外科の新人の歩み39 楽しい週末前の大仕事
今週も、早くも木曜日だ。毎日があっという間に過ぎていく。
外科の新人は、帰宅すると同僚とまったり過ごした。
明日の予定を話し合い、内科の新人に毎回食事を作らせるのも友人としてどうかと感じ、定食屋さんを予約することにした。
外科の新人「7時から取ったよ。体調はどう?」
同僚「夜勤はやっぱり体調崩すわ。来週年末で辞める報告をするつもり。」
外科の新人「そう。。あまりこだわりはないけど。お別れか。」
同僚「ルームシェアは続けるし。。あなたはどうするの?」
外科の新人「赤ちゃん出来たら結婚するか、先に結婚するか悩んでる。あなたがしばらく結婚しないなら赤ちゃん出来たらになるのかな。」
同僚「私は、部長の病院で1年働いて、やれそうだったら結婚しようかと。」
外科の新人「どこに住むの?」
同僚「全然話し合ってないな。でも決めないとダメだね。明日話をしてみるわ。」
外科の新人「私も話し合ってくるわ。。あっ!電話。。先にお風呂いいわよ。」
同僚「分かったわ。」
外科の新人「はい。。。えっ。。ちょっと待って。」
外科の新人は隣の部屋に移動する。
外科の新人「お待たせ。。。ねえねえ、まず落ち着いて。深呼吸。。そうそう。。で、何よ。。ええ。。まずは。。彼が、は分かったから!。。えっ?今何て言った?。。落ち着いて。全然分からない。。ん?今指輪って言った?。。ええ。。えっ!プロポーズされたの!ウソ!いやいや受けたの?まず離婚しないと受けれないでしょう!。。慰謝料求めないで納得してもらったってこと?。。えっ!もう提出して受理されたの!今?あなた凄いわね。。結婚はすぐに出来ないんじゃなかったかな?半年とか禁止じゃなかったかな。赤ちゃん出来たら、元の旦那の子の扱いになるはずよ。しっかり調べてから赤ちゃん作らないと。。まず落ち着いて。結婚するのね。おめでとう。。仕方ないから明日からおにぎり再開するわよ。。実家に帰るのね。。分かった。報告ありがとう。明日また聞くから。とにかく落ち着いてね。。うん。お休み。」
理事長やるわね。見直したわ。指輪まで用意とは。。
同僚「出たわよ。。ねえ、厄介ごと?」
外科の新人「いや、厄介ごとが解決しただけ。というかスッキリしたわ。」
同僚「そう。だったらいいわ。」
※※※
翌日、婦長は嬉しそうに指輪を見せる。
外科の新人「あなた達。スピード速すぎよ。」
婦長「あなたが仕向けたそうじゃない!友達の縁切られるから、全力って。。びっくりして。その場で連絡して、慰謝料無しでいいから今すぐ離婚届け出す連絡して。。すごく理事長が焦ってたから急いで連絡したの。」
外科の新人「良かったのかな。。で、夜勤とかどうするの?」
婦長「2人で悩んだけど。。答え出なかった。」
外科の新人「副理事長の話は?」
婦長「結婚するなら、さすがに副理事長は無理って。。あれ、本気だったんだ。」
外科の新人「しかし、追い抜くな〜。赤ちゃん今はマズいでしょう?」
婦長「確かにそうみたい。帰ってから連絡があってね。婚姻届出してから、赤ちゃん作る約束を彼がしてきた。彼、真面目よ。あなた誤解してるみたいだから。そこは、理解してあげて。」
外科の新人「理解したつもり。。ねえ、ちょっと巡回がてら、ヤクザ見てきていいですか?」
婦長「ええ。引き渡し書を持っていってくれない?そしたら理由出来るから。」
外科の新人「なるほど。。では行ってきますので、緊急の場合は連絡下さい。」
内科に様子を見に行く。
外科の新人「ねえ、あなたがケガさせた人はどう?」
