表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

第3話 入学試験

 入学試験の時期になった。

 山の葉は緑で茂り、気候も安定した季節になった。

 師匠から聞いた話ではこの世界には3年間の魔法学校があるらしい。

 旅人学科、生体学科、理学学科、文学学科などがある。

 基本的に旅人学科を選ぶ人が多い。

 それは、極獣の討伐を目標として学科を受ける人である。

 極獣の討伐は一攫千金とも言える。

 だからその金を生活費に当てて生活している。

 俺もその一人になるため、旅人学科に入る。


 まず、学校に入るためにはまず希望の学科を選択する。

 そこから分別され、旅人学科は戦闘が試験になる。

 生体学科などは、戦闘ではなく技術が必要なため試験は筆記が通常だという。

 師匠は生体学科で入学をしていたらしいが、一度浪人をしたことがあるらしい。

 生体学科の筆記試験は合格率が低いことで有名で頭を悩ましていた。

 俺にはそんな教育が、小さな頃からされていなかったから、無縁だ。

 だから、俺は旅人学科に行くことにした。

 実力があれば入れるらしいので、俺はそこに決めた。


 入学試験当日


 俺は山を降りて学校に向かった。

 師匠から渡された地図を手に持ち、地図を頼りに学校に向かった。

 同じように学校に行く人がたくさんいた。

 羽を広げて空を飛ぶ人がいたり、移動系魔法で移動している人がいた。

 俺には蛙の舌があるが人前で使える特性ではないので仕方なく歩いて行くことにした。

 川に沿って歩いていると、ちょうどこの季節に咲くデンゲンザクラが生えていた。

 デンゲンザクラは師匠によると、電気を発生させることができ、それから電源という連想でデンゲンザクラとなった。

 他にも行動の電源という意味として植えられていることがある。


 レンガ道を歩き、街の景観を見ていると何やら騒がしい声が聞こえた。


「どきな!

 俺の道だー!」


 疾風の速さで人々の間を駆けていく。

 ずば抜けて筋肉があり、人一倍身長が高かった。

 あれは特性なのか、天性的な性質なのかわからないが強そうとは思った。

 そう考えている間に、もう何メートルも先を走っていた。

 

  突然の叫びに誰もがそちらを振り向いた。

 

「離れろ!」


 そこには極獣がいた。


 [極獣の生体反応。

 今、反応しているのは 魚獣 ブレーク・ズ・アクトゥエル。

 六本の首周りにある角が特徴で、電気を操る極獣です。

 再生力が強く、ウーパールーパー、オオサンショウウオの極獣。

 すぐそこの河川からきたと思われるます。

 河川は汚れていたため住み着くのに適している。

 魚獣 ブレーク・ズ・アクトゥエルは再生力が高い代わりに、皮膚が柔らかく、簡単に切ることができます。

 しかし、範囲攻撃魔法や、火、電、水、草などの魔法を無効化することができる免疫細胞を持っているので、魔法で対処するには向いていません。

 そして、面倒なことに魔法を受けると免疫細胞が反応し、一定の間、肌が剣を通さないほど肌が硬くなります。]


 なるほど。

 ということは、無属性の方が倒しやすい生物もいるということか。

 

 しかし、それを知らない無知な人もいる。


「俺が討伐するぜ!

 炎魔法 豪炎の球。」

「バカですね。」


 クールな見た目のメガネをクイッとしながら解説を始めた。

 天才的な自分の知識を広めたいのか長々と話していたが、天才的に思われたいなら簡潔にまとめて欲しいな。

 頭がいい人はそういうのも考えれると思うんだけどな・・・


「一体何の騒ぎじゃ?」


 老人が歩いてきた。

 その風格は歴戦の勇者のチームメイトみたいなオーラをまるで纏っているようだ。

 落ち着いた雰囲気で、白髪の長い髪で、白の和服を着ている。

 

「その極獣はわしが始末しておく。

 試験に遅れるではないぞ」


 あの人がどんな人なのかわからないが強いということはわかった。

 極獣は老人に任せて他の試験者は学校に行った。


 学校に着くなり、人は混み合っていた。

 どうやら、学校側に問題があったとのことだった。


 ハプニングが多いな。


 何かが排出される音が聞こえた。


「ブオォォー!

