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I Love It !  作者: yutaka
6/6

06

最終話です。

軽~いR15があります。

「ん…ぁん…」


希愛を連れて生徒会室に戻ると、ドアの鍵を締めてソファに座った。

希愛は僕の膝の上だ。

生徒会室に入った途端、希愛の唇に触れるだけのキスを繰り返す。


こんなふうに希愛にキスするようになったのは、いつからだっただろう?

自分が中学のころだったか?

最初はテレまくってた希愛だったけど、何度か繰り返すうち大人しく受け入れるようになった。

っていうか、拒否なんて僕が許さない。


「希愛…」

「聖くん……クスン…」


未だに希愛はグズグズと泣いてる。


「いい加減、泣きやみな」


そんな言葉をかけながら、希愛にするキスはやめない。


「ごめんなさい…私のことき嫌いにならないで…聖くん…」

「だから希愛は悪くないって言ってるだろ」

「でも……」

「じゃあ希愛は、僕に怒ってほしいの? 呆れてほしい? 嫌いになってほしい?」


僕はワザと責めるように希愛に詰め寄る。


「そ…そんなこと…」


いつも卑屈になる希愛が、言い過ぎたと後悔して心配そうに上目使いで僕を見つめるのがたまらない。

だから必要以上に希愛を責めて、僕に許しを請うように追い詰める


「ならもう黙りなよ、希愛」

「うん…」


僕は赤くなった希愛の唇をペロリと舐めた。


アイツ……絶対許さない。


まだ社会人ではないけれど、高校生になってから父親や祖父さんにくっついて会社にも出入りするようになってた。

大学生になればもっと会社に絡んでいくのはわかってるし、それなりの仕事も任されることになるだろう。

だから結局祖父さんに頼ることになるだろうが、きっと祖父さんも僕と同じ思いになると断言できるから貸しになろうが構わない。


今すぐアイツには、もう二度と希愛に近づけないように制裁を与えてやる。


「はぁ……聖くん……」


一途な希愛はきっと自分を責めてるはず。

僕はそんな希愛の気持ちを軽くするだけだ。


「ちゅっ……」


軽い触れるだけのキスから、希愛の舌を絡める激しいキスへと変えていく。

もう何度となくしてるキスに、希愛はいつまでたっても慣れない。


「希愛……力抜いて…」

「ふ…ぅん……はぁ……」


散々希愛の口内を堪能して唇を離すと、希愛はいつも大きく息を吸う。


「いい加減、慣れなよ」


片手で希愛の背中を支えて、片手で希愛の顎を持ち上げる。


「…………」


赤い顔して潤んだ瞳で見上げる希愛に、僕はどうしようもないほど愛しさが込み上げる。


「好きだから……嫌いにも呆れたりもしないから安心して」

「本当?」

「本当だって」


希愛の制服の胸元に顎から離した指をかけて、鎖骨がはっきりと全部見えるように広げる。


「あ…ダメだよ聖くん……ここ学校……真樹ちゃんが来ちゃう……」

「真樹は当分帰ってこない」


いくらなんでも気を使うだろ。


「でも…ひゃう!」


希愛の首にチュッと唇を押しつけたら、ピクンと身体が跳ねた。