内科の新人「何よ。その言い方。。なんか、女の人がずっとついて。。すごい一生懸命なのよ。恋人って感じじゃないし。。ああ、血液検査とかは良さそう。痛みは切ったばかりだから、内臓の問題無くなったのかは判断つかないわね。1週間は要注意で内視鏡で確認するみたい。1週間後に問題無ければ入口塞ぐそうよ。」
外科の新人「あの人。まともな人間になれるといいけど。。なんか女の人にたかりそうだわ。」
内科の新人「そう思うのは仕方ないけどね、見てると。。全然そんな感じじゃないのよ。なんか男らしいのよ。時々顔見せてくれたらいいから仕事を大事にしろって言ってたわよ。」
外科の新人「へー。彼女に昼過ぎに、私のところに来るように言ってくれないかな?戻るわ。また夜ね。今日定食屋さんで夕食よ。」
内科の新人「やった〜!楽しみ。また夜ね。」
外科の新人は戻ると、採血など検査をどんどん処理すると12時には診察は全て終わった。急いで理事長のところに行く、
外科の新人「理事長。見直した!おにぎりね!ちょっと忙しいから、私一緒に食べれないから、来週話しましょう。」
理事長「ああ。ありがとうな。。幸せにするし、幸せになる努力するよ。」
外科の新人「3番目なら考えておくから。じゃあ行くわ。」
ナースステーションに戻るとキャバ嬢が待っていた。
外科の新人「ああ、ちょっと中庭に行きましょう。」
キャバ嬢「はい。」
中庭のベンチに2人で座る。
外科の新人「見てたわよ。落ち込んで。。あなた、ずっと見守ってるんでしょう?食べなさい。」
キャバ嬢「ありがとう。いただきます。。えっ。凄い!凄いわ。」
外科の新人「いや、泣くほどか?」
キャバ嬢「こんなに秋田こまちを美味しく。。思い出した。」
外科の新人「ああ。秋田なの。私もよ。故郷は捨てたけどね。」
キャバ嬢「私も。。こっちに来て。歯を食いしばって頑張って。。くだらないキャバ嬢だけど、頑張って。店のナンバーワンになったの。」
外科の新人「くだらないとは思わない。その美貌があれば私だって人生変わったかもね。でも美貌だけではナンバーワンにはなれない。心も綺麗なのよね。」
キャバ嬢「そう言ってもらえると嬉しいけどね。あの日遅くなって。。朝8時回ったから油断したの。いつもはガードがいるのに要らないって。。外国人に囲まれたの。私、彼が現れなかったら人生むちゃくちゃ。もしかしたら殺されてたかも知れない。キャバ嬢で有名になっても孤独だった。全く知らない私を命懸けで助けてくれたら。。私の出来ることは全てしたいの。」
外科の新人「あのさー。申し訳ないけど。飲食店でいちゃもんつけて金も払わないろくでなしのヤクザよ。たかられるのが落ちよ。お礼金払って縁切りなさい。」
キャバ嬢「たかられるなら、全部たかっていい。もっと稼ぐ。今は月に1000万円稼げるようになったから。」
外科の新人「そんなの長く続かないわよ。いつまでも綺麗じゃない。分かってるでしょう?」
キャバ嬢「私を守ってくれた。ガードの人間でもあそこまでしないわ。彼のためなら。。みんな渡す。」
外科の新人「ねえ、愛してしまったの?」
キャバ嬢「経験ないから分からないけど。。そうなんだと思う。」
外科の新人「ずいぶん屈折した愛だわね。2人でお互いを幸せにして温かい家庭を作る。愛する人と目指すのはそれだと信じてる。あなたも身内、故郷を捨てたんでしょう?私はここを故郷にすると決めた。本当の愛を見つけなさいよ!」
キャバ嬢「温かい家庭か。。彼となら努力してもいいわね。」
外科の新人「あなた本気なの?」
キャバ嬢「上手くいく自信はないけど。。本気よ。」