 プシュッ!」


 辺りには紫の煙が立ち込めた。


 放送がかかった。


「緊急放送です。

 速やかに避難してください。

 毒性の煙が充満しています。」


 一体何が起きているのか理解ができなかったが、みんなが避難している方向に流されるように避難した。

 学校の広いグラウンドに集まった。

 そこに先生らしき人が台に立った。


「私は教頭のウェルノ=ハーバーパ。

 私は今回の試験実行者です。

 ただいま発生している煙は極獣の物です。

 毒の煙を操る極獣 貝獣 デゥールン・シュネッケンが突如として現れました。

 しかし、安心してください。

 試験は行います。

 皆さんが迅速に移動してくれましたので、早く始められそうです。

 毒の煙は毒性無効の業者が回収をしてくれますので少々お待ちください。」

 

 教頭は台を降りて学校の中に消えた。

 こういうのは校長がするのではないかとは思うが、どうして校長が出てこなかったのだろうか。

 まあ、そんなことはどうでもいいか。

 試験に合格するだけだからな。


 待っている間にも問題が発生した。

 それはうるさいということだ。

 一気に集まってしまったので、列がなっておらず押し合いが始まっていた。

 けど、一向に俺の周りは揺れなかった。

 それは・・・

 朝に爆走していた奴が隣にいるからだ。

 体感もバケモノだった。

 出来上がった筋肉に見惚れていると、話しかけてきた。


「どうだ?

 俺の筋肉!

 素晴らしいだろ!」


 ムキッとポーズをとり話しかけてきた。

 暑苦しい奴だが、悪い奴ではないことがわかった。

 こいつはただの筋肉の精霊だった。

 特性では無く生まれつき持った性質だった。

 朝になぜ走っていたのか聞いてみると。

 注目を集めたかったとのことだと。

 やっぱり、目立ちたがりの筋肉の精霊だった。


 数分経った頃だろうか、ブザーが鳴った。

 それは試験開始の合図だった。


 試験の内容は 対戦 だった。

 1対1の勝負で勝ち負けは関係なく、特性、立ち回りが評価の点になる。


「リテル=クロテウスさんはここの範囲で対戦してもらいます。

 採点は私ともう一人の」

「私が採点します。

 意識は別々なので不公平にならないようにしています。」


 案内役の先生に案内された場所はテニスコートの2倍ぐらいの広さだった。

 待機していると対戦相手がきた。

 対戦相手はリオナ・ヴェル=クロウ


 見た目は魔法系の女の子だった。

 出会って数秒、開始のブザーが鳴った。

 審査員の合図が響く。


「試験開始ー!」


 土の匂いを含んだ風が吹き抜ける瞬間、俺は地面を蹴った。

 バレットタイムも徐々に発動し、周りの世界がどんどん遅くなり、俺の動きは速くなる。

 

「速いね。」


 彼女は一歩も引かず、笑っていた。

 猫の耳がわずかに揺れる。


 俺は一気に間合いを詰め、剣を横薙ぎに振る。

 が、手応えは感じられなかった。


 次の瞬間、俺の足首に硬い感触が巻き付いた。


 !?


 視線を落とすと、足元から銀色の鎖が伸び、魔力のきらめきが脈打つ。


「動きが速くとも、掴めばただの的だよ。」


 リオナは杖を軽く振る。

 鎖はさらに俺の足にまきついた。

 俺の行動を制限した。


 それでも、俺はこんなので止まらない。

 俺は片足を軸に体を捻り、細かい斬撃を飛ばす。

 威力は低い。

 けれど、その一撃、一撃はリオナの魔力防壁を削っていく。

 

「・・・なかなかしぶといじゃない。」


 リオナは防壁の揺らぎを感じ、鎖を引き戻すと同時に後退り。

 俺はこのチャンスを見逃さず、全力で踏み込み、斬撃を重ねる。


 審査員の低い声が漏れた。


「お互いの長所短所を短時間で理解している・・・」


 そこでブザーは鳴った。

 結果は引き分け。

 長いようで短いようなそんな試験だった。


 リオナは息を整え、俺に手を差し出した。


「悪くなかったじゃない。」


 すぐに振り返り、挨拶や話したりはできなかった。

 だけど、ただその一言が嬉しかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