ここから始まる異世界生活
騎士団長と2人で待っている
非常に気まずい
なんか 気まずい
『あのー 騎士団長様はなぜ 俺を信じたんですか?』
静かさに耐えきれずに俺は口を開いた
『ん?そうだな 理不尽な処刑とは後味が悪いからな』
すこし 下を向き 何かを思い出しているかのように喋る
『私はいままでいろんな罪人を見てきた。必死に抗議をし無実を訴える。そんな輩を見て 女々しい しっかり罪を認め処刑されろ罪人め と思っていた時期があった。しかし後日 同じような事件が起こり同じように処刑される罪人 頭の中ではわかっていたのかも知れない。本当に無実を訴えていたのに信じてもらえず死んでいった者もいると……』
この世界では指紋とか防犯カメラとか嘘発見器、死亡推定時刻や凶器はなんなのかという物的証拠という概念が無いのだろう。証言と合理性だけで罪人と決めてしまい、時間が経つとめんどうだから処刑してしまう。そんな世界なんだろうな。
『私は嫌なのだ。罪人の処刑は歓迎だ。しかし無実の民を罪人として処刑する。善良な行いをし幸せな家庭を持ち平和に過ごすはずだった者が死ぬとなると……』
強く拳を握りしめていた
『だったらしっかり見て勉強しな。今日はしっかり犯人を見つけ出してやる』
笑顔で微笑むと騎士団長の力も緩んだ
遠くからガサガサと走り音が聞こえてきた
『お待たせしました騎士団長どの、、、って罪人 貴様なぜそこに居る!!』
短気な兵が剣を抜こうとしていた。
やっぱりな と思った
『まて!!こやつへの攻撃は私が許さんぞ。』
騎士団長が俺をかばってくれた
なにこのイケメン かっこいい と思ったことは置いといて
では 今回のメアリー王女殺害事件について推理を始めます。
『なにが推理だバカバカしい。罪から逃れようとしても無駄だぞ!!』
そして俺は思った
『すいません そういえばこの短気な兵隊さんの名前って何です?』
『た、短気だと!?』
『あー 彼はロベルトだ ここの兵になって4年目 わりと実力があり、もう少しで兵長になれそうなやつだな。まー性格さえ何とかなってれば もう兵長くらいにはなっててもおかしくないのだが、、、』
と頭を抱えていた
『騎士団長どのまで!?』
『じゃあ ロベルトさん あなたはメアリー王女が殺される前 どこで何をしていましたか?』
『あ?罪人に話すとでも思ってんのか!?』
とガンを向けてきたが
騎士団長の殺気を感じ すぐにシュンと小さくなる。
はーとため息をつき
『私は城内の見回りをしていた。そしたら庭の方から叫び声が聞こえたんだ。私が駆けつけるとメアリー王女がそこにいる罪人と賊に囲まれていたんだ。私は戦ったがメアリー王女を守り切れず応援を呼びに行った。そして仲間を連れて戻ってきたら罪人だけがいた。おそらく仲間を逃がすために残ったんでしょうね。はやくこいつを拷問して賊の居場所を吐かせましょう。遠くに逃げられる前に!!』
『玲司!!貴様 嘘をついていたのかー!!許さんぞーーー!!』
とガレスが叫んだ
なるほどな~ こういう嘘を言うとみんな信じちゃうっていうことか。王国の兵と罪人候補 信じるのはどっちって言われたら兵なんだろうけど、、、
『じゃあゆっくり紐解いていきましょうか。』
周りの空気が少し変わったような気がした
『まずロベルトさん あなたは賊と戦ったんですか?』
と近寄り ロベルトの鎧に触れる
『あ、当たり前だ!!メアリー王女が襲われてるんだぞ。戦わない訳が無い!!』
『じゃあ なんでこんなに戦った痕跡がないピカピカの鎧なんでしょうね』
一瞬ビクッとしたが
『そりゃ 相手の返り血が付いてボロボロになったから新しい物に変えたのだよ』
『なるほどね~』
そう言うと俺は メアリー王女が倒れていたところに足を運んだ
そしてメアリー王女が倒れていたように俺も横になる
『な、なにをしているのだ?』
ガレスが問うと
『騎士団長。メアリー王女が倒れていたのは、この格好でいいのかな?』
そう聞くと 騎士団長は頷いた。
『ではこの向きおかしいと思いませんか?』
俺は全員に聞くが誰も答えなかった。
『メアリー王女の足は城の方を向いている。つまり背後を襲われたメアリー王女は城では無く逆方向へ逃げようとしていた。変じゃないです?普通死ぬかも知れない時 例え逃げることが難しくても 城の方へ逃げ助けを呼ぶのが普通では?』
皆がハッとする