外科の新人「本当に本気なの?」
キャバ嬢「はい。目指して、フラれるまで全力を尽くしてみるわ。ありがとう。初めて目標が出来た。」
外科の新人「そう。私も目標を教えてくれた人がいた。だから看護師になった。じゃあ。ヤクザ足洗わせないとね。」
キャバ嬢「それは。。どうしたらいいのか。」
外科の新人「難しいけど。やってみるわ。仕事戻るわ。」
キャバ嬢「えっ?どういう。。」
キャバ嬢は病室に戻って行った。
外科の新人「婦長。申し訳ない。抜き差しならない用事が出来まして。申し訳ないけど、定時即上がりします。全力で働きますから。」
先輩看護師「いつも全力じゃないか。気にすることはない。定時で帰りな。後は任せな。」
看護師「そうよ。そんなに大事な用事なら大丈夫よ。」
婦長「みんなで協力しましょう。」
外科の新人はスーパー看護師炸裂でどんどん仕事をこなし、定時で走って帰っていった。
看護師「相変わらず。ものすごいわね。あれ100%なのかしら。」
婦長「まだ全力じゃないかもね。もはや異次元で分からないわ。あの子に合わせると休む暇もない。。けど。全員定時で帰れるじゃない。」
先輩看護師「本当だ。帰ろうか。」
通常勤務の看護師は珍しく全員定時で帰っていった。
外科の新人は内科を訪れ、内科の新人に耳打ちする。
内科の新人「えっ!本気なの?」
外科の新人「彼女の本気が分かったから。全力で応援したいから協力して。」
内科の新人「仕方ないな。。まあ、いいわよ。あなたのおかげで結婚出来たんだし。」
外科の新人「みなさん!今から、ちょっとうるさくしますけど。。聞かなかったことにして下さい。」
内科部長「何だ?」
外科の新人「少しだけ、うるさくしますから、すみませんがご理解下さい。」
2人のいる個室のドアを閉めると内科の新人が大声を張り上げる。
内科の新人「おい、コラ!テメエ。こんなに一生懸命世話してくれてるのに何だその態度は?」
看護師「えっ!新人さん?」
内科部長「えーーっ!」
患者「お嬢。病人なんだよ。か、勘弁してくれ。」
内科の新人「何が病人だ。ふざけるな!テメエ、もう一度痛い目に合いたいのか!」
患者「痛っ!お嬢。か、勘弁してくれ。」
内科部長「おいおい。。いや、怖っ。」
看護師「彼女、何者?うわー。信じられない。」
内科の新人「おい。テメエ。この女をどう思ってるんだ?」
患者「はい。すごく綺麗だと。」
内科の新人「バカ野郎!そんなもん見たら分かるだろうが!ずっと看病してるんだぞ?」
患者「は、はい。感謝してます。お嬢。か、勘弁してくれ。」
内科の新人「誰が感謝の気持ち聞いた?お前、麻酔なしでこれ抜くぞ!コラ!」
患者「ゆ、許してくれ。」
内科の新人「だから!何回も言わすんじゃねえ!彼女をどう思ってるんだよ!コラ!。。はっきり言え!」
患者「好きに。。」
内科の新人「お前。。聞いてたのか?はっきり言えーっ!テメエ男か?」
患者「は、はい!こんな俺なんかに一生懸命で、ありがくて。。好きになりました。」
外科の新人「あなたは?」
キャバ嬢「。。えっ!あ、あの。。私を本気で命懸けで助けてくれた。。ずっと孤独だった私の心も救われた。だから彼を幸せにしたいです。」
内科の新人「おいコラ。お前、バカ野郎!」
患者「痛っ!」
内科の新人「女にこんなこと言わせて、恥を知れ!お前の気持ち!おい!」
患者「彼女を幸せにするために命懸けで頑張ります。彼女の気持ちに応えるのが惚れた男として絶対にやらないといけないことです。」
内科の新人「だったら?」
患者「えっ?」
内科の新人「だったら何するんだよ!コラ!」
