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シンカータイカー   作者: よぐると
コアセンド王国編
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第73話 過去の面影

 ムロフとホールンはカイ達と別れた後、とある部屋の前にいた。


「この扉、厳重に閉まってんなぁ。絶対に秘密があるぞ。」


 部屋は扉で閉まっているので、何かこの扉を動かす鍵が必要なはずだが、物事を難しく考える必要はない。

 中に入りたいなら扉を破壊するだけだ。

 フッとムロフが扉をひと蹴り。


「おっ、意外と軽かったな。」


 相変わらずのフィジカルが魔法(マジカル)のように事を進める。

 ムロフが扉を蹴り破ったと同時に、冷たい風が靡かれてきた。

 

「何だここ?!寒!」


 肌を突き刺す盛冬を思い出す冷気が足から伝わってくる。


 他の部屋よりも遥かに室温が低い。厳重な扉はこれが理由だったのか。

 ホールン自身とムロフに耐寒を強化し、いざ部屋に入った。

 薄暗く、照明の数は少ない。何かが保存されているわけでもなくただただ冷却されている部屋だった。


 少し入っただけで、寒さに耐えていたとしても鼻が赤くなってきた。


 長い部屋の突き当たりにはドアが一人で構えていた。

 凍りついたドアのハンドルを捻ると、壁にガラスがある部屋に来た。

 ガラスを覗くと、下に広がる空間にはたくさんの魔人がいた。

 無気力に腕を揺らしながら歩き、痩せこけた姿の魔人の姿があった。


「なんだ・・・?。どうしてここに?

 冷たい部屋の奥にこんなことが。」

「僕にも納得できない。

 まるで奴隷だ。この空間だけ過去に取り残されたみたいだ。」


 異様な光景に二人は腰を抜かす。

 

「これはみんなに言ったほうがいい。すぐに行こう。

 でも、もう少し探してみよう。」




 少し前、リテルとゼヴァはシャッツと黒い巨人が落ちた液体のタンクを見ていた。

 鈍く反響する音と共に液体は水位を減らし、遂にはタンクの底が顔を出した。

 しかしそこにはシャッツもあの巨人の姿はなかった。


「穴が空いてる・・・。シャッツは一緒に?」

「穴から別の部屋が見える。あ!カイが見える!」


 リテルがカイの名を叫ぶが、彼の耳には届かなかった。

 ただカイとホールンが走り出したのを見てシャッツを任せることにした。


「たぶん・・・カイなら大丈夫だろ。

 奥に進もう。」

 

 その後、カイはシャッツと共に囚われることになった。





「まいったもんじゃ・・・。いくらこづいてもびくともせん。」


 カイは絶賛捕まっていて、ポットの中で脱出を目論んでいた。

 狭く、刀を振る余裕のある空間がない。

 刀の柄で打ってもその試みは何かを変えることにはならなかった。


 その隣で、バリバリと音が漏れてきた。

 シャッツの方を向くと、シャッツが頭を何度も打ちつけている。

 ひび割れは次第に広がり、脆くなった部分を角で一突きした。

 角がガラスを貫通し、脱出に成功した。

 

 これはホールンの時間稼ぎのおかげである。

 今もなお追いかけられていると思うと、気の毒だが、このチャンスは成功させるためにある。


 シャッツはカイの脱出に協力するために、ポットを開けるボタンを探した。

 ポットから少し離れた場所で黄色く光っているそのボタンを押し込むと、カイが入っているポットが震え始めた。

 シャッツは異変を感じ、すぐに別のボタンを押すがどうとなることはなかった。


「なんじゃ?!」


 そのままカイのポットは動き出し、下へ降下を始めた。

 シャッツとカイは離れてしまった。

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