『メアリー王女は賊から逃げようとしていた訳ではなく、城の方から逃げて来て殺された。つまり内部の人間が怪しい』
皆がロベルトを見た
『あ???いや なんで俺を見る!?罪人の言うことを信じんのかよ!!』
焦りだすロベルト
『あーー いや賊じゃなかったかもな 確かここの兵がメアリー王女を追いかけていて切っていたんだ!!俺はそれを見てヤバいと思い仲間を呼んだんだ!!』
騎士団長は剣を握り
『貴様 さっきと話が違いすぎるぞ』
と殺意を出していた。
このままだと推理が終わる前に殺されると思った俺は
『騎士団長。ここの兵で左利きは誰かいるか?』
と質問し
『ん?ここには左利きの兵は、、、』
とロベルトが右に剣を下げているのを見て
『あー 確かこいつ 左利きだったな』
と答える
『左利き??それが何の意味がある?関係ないだろ!!』
『いやー それが大ありで、、、てかそれがなかったら正直もう少し面倒だったよ』
皆がイマイチわかっていなかったようなので
『ガレスさん 少しそこの木を切ってくれないかな?上段から』
そう言うと ガレスは木を切った
騎士団長ほどではないが 綺麗に右上から左下へと切れていた。
『じゃあ 次は持ち手を逆にして隣の木を切ってくれないかな?』
ガレスはやりにくそうに 切った
すると左上から右下へと切れていた
『この切り傷 メアリー王女の背中にあったのと一緒なんですよね』
ロベルトは挙動不審になり
『ひ、左利きなら他にもいる、、、そ、そうだ!!料理長!!料理長も左利きだ!!』
騎士団長は少し呆れた様子で
『料理長は食のスキルを持っている。剣は使えない。包丁なら使えるかも知れないが、私でもわかる。この傷は包丁では出来ない。そもそも彼は料理部屋から出れない。それは君も知っているだろ』
料理部屋から出れない?どういうことだ?
何かの制約とかかな?
ロベルトはフルフルと震え始め
『違う 違う 違う 違う 俺はやってねーー!!ふざけんな!!』
と剣を抜き玲司へ突っ込んでくる
そのスピードは速く 誰も反応出来なかった
俺も 死んだと思ったが そこに騎士団長が一瞬で割り込み剣を弾く。
『もう諦めろ。女々しいぞ』
床に手をつけ力尽きたように言った
『違う……違うんだ。王女は騙されていたんだ。あいつに……あの庭師に……』
ロベルトは震える声で続けた。
『メアリー王女は、誰にでも優しかった。兵士である俺たちにも笑顔で手を振ってくれた。稽古をしている時には、頑張れと応援までしてくれたんだ……』
拳を強く握り締める。
『なのに、ある日からだ。王女は庭を見ることしかなくなった。窓辺で笑う日が増えたと思えば、その笑顔は全部、あの庭師に向けられていた。
最初は庭師を憎んだ。あいつさえ消えれば、王女はまた元に戻る。そう思っていた』
ロベルトは自分の頭を押さえた。
『……本当に、そう思っていたんだ。
なのに……日に日に苦しくなって……胸の中が真っ黒になっていって……』
胸を押さえて地面に額をつける
『気づいたら、庭師じゃない。王女のことばかり考えていた。
どうすれば、あいつが一番苦しむのか。それだけを考えるようになっていた』
騎士団長が胸ぐらを掴み上げる。
『だから、なぜメアリー王女を殺した!』
ロベルトは力なく笑った。
『庭師を殺しても終わるだけだ。でも、王女が死ねば……あいつは一生苦しむ。そう思ったんです』
『私の愛の方が深い。最後に勝つのは私だと……そう思ってしまった』
騎士団長の手から力が抜ける。
『……狂っている』
『ええ』
ロベルトは涙を流しながら笑った。
『狂ってますよね』
『でも……』
『俺は、本当に庭師を殺すつもりだったんです』
『それなのに、どうして王女を斬ったんだろうな……』
『今になっても、自分でもわからないんですよ……』
ロベルタは地面に頭をぶつけてぶつぶつ言い始めた
『なぜだ?なぜこうなった。なぜ私は泣いている?なぜ?メアリー王女は死んだ?わからない。なぜ私はここにいる?なぜ?なぜ?まぜ?なぜ?』
様子が変わったのがわかった
『お、おい?』
玲司がロベルタに近づこうとすると
地面に何度も狂ったように頭をぶつけた
『なぜなぜなぜなぜなぜなぜ?』
騎士団長が慌てて腕を掴む。
『ロベルト! 落ち着け!』
その瞬間だった。
ロベルトは騎士団長の剣を奪うより早く、自ら腰の剣を抜き放つ。
『やめろ!!』
玲司が叫ぶ。
しかし――
迷いはなかった。
ズブリ。
剣先は、自らの腹へと深く突き刺さった。