患者「俺、頭悪くて。お嬢。申し訳ない。」
内科の新人「バカかお前は!カタギになるんだろうがよー。テメエ沈めるぞ!」
患者「許してくれ、殺されちまう。」
内科の新人「おいおい。今、命懸けるって言ったよな?何が殺されちまうだよ!コラ!」
患者「痛い痛い。。はい、カタギになる努力します。」
内科の新人「違うだろ!カタギになりますだろうが!」
患者「は、はい。カタギに。彼女を幸せにするためにカタギになります!」
内科の新人「おい。電話。」
患者「は、はい。お嬢。どうぞ。」
内科の新人「テメエ。ナメてんのか!しばくぞコラ!組長に電話だ!」
患者「いや、しかし。。」
内科の新人「あのな、お前。さっき何と言った?」
患者「は、はい。カタギになります。」
内科の新人「もう一度言わせる気か。」
患者「は、はい。大至急。。ああ、組長。。」
内科の新人「バカ野郎。代われよ!」
内科部長「おいおい。ウソだろう!」
同僚「あ〜あ。もう誰にも止められないわ〜。」
看護師「えーーっ。組長って。。えーーっ!」
内科の新人「親分。久しぶりだな。。いや、そんなことはどうでもいいんだよ。。キサマ子分が入院しても見舞いにも来ないのか。。言い訳してるんじゃないよコラ!。。おい。。コイツ、あたいが預かるから、組から外しな。。聞いてたのかよ!黙って外せって言ってるだろう。。大丈夫だ。そっちは心配ない。今まで通り、いや今まで以上になるように頼んでやる。。大丈夫だと言ってるだろうが!。。でどうするんだ。おいコラ!ハッキリしろよ!。。いいんだな?コイツもらうぞ。」
内科の新人「おい。今までの礼言え。」
患者「親分。愛する女のためにカタギにならないといけない。世話になったのは感謝してます。。ええ。。ありがとうございます。はい。。本当にありがとうございます。」
内科の新人「代われ。」
患者「あっ親分。お嬢に代わります。」
内科の新人「親分。気に入った。あんた粋だよ。この恩は必ず返す。。ああ、こいつの面倒は任せな。。じゃあ。失礼するよ。」
内科の新人「おい。着信拒否。」
患者「あ、はい。」
内科の新人「終わったか?連絡先削除。」
患者「はい。着信履歴も。。」
内科の新人「削除に決まってんだろう!メールアドレも拒否。削除。」
患者「はい。」
内科の新人「見せてみろ。。そうだこれでいいんだよ!で、次やることは。」
患者「全て消しましたが。」
内科の新人「お前!」
患者「痛っ!」
内科の新人「ほら!」
患者「あの。名前と連絡先を。。」
内科の新人「やるじゃないか。。早く身体治して幸せにしなかったら本気で沈めるからな?」
患者「は、はい。」
内科の新人「ゆっくり休みな。」
内科の新人と外科の新人は扉を開けて出ていった。
連絡先を交換するとすぐに追いかけ、外科の新人にしがみつき、涙を流して礼を言うキャバ嬢。
外科の新人「1人で頑張る時代は終わり。幸せにね。アイツ。素直でいい男じゃない。帰るわ。」
外科の新人「お騒がせしました。」
内科の新人「お先に失礼致します。あっ!定食屋さん行くよ!何食べよっか。」
同僚「味噌カツかな?」
内科の新人「だよね〜。」
看護師「凄いわね。容赦なしだった。あのヤクザが最初から怯えてた。組長にあんなこと。。あの子。とんでもないわー。」
内科部長「ダメだ。完全に惚れた。。俺も罵倒してほしい。」
看護師「えーっ。変態?」
別の看護師「カッコいい〜。私も罵倒されたい。ゾクゾクしちゃった。」
看護師「えっ。あなた達。。変態?。。ねえ、私がおかしいの?」
全員がうなずくのだった。




