2章13『君がいるだけで世界は輝く』
「……という訳でこの聖杯探索家のピアス・ボレー君が仲間になりたいって。」
俺はこれまでの経緯を追って話している。
誰も嫌な顔はせずむしろウェルカムっぽい顔で居る。何でだろ?
(男であれば問題ない。私の祈君は鈍感だからな〜)
(男であれば大丈夫。僕の祈を取られない。と言うかやはりアーサにも最近近寄って欲しくない。)
(男なら問題なさそうですぅ〜。私の祈さんはお人好しすぎですぅ〜。)
と思っていたのは俺は一切知らない。
「じゃあよろしくピアス。」
「……ん。ああ、宜しくな祈。」
そう言って俺は手を差し出しピアスは俺の手を手に取りブンブン振った。
「姫様。そろそろ出発の頃合かと……」
有能執事さんがダンテ姫にそう言った。ええと今は10時頃か……まあ確かに頃合だな。
この世界にもちゃんと時計らしき魔法具があって庶民でも普通に持っているらしい。俺は壁にかけられていた時計を見ました。執事さんはと言うと懐中時計を常日頃から所持していると見た。
「ではそろそろ行きますかえ。」
ダンテ姫のその声で俺らは宿の前に止まっていた馬車に乗り込む。
騎士3人は前の操縦席に座っていて俺らは後ろの俺らの荷台とダンテ姫の席付きのがある。
十人も座っているのに意外と広々と使えている。
そう言えば、馬車の荷台見た目に反して食料の類が多く入ってたな、そんな感じの加護かなんかが付与されているんだろう。
やはりそうなんだな、俺は街から離れて数分ほどすると眩い光を発して消えてゆく。
馬車旅とかあまりハプニングがないからきっとそういうところが排除されてるんだよきっと……はっ、今日グィネにメタ発言乙(笑)とか思っていたのに俺もメタ発言を……
□□□
目を覚ませばそこは地球の新宿区。一日経ったとはいえやはりゾンビ騒動があった場所に近寄りたくないらしい。人が全くいない。
「まあとにかく家に帰って職場にでも行くか……」
俺はエレインにそう伝えるようにポツリと呟く。
俺は二三分歩いたところにある新宿三丁目駅の丸ノ内線に乗り12分ほどで霞ヶ関駅に着く後は徒歩で家まで行く。
俺らの家は警視庁の近くにある。とにかく近い。
「ただいま〜。」
俺はそう言って家に入るが中には誰もいない模様。返事がないからな。
一応中に入り部屋中探してもいなかった。
少し休んでから行こうとリビングに行くとテーブルの上に置き手紙があった。
『お兄ちゃんへ。
私は先に行ってるのでご飯を食べてないのであれば冷蔵庫に入ってるので食べてね。
早く来ないと怒られちゃうよ?』
そう書いてあった。
まあ、さっきご飯食べたんだが作ってもらっているのに手付かずとはなんとも失礼なので一応冷蔵庫の中を開ける。
中には何個かおにぎりが入っていた。もちろん他のものも入ってるよ? おにぎりの上に手紙が置いてあって「左からシャケ、シーチキン、梅だからね」と書いてあるからきっとこれがそうなのだろう。
願のヤツ俺の好きな具材ちゃんと覚えてるんだな……おにぎりは美味しいけとその中でもこの三つは尚美味しい。
それを味わいながら頬張り食べ終わるとお皿を洗い鍵を閉めて家を出る。
「こんにちは。お疲れ様です」
俺はそう言って少し気まずい中異能課のオフィスに入る。
「やあ、祈君今日また新入の者がいてだね。」
そう呼ばれて来たのは金髪の女の子。
「えっと……篝火蛍です……異能は……【発光】です……」
そう乗らない口調の女の子が言った。
「彼女はだね。君が消えてから起こった暴発事件。福島を業火に包み込んだ範囲と被害は君ほどではなかったよ。」
「業火? どうやってそんなことを……」
