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2章12『誘う睡魔』

ん……んん……なんだ……ここは……

俺は意識を覚醒させる。

ええと……たしか俺は温泉で……


「う、うわぁ!」


俺は今侵されている状況を確認した上で驚いた。

俺はベッドの上で今寝ている。アーサ、ランス、マリンと共に……

周りを見渡すと、ベッドには寝ているはずの執事さんとグィネは居ない。


「おい、起きろ。起きろよ……」


俺は俺と同じベッドの上に寝ている三人の体を揺さぶり起こそうとする。が……


「むにゃむにゃ……祈さん……大好きだなんてぇ〜……むにゃむにゃ……」


マリンは寝言を残し再び深い眠りにつく。あ、死んだんじゃないよ?


「んん…………。」


「んにゃ〜。」


最初の寝言のようなものがランスので次がアーサのものだった。猫かよ?


なんでこんな状況に陥っているのかはよく分からないが、この状況のままは良くない。ここは何処なんだ。俺らの部屋? それとも女子部屋? それすらも不明瞭な中であまり行動を起こしてはいけない。

とにかく、隣のベッドが空いてるからそこで寝よう。でもあれだ、三人の手によって俺の体は完全に呪縛されていて動こうにも動けない。

さっきからだ揺らしてただろとかいうツッコミはいらない。この3人俺がここから離れることがわかっているかのように寝返り呪縛を繰り出してきたから。


でも何がなんであろうとこの状況はまずい。何がまずいのかを聞かれるとよくわからないけど、とにかくまずい気がする。本能がそう告げている。


とにかくはこの呪縛を解かない限り始まらない。横からアーサとランスの手の呪縛が俺の上に抱きつくようにマリンが寝ている。

あれ? なんだろこの感覚……。もしかして俺服着てない?


やばいこれは一大事だ。とにかく今は暗さに慣れて暗視状態ではあるけど一応身体強化魔法の暗視魔法をかける。

ちなみに呪文は


【光よ 我がまなこに かの闇を観る 祝福を】


だ。意外とこれ光魔法の一種で意外と高度魔法だったりする。

これに魔法陣削除を施して暗視する。


服が……無いだと……。


という事は俺全裸回避不可能。所謂詰み(・・)になってしまう。

そんなことはさせねぇよ。一応小さい子も居るんだ。あと娘も……。


俺はせめてもの足掻きで、錬金魔法を使う。

この錬金魔法レベルが高くなればなるほど等価交換・・・・しなくて良くなる。

日本の漫画が見ると主人公泣き出すな……


俺は大気から多量の二酸化炭素(CO2)アンモニア(NH3)二酸化硫黄(SO2)を分解。再構築してタンパク質(CHONS)を作成。それに色々してフィブロインを作成。後はそれを沢山作りーの、糸作りーの、服作りーのでパジャマ一式を作る。

全部有害物質だから大丈夫だね。完璧。


後はこの呪縛から解放されてあそこに作ったパジャマを着ること。これが一番の難題、どうしようか……


とにかくベッドが三つあるので、マリンを中央のベッドから右側のベッドに風魔法を微調節して運ぶことにした。

後は、こいつらの手をどかして【飛行】で飛ぶだけ。

この【飛行】って言う個性? は光のような羽を出し入れすることが出来る。あ、俺はね? ティターニャは勿論妖精の殆どができない技らしい。

羽音とかも無いので飛行魔法がないこの世界では物凄く使いやすい。いや、今すごく使える。


俺は【飛行】でベッドからの避難に成功した。

マジでいろんな神経を使った。ほわぁーぁ……眠い。早くパジャマ来て寝よ。

俺はパジャマを着て左側のベッドに転がって睡魔に誘われ眠りについた。



次の日の朝。

何故か俺はものすごく怒られた……ということは一切なく。いや、無い訳ではないな、どうして逃げたのか問い詰められた。

何で? これ俺が悪いの?


「なあ、グィネ昨日俺何があったか知らないか?」


「んん……アタシも気づいたらベッドの上で……ヘクチッ……」


どうやらグィネはあのまま放置だったっぽいな、なんとなく状況が思い浮かぶ。

今日は客が全然いないからもしかすると執事さんが入ってくるその時まで放置だったかもしれない。ナンマイダブ。


「アタシ最近扱い悪くない? ネタ臭がするんだけど……」


メタいぞグィネ。あとネタ臭じゃなくてネタキャラなんだよ。

そんなことを思っているとあるひとりの少年が話しかけてきた。


「なぁ、兄ちゃん。もしかして黄金の聖杯探してない?」


「え? どういうことかよく分からないんだけど……というか君誰?」


「ああ、ボクはピアス・ボレー聖杯を探してたりするんだけど君も同じ口?」


ピアス・ボレー。きっと発音はPierce valley貫く谷(・・・)だろうか。アーサー王伝説でも聞いたことない名前だな……。

それにしてもこいつも聖杯探索家か……。十二歳くらいの低身長でアッシュブロンドの背中ぐらいの長い髪を三つ編みお下げにしていてどこから華奢な雰囲気を醸し出している。

たしかに、探索家っぽい所がある来ているコートとか旅する人のコート感があってボロいし


「ん。ああ、まあな……」


「そうなんだ! ボクも連れてってくれないかな? ボクもう一人旅にも飽きてきてて……」


まあ、圧倒的に男不足なこのパーティーには必要だろう。

あ、でもこの子も意外と女っぽいところあるからな……グィネよりはマシだけど。


「ええと、俺ひとりじゃ決められないかな。他にメンバーいるし。」


「そうか! そうだね。」


物わかりのいい子で助かる。でもなんだろうこのぎこちない胸騒ぎは……なにか引っかかってるな。この子やっぱりどこかで出てたか?






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