ああ……可愛い。


「あ…ダメなの……聖くん……んんっ!」


啄むキスを希愛の首と肩と鎖骨に落とす。

鎖骨にキスマークをつけることを忘れない。


「は…やん……」

「……」


まったく……希愛は可愛い声をだすよね。


本当ならここで最後までいきたいところだけど……僕と希愛は今のところをココまでだ。

これが自分か希愛の部屋ならもう少し大胆なこともしてるけど。

高校3年の、たとえ金持ちの息子だろうと身体は世間一般の男と同じだ。

だから人並みに高校生らしい性欲だってある。

しかも、相手を探さなくたって愛しい『婚約者』までいる身だし。


「希愛……早く大きくなれ」

「んっ……え?」


僕の首と鎖骨にと落とすキスと、さらに加わった僕の膝の上に乗ってる希愛の滑らかな素足を撫でる手の刺激に意識を取られてる希愛には、僕の囁きは聞こえなかったみたいだ。


幼い希愛に手を出すのは、今はここまでと自分に言い聞かせる。

せめて希愛が16歳になるまでは忍耐の二文字だ。


僕は希愛が大事だ。

本当なら僕の部屋に閉じ込めてしまいたいほど。

でもそれはさすがにできないから……。


「希愛……好きだよ」

「うん……」

「希愛は?」

「うん……大好き……」


そう言って僕の首に回してた両腕に力を込めて僕に寄り添うと、恥ずかしそうに希愛は僕の胸に顔をうずめた。




──── 翌日。

朝、自分の教室に入ろうとする丹下は教室の前の廊下で声を掛けられた。


「お前が丹下良成か?」

「ん?」


見ればひと組の男女が目の前に立ってた。

制服姿だったからこの学校生徒だろうと思うが、顔は自分のクラスにはいない。

初めて見る顔だった。

男は短めな真っ黒なストレートな髪で、凛とした雰囲気を漂わせ腕を組んでる。

隣に立ってた女は男より背が低くて、やっぱり黒髪の肩より長めのストレート。

ちょっとキツイ感じの顔つきで、腰に手を当てて立ってる。


ただ2人に共通の印象は運動神経がよさそうというのと、俺に対して怒りを露わにしてるってこと?

なんでだ?


「お前ら、誰?」

「オレは錦織にしきおり、こっちは長雅ながまさ


俺のほうを向きながら、自分の紹介と女のことは顎で指した。


「は……ぁ?」


だからなんだ?


「ったく! 余計な仕事増やしてくれたよな? 丹下良成!」

「ホントよ! この、エロボケナス男が!」

「は?」

「お前のせいでオレとコイツは、聖にこの学校に転校させられだんぞ!」

「な?」

「オレはお前の監視で、コイツは希愛の監視でな! ホント腹立つっ!」

「うわっ!!」


いきなり胸倉掴まれて、殴られる勢いだ。


「いいか?これ以上オレ達の仕事増やすんじゃねぇぞ! 希愛の半径10メートル以内に近づくな! 近づいたら殺す!」

「それじゃ廊下でもすれ違えないじゃないか!」

「ああそうだ! 希愛を見かけたら、回れ右しろ! 希愛の視界から消えろ!」

「無茶苦茶な…」

「話しかけても殺す」

「1秒以上見つめても、ただじゃおかないからね!」


女にも言われた。


「なんなんだよ…」


ホント、ワケがわからない!?


