昨日、結婚して一番愛された。。何で彼女。。えっ。娘より怖いかも。誰もを幸せにする。やっぱり頑張らないと一番にはなれないわ。
そうだ、店長のお店に行ってこようかしら。マロンケーキ食べたいし。。こっそり病院のぞいてみよ。
そんなこととは知らず、金曜日は恒例の女子会があるため、全力で働く外科の新人。
奥さまは理事長にお礼の挨拶をしつつ、理事長の案内で外科をこっそりのぞく。
理事長「旦那さんとあの看護師のペアは最強なんですよ。彼女、さりげなく検査機器稼働させて病院に利益もたらすし。病院で一番明るい雰囲気なのは彼女が原因です。」
奥さま「新人ですよね。。みんな先輩って。」
理事長「みんなそういう気持ちになるんですよ。奥さま。私、彼女にむちゃくちゃ怒られて。。」
奥さま「何?理事長が新人に?」
理事長「ええ、お恥ずかしい話ですが。。婦長と不倫してしまって。。もちろん真剣でしたが。。彼女が泣きながら。。婦長はあなたの赤ちゃん産むことを真剣に考えてる。女が赤ちゃん産むって、あなたに命懸ける覚悟なのよ?そんな気持ちなら別れなさいって。。その日に結婚申し込んで。。彼女離婚したから。結婚出来る日を2人で。一度失敗したから避けてました。でも彼女を幸せに。」
奥さま「そうですか。。あの子はみんなを幸せにするのね。」
理事長「彼女。赤ちゃん作ったら病院辞めるって。。経営的には痛いですが、友人の幸せなら応援したいですね。」
奥さま「そう。理事長。良かったら何かお昼ごちそうしましょうか?」
理事長「いや、昼は彼女が毎日おにぎりを作ってくれまして。。」
奥さま「ああ。それは、どの店にも負けますね。へー。最後だけどいいもの見れて良かったです。帰ります。」
理事長「旦那さんの成功願っています。」
奥さま「ありがとうございます。では失礼します。」
私、一番無理だわ。。二番仕方なしだわ。。けど、何故か悔しくないし、ますますあの子が愛しくなった。しかし。。昨日なんであんなに。。今さら過去最高の。。思い出しただけで興奮しちゃった。あっ!マロンケーキだった。
マロンケーキを買い、何かを今日も期待する奥さまは美容院に行き、買い物をして、身に付けたこともない下着を購入してしまうのだった。