「それは……光は……熱です……その熱を抑えて光る……その抑えた熱が……一気に外へ出ることによって……その熱は莫大な力となる……です……」
なるほどな。発光とは言えども熱も生み出す。光は強いと目を焼くからな……
「そうか、なんかごめんな辛いこと思い出させて……あとありがとな蛍。」
「は……はい……」
俺は蛍にそうお礼と謝罪をすると願がいつも顔を赤くして反応するのを蛍は体全体を発行させる。発光って人体のみならず服にも出来るんだな。おかげであたりがピカピカだ。
「ええと……祈さん……は……どうして……そんな傷を……」
「あ、この痕か? これは俺の異能暴発の戒め。北海道、青森秋田を半壊させた俺へのな……」
そう、そう言えばそんな痕あったっけ? みたいな間抜けな反応をして真剣な表情でそう言った。
「半壊……ですか……?」
「ああ、どっちかと言うと消滅させたの方が正しいかな? 【消去】の異能でな……」
俺らがそんな会話をしているとガチャと音がして願達が帰ってきた。
「あ! お兄ちゃんおかえりー!!」
「祈さんおかえりです〜。」
そう二人で張り合うように強調して言ってくる。
「そうだ、蛍。他になにか出来ることとかないのか?」
「ええと……レーザービーム……とか……対象を……光らせたり……とか逆に……暗くしたりも……できます……」
レーザービームね。光魔法でもなかったな。光の矢とかはあるのに。
「意外と優秀じゃないか。」
「そうですか……?」
「ああ、俺なんてただ消すだけの異能だよ?」
「創り出す……異能より……消す異能……の方が……かっこいい……ですよ……?」
そうなのか? みんなそう言うけど、作る異能の方が強い気がするぞ。何かと。
「ええと……蛍は……祈さんの事が……好きかも……知れません……。なんか……こんな感情……初めてで……こんな性格で……誰も近づいて……くれなくて……。
祈さんのお陰で……蛍の世界が……輝いて……見えました……。好きです……祈さん……。」
(篝火さん意外と根性あるな)
とこの場にいる俺以外の全員が思っていたのは俺は一切知らない。
「駄目!」
そんな声が2つオフィス内に響く。
「お兄ちゃんは私のなの! 私のお兄ちゃんなの!」
「違います〜! 祈さんは私のです〜。」
そう言って願と診は俺の両腕を掴んでくる。
あの、俺の意見はなしですか? そうですか。
「蛍は……本気で祈さんを落としに……かかります……。」
話は最早俺抜きの女三人で進んでしまっている。
よく分からないけど、こういうのは奥手そうな蛍がもの強い強気で後ろに燃え盛る炎ですら見える。……見えるは比喩ではなく本当に、多分蜃気楼の一種だと思う。蛍後からパネェ。
「三人の気持ちに嘘偽りはないよと、とりあえず伝えておくよ。」
そう余計なお世話をしてくる信実さん。
なら尚更、その気持ちに寄り添ってあげないといけない。
だがここは日本。一夫一妻制のこの法律では一人の気持ちにしか答えられない。
燃え盛る炎とともに光る蛍の体。その姿は神に見間違えるほどで神々しいとも感じるほど。
でも普通に蛍って可愛いよね? 一見華奢そうに見えて中身は暑いハートを持っている。普通にスタイルもいいし、日本人離れしたその髪と目と顔。
蛍に告られてフルやつなんていないだろうとまで宣言できるほど可愛いんだ。
だが、可愛いのは蛍だけじゃない義妹の願だって診だってそれに劣らないほど可愛い。
でも何で俺なんだ? 俺よりこの科には男前だったりかっこよかったりするやつが幾人かはいるだろう。
それに見向きもせず俺を……何でだ?
蛍の光が徐々に強くなってきて今は目を開けるのは辛い状態にある。
ああ、眩しい……




