3章6『七つの大罪+α』
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その頃。天国と地獄が入り混じった世界。ヘブルでは……
「カッカッカッ、【傲慢】たる我に抗おうとはなッ! 我の傲慢たる権能に幾ら愚かな時間を使おうとも貴様らには勝利はないわッ!」
そう【傲慢】の文字がこれ程かと言うほど板につく少女が高笑いをしながら痛々しい中二病風の言葉を発した。
その少女の前にいるのは一人の少年と妖精。彼は名を【虚飾】のグロウと言い一人の少年の体を乗っ取りこの世に存在している。
「カッカッカッ、我を目にして恐れ戦かないとは貴様天に見放されし存在だな?」
「ええ、そうですわ。」
そう少年グロウは少年の声に『似つかわしい』とは程遠いいわゆる所のお嬢様言葉で答えた。
「私はあなたを殺しますわ。」
「ほぅ。この我を殺そうと……ハッ、反吐が出る。貴様ごときがこの我を殺せるとでも?
【漆黒の紅蓮地獄】」
【傲慢】の少女がそう言ったのと同時に摂氏6000、太陽程の炎の熱がグロウを襲うが、彼は全てを溶かし尽くすだろうその焔にも微動打にしない。
「我の万物を消し炭にする【漆黒の紅蓮地獄】を受けてして無傷とは……貴様本当に【虚飾】のグロウか?
……いや、言う必要も無いわ。今貴様は死ぬのだからな。
【純白の凍結地獄】」
そう言った瞬間あたりは全て霜に覆われヘリウムですら凍り息が苦しくなってくる。いわゆる所の−273.15 ℃以下……絶対零度以下の温度が少年を襲う。
……が、その寒さにも少年は微動打にしない。少年の周りに熱で出来るモヤが見える。
「んなッ!? 貴様……。我が傲慢たる権能に不動を貫くとは……殺し甲斐がある輩のようだな。カッカッカッ!」
【傲慢】の少女がそう高笑いした直後二人の少女が現れた。
方や浮いたカーペットのようなものに寝ている【怠惰】という言葉が一番にあいそうな少女が、方や執事服を身につけている【勤勉】という言葉が一番にあいそうな少女。
その少女ふたりは双子姉妹だろうか? と疑うほど顔が似ている。
その【怠惰】と【勤勉】を思わせるかのような顔を除いて。
その情報すらエレインにとっては薄いものだった。
そのふたりを囲むように人形という人形……人形や縫いぐるみがまるでアンデッドモンスターかのような動きで居るのだから。
「初めまして、ボクは【怠惰】のスロウスです。そしてこちらが同じく【怠惰】の姉のベルフェゴールです。二人合わせて【怠惰】です。」
そう執事服のスロウスを名乗る少女が言った。
「カッカッカッ。今日は神に選ばれし日だな……【怠惰】に会えるとは……。」
「アハハ。そう言われて姉さんも喜んでます。ただ、姉さんにそのようないらない感情を持たしてしまったボクは怠惰だぁ。
ああ、怠惰……。君らのせいでボクは怠惰になってしまいます。僕の怠惰を全て姉さんに捧げたのにィッ……。」
そうまるで……いや、狂った声で狂った考えで執事服のスロウスがそう嘆く。
まるで自分を戒めるように自らを周りにいる人形を攻撃し始める。
「どうしたんでしょうか?」
エレインはそう呟く。
「あれは魔王スロウスですわ。自らを勤勉に仕立てあげる代わりに人を怠惰にさせようとする。兎に角自分が勤勉でないといけない主義の魔王ですわ。」
「知ってるんですか?」
「まあ、少なくとも私達が悪魔になりたいと思う前はそうでしたわ。」
そう昔を思い懐かしむような顔ではなく溢れかえる憎悪を体現させたような顔をさせていた。でもエレインはどこかその怒りは飾りのような気がした。
「カッカッカッ、その地獄の傀儡を見るのも久しぶりよのお。」
「お褒めに預かり光栄です。」
「ヘイヘイヘイ、ユー達。ミーの物にならないかい?」
そうどこかナルシスト感溢れた少女が現れてそう言った。
「誰ですか?」
「ヘイ、そこのリトルガール。ミーの事知らないのかい? ミーは【強欲】のマモン・グリード以後お見知りおきを……」
そうエレインが聞くとその小さな声に反応して【強欲】の少女、マモンがエレインに花を差し出す。
「どうやらボクはどこまでも付いているようだ。これまでに見たことない反応を辿ってみればここまで魔王がいるとは…………。
ボクは怠惰だァッ!? 一人ひとりを倒していくことに意味があるのにィッ!? ああ……ああッ……。」
そう狂ったように自分と縫いぐるみに当たり始めるスロウス。
「美味しそうな匂いがしたからそれを辿ってみたらこんなに魔王が居るんダナ! 美味しそうなんダナ……。ジュルり」
「アラアッ? 魔王がこんなにも沢山……アーちゃん興奮してしまいそうですわぁ〜アアン……。ああ、ああ……。」
「あれぇ? もしかして7人も集まってませんですかぁ? これはすごい事ですぅ。」
「ええと……誰ですか?」
エレインがそう呟いた。
「何なんダナ? これは? 美味しそうなんダナ。言っておくとオレは【暴食】のベルゼブブ・グラトニーなんダナ。」
そう涎を垂らしながら自己紹介したのはペッタンコで高身長な背を猫背にしている【暴食】の少女。
「アラア〜? この女の子可愛い〜ッ!! アーちゃんの者にならないですか〜? 今ならあんなことやこんな事まで〜グヘヘ……アーちゃんは【色欲】のアスモデウス・ラストですわ〜。」
このいるだけでモザイクがかかりそうな露出度高め……と言うより布が体を身につけているような程の露出度そして巨乳で背の高い【色欲】の少女。
「ええと……私は【憤怒】のサタン・ラースですぅ。よろしくですぅ。」
そして最後にその称号とは全く合っていない大人しそうな【憤怒】の幼い少女。
「ええと、宜しくお願いします。」
エレインは敵であるのにも関わらず律儀にそう返事をした。
そして後ろからなにか陰気な雰囲気を感じる。
「ワタクシそこの【怠惰】のおふたりが来る前からここにいたのですワ……いいですワ……分かってましたワ、影が薄く事くらい……。」
そう陰湿な感じを思わせるようなジメジメとした黒髪が特徴な少女が言った。
「ええと……じゃあ貴方が【嫉妬】のエンヴィーさんですか?」
「ええ、そうですワ。ワタクシが【嫉妬】のレヴィアタン・エンヴィーですワ。」
これで今生きている魔王がすべて出揃った。
【虚飾】のグロウ。【傲慢】の……何でしたっけ?
「ええと……【傲慢】さん……今更ですが貴方の名前を聞いていませんでした。宜しければ教えてくれませんか?」
「カッカッカッ、良いだろう我が戒められし邪悪の権化たる真名は【傲慢】の天に見放されし堕天使・高潔たる傲慢覚えておきたまえ。」
「ハイ。ありがとうございます。」
エレインはその自己紹介にちゃんと曇一つ内眼差しでそうお礼を言った。




