第8話 罪の意識
一方、メイと心は本当に花壇に来ていた。朝露が付いた名も知らぬ花の周辺に人の気配は無く、とても静かだった。
「ここまで来れば安心ですね〜」
メイは、蒼太の笑顔を見て固まった心をさりげなく連れ出した。なんのためかと問われればそれはひとえに心のためであった。
メイにとって、心は大親友だ。もちろん蒼太達も親友であるが、心は特別であった。
二年前、この神蘭小学校に転校してきた時の話だ。目立つ金髪の髪色緑がかった瞳。そんなみんなとは違う姿から浮いていた教室で、他の遠巻に見るだけのクラスメイトと違い、心は億さずに話しかけてくれた。だが、当時は日本語もあまり上手くなく、前の小学校ではひどいいじめを受けていたこともあり、メイは今のような人に抱きつくことなど持ってのほかな、とにかく内気な子だった。
「メイちゃん!私こころ!よろしくね!」
「ハ、ハひ、アタシ、もヨロシクオネシャス、」
緊張してカタコトした変な日本語になってしまいメイは絶望した。
またいじめられると。
「オネシャス?メイちゃん日本語わかんない?」
「イ、Yes。す、こし・・・」
「うーん、よし!じゃあわたしがおしえてあげる!」
「フエッ?」
そう言って心はこっちだよと言い手を引いてくれた。
それから別のクラスであったが近所に住んでいて仲のいい蒼太達を紹介された。メイも引っ越して来たのがたまたま皆の家の近くのマンションで自然と一緒に遊ぶようになった。蒼太達もまたメイに優しくしてくれ、メイに居場所が出来た。イジメの一因であった髪も瞳も綺麗だと褒めてくれた。そうして遊んで、長く一緒にいれば心が蒼太に向ける特別な視線にも気がついた。そして、その意味も。
翠も気づいていたようだが、残念。まだお子様な紅蓮は気づいていない。
メイは、大親友で恩人な心の助けになりたくて、勇気のある、でも恋愛には人一倍臆病な心を手助けするようになった。時には翠と一緒にフォローしながら...
今回も、固まってしまった心を正気に戻すために外に連れ出した。簡単に言うと蒼太から引き離してクールダウンさせるためにだ。
「メイ、笑っ、た、笑ったの」
「笑いましたね〜」
メイは、効果音がつく程ニコニコしている。
対して心は顔を真っ赤にしている。だが、突然泣きそうな顔になった。
「嬉しかったの...笑ってくれたのが。でもね、思ったの蒼くんが思い出しちゃったら、って...」
「コロちゃん...」
「分かってるの。私達がしてる事はきっと、蒼くんを裏切ることなんだって。でも、また蒼くんにあんな思いをさせるなんて、、でも!!」
「コロちゃん!!」
メイは力強く心を抱き締めた、強く。
「落ち着いて、大丈夫、嘘をつくのは辛いよ。皆辛いよ...。でも、そーちゃんが耐えられる分からない...もしかしたら受け入れることが出来るかもしれない。だけど、そーちゃんがまた(・・)壊れちゃうかもしれないって皆が怯えてる。だから、待とうよ。皆時間がいるよ...」
「メ、イ、、ごめん、ごめんね、ありがとう...」
心はせきを切ったように泣いた
メイは、心を抱きしめ続けた。せめて心が泣き止むまではと、抱きしめ続けた。
そーちゃんがあの(・・)子のことをまた(・・)忘れてたこと、みんな気づいてる。
皆、時間がいるよ。
そーちゃんのお母さんもまだ早いって言ってた。
でも、
でも、1番辛いのはきっと「ミーちゃん」なんだよ...
お願い、ソーちゃん思い出して、乗り越えて、
みーちゃんを助けて…
私じゃ、ダメなの...
ブックマークありがとうございます
とても嬉しいです