3章7『第二の試練〝海洋〟』
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その後のアルフヘイム、第二の試練〝海洋〟の海岸探索中にて……
「きゃァァァ!」
ポチャンと水面から聞こえてその音にビビりまくっていたシュタさんには凄くこらえたらしくこれでもかと言うほどの悲鳴が出る。
その後、海の方向からザバーンという波の音とはまた違うなにか大きいものが飛び出るような音が聞こえた。
俺はその方向を見ると物凄いものがいた。
「クラーケン……。」
俺はその忌まわし意図されているその名を呟く。
「クラーケン? なんですか、それは?」
「クラーケンだよ、たことイカ混じりの魔物だよ。」
「魔物? じゃあお化けじゃないの?」
そう乙女の声でシュタさんが消えてきた。
「ああ、魔物だよ」
俺がそう答えると「なーんだ。魔物か……」とさっきの乙女の声とは一転した騎士団団長の威厳を感じさせるその復讐心混じった声でそう言った。
その次の瞬間、シャキーンと剣が抜かれた音が聞こえる。
「アハハ、アハハハ。なーんだ。切れるじゃないかァ、アハハハ!」
そう狂気と言っていい程の殺気がシュタさんから滲み出る。
クラーケンはその海の怪物という異名を持つその力の本領を発揮せずシュタさんによって切り刻まれる。
「あ〜あ、倒しちゃったか……。此方の大事な友達だったのに……。」
そう言ったのはアザラシの姿をしていた。そのアザラシ毛皮を自らの手で剥ぎ取りその中から出てきた水着を着て自分のアザラシの皮をかぶった少女だった。
「ええと……キミは敵? 」
「ううん。違うよ?」
アザラシ少女はそう俺の質問に答えた。
「ええとじゃあ名前は……コナタでいいの?」
「違うよ? 此方はアクア・ローレライだよ。宜しく! 透明妖精さん。
あと、おめでとう。君たちは無事この第二の試練〝海洋〟をクリアしました。」
パンパカパーンといった感じでアクアは自己紹介及び祝福をした。
「え? じゃあもしかしてさっきのクラーケンが……。」
「そうだよ! クラーケンが何かは知らないけれどさっきのイカタコがこの第二の試練の次へ行くための敵だよ!」
そうなのか……。シュタさんまじファインプレー。
「ところで……ここにはずっと此方とイカタコしかいなかったんだ。だから寂しい、イカタコも居なくなって此方独りぼっちになってしまう。」
そうまるで此方も連れていってくれとでも言っているようなことを言っているアクア。
「ええと……。一緒に行く?」
「うん。ありがと! ええと……?」
そうお礼を言ってこの人の名前がなんだっけ? というような顔をしているアクア。
「ああ、俺の名前は巡谷祈。」
「そして私がその妻ティターニャ・フラワフェアリです。」
「私はシュタ・アンデッドですぅ。」
そう言って俺らは手を差し出すが、俺は手が認識されてないためアクアはシュタさんとティターニャと手を振る。
それから俺らは元きた一時間半ほどの道を再び歩き出す。
一時間半が経ちやっと俺らのキャンプに着いた。
「そう言えばこれって?」
「此方じゃありませんよ? 多分メイヴ王女が置いたと思う。」
そうなのか……どうしてこんなことしたのかよく分からない。きっとサービス精神旺盛な王女様だったんだと思う。
義兄さんは俺ら帰ってきたのがわかり安堵する。
「おや? キミは?」
「此方はアクア・ローレライだよ。」
義兄さんはアクアのそのアザラシの皮をかぶった奇特な姿に興味を持ち始めた。
「キミ、セルキーじゃないか? 確か古文書かなにかで見たことがある。」
「うん。確かに此方はセルキーだけど。」
「セルキーは今から約一万年前に絶滅したと言われている種類の妖精だ。」
一万年前? そんな前に……。
「その特徴はアザラシのような姿とアザラシの皮をかぶった姿がある事だ。」
「確かにアクアさんのそれと酷似してますぅ。」
「ああ、そうだ。義兄さんシュタさんがクラーケンを倒したことで第二の試練クリアしました!」
「それは本当か?」
「ハイ。確かに階段があるのを確認してきました。」
「「「「じゃあ……寝ますか……。」」」」
そう言って俺達はそれぞれ女子用男子用にテントを分けて眠ることにした。
はあ。疲れた。
そう思う瞬間もなく俺は睡魔に負けた。
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俺は目覚めるとそこは協会だった。
え? 【転生】が起こったのか。
じゃあここはアヴァロンの結婚式最中に転移したのが最後になるな。
ええと、ここには人はいないし他のところにいるのかな?
俺はそう思いながら行動しようとすると、ガチャっと扉が開く音がしてパタパタと4人くらいの足音が聞こえる。
4人は俺のこの姿を見ると唖然とした表情でこちらを見ていた。
「ええと、どうしたんですかえ? その身体。」
「新しい世界に行った時【虚飾】のグロウを名乗る少女に体をパクられた。」
それを聞いた4人は俺を蔑まずに笑顔で受け入れてくれた。
「その身体? も素敵ですよぉ〜。私は祈さんのその優しい心に惚れてしまったのですからぁ〜。」
「そうだよ♪ カッコイイよ祈君。」
「うん、そっちも強そう。」
「そうか? ありがとな。」
そう言って俺はその実態のない手で四人の頭を撫でてあげた。