「お前が希愛に手を出したからだ、ボケ! 自業自得だ」

「あんたの親も可哀相~今ごろ大損害被ってるわよ~フフフ♪」

「?」

「ま! 自分が育てた子供がしでかしたことだもんね♪ 仕方ないわよね」

「なんだよ?」

「お前の軽率な行動が、宝仙グループの怒りを買ったってことだよ。自分が誰にどんなことをしたのか、身をもって知るんだな」

「…………」

「とにかくお前は、残りの人生をまっとうに送りたかったら、二度と希愛にかかわるな。できれば転校しちまえ。そうすりゃこっちも面倒が省ける」

「そうよ。まぁもしかしたら、あんたの親が勝手にそうするかもね♪」

「?」


ワケのわからなかった良成だったが、その日家に帰ると怒りをあらわにした両親に詰め寄られることになる。



『お前、宝仙さんのお孫さんに一体なにをしたんだ!?』


胸倉を掴まれて、今度は冗談抜きに親父に殴られた。

話によると今日の朝、宝仙ほうせん州太郎しゅうたろう氏(宝仙家・本家当主兼宝仙グループ総帥)から親父に電話があったらしい。


『宝仙家の嫁になる、私の孫の許婚がそちらのご子息に不埒なマネをされたので、それ相応の対応をさせていただく』 


と親父が取り付く島がないほど素っ気ない電話が掛かってきて、あっという間に切られたらしい。

それから昼を迎えるころには、決まりかけていた大口の契約が何本も破棄の状態になり、今まで取引をしていた幾つもの会社からは今月一杯で取引を中止するとの電話が入った。


『とんでもないことをやってくれたな……良成……』

『…………』


まさか自分のあんな行動が……こんな大ごとになるとは思わなかった。

いつもの軽い遊びのつもりだった。

大体は最初は驚きながらも、お互いちょっとの間楽しむ関係。

そんなキッカケを作るつもりだった。

たしかに気になってた女の子だったけど、そこまで執着してたわけじゃないし、本気だったわけじゃない。


『宝仙家のすべてがお前の相手だ。覚悟しとけ』


アイツはそう言った。


『それにふたりの結婚を決めた聖のお祖父様も、希愛ちゃんのこと可愛がってるから聖をとめないと思うし』


『お前が希愛に手を出したからだ、ボケ! 自業自得だ』

『あんたの親も可哀相~今ごろ大損害被ってるわよ~フフフ♪』


数々の言葉が頭の中で繰り返される。

だからって……だからって……こんなことまでするのか? 宝仙聖!?




「こんなことまでするか、普通? まあ聖だからありえるっちゃーありえるけど」


そう呟いたのは生徒会室のソファにだらけて座りながら、飲み物を飲んでる錦織だ。


「やっぱり転校になったのね。あのエロボケナス男。まあ早いうちに人生勉強できてよかったんじゃない? あんなの、大人になってやられてもそれこそ迷惑だし」


窓際に寄りかかって、同じく飲み物を飲んでるのは長雅だ。


「君達もせっかく転校してきたのに、役目が終わっちゃったね」


彼らがここに転校してきて、一週間もしないうちの出来事だった。


「あたしはこのあともここに通うんだ~♪ 来年は聖達は卒業でしょ? だから、あたしはそのまま希愛ちゃんの傍にいるのよ♪」

「なんだか嬉しそうだね?」


真樹が自分の淹れた紅茶を錦織の隣でソファに座りながらコクリと飲んだ。


「希愛ちゃん可愛いもん♪ 最近屋敷のほうで会えなかったし♪」


錦織も長雅も宝仙家の分家の息子と娘で、聖の親戚にあたる。

本家の命令とあれば言うことを聞くしかないというわけで、強制的に聖に従ったのだった。


歳の近いふたりとは昔から付き合いはあったが、聖と仲がいいかと言えば……そうでもない。

どっちかというと、希愛のために動いたようなものだ。

ふたりとも、子供ころに会った希愛が気に入っていた。


「オレもこのままここに通うかな。退屈しなさそうだし」

「聖もいるけど、いいの?」


そんなことを言う真樹だが、顔は面白いことがありそうだと笑っていた。


「希愛がいるから別にいいかなって。聖の邪魔すんのも面白いし」


ニヤリと悪戯っ子のように笑う。


「だよね? でも、ホント聖が邪魔だけどね♪」


長雅も面白そうに笑ってる。


「からかいすぎて怒らせないでよ。あとあと面倒だからさ」

「そんなのわかってるって。アイツ、希愛のことになると見境ないからな。大人げないし」

「ホント、大人げない♪」

「あそこはお祖父様もだし……」

「血筋か?」


真樹がボソリと呟くと、それを聞いていた錦織が間髪入れずに返事をした。


「はは……」


かもしれないと、真面目に思う真樹だった。



「希愛、早くおいで。今日は帰りに寄るところがあるって言っただろう。約束の時間に遅れる」

「ごめんなさい、聖くん。今いく」


そのころ希愛の教室では、迎えに来た聖にせかされて希愛が慌てて荷物をカバンに詰め込むいつものふたりの姿があった。






最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

これにて完結です。

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