16 疲れた時のもふもふ
一人になった私は寝間着に着替えると、勢いよくベッドに倒れ込んだ。
今日も本当に大変だった。体力的というよりかは、精神的に疲れた。
使用人から話を聞くことで、今まで知らなかったことがわかってきた。けれど、まだわからないことはたくさんある。
ソレイユが私に飲ませようとした毒の入手経路はどうなっているのか。ソレイユが自分で毒を仕入れられるとは思えない。
推測にしか過ぎないが、お父様は万が一私とロガンに子供ができた時に、流産させるつもりで、前々から毒を入手していたのではないだろうか。もしくは、何らかの理由で私を憎んでいて、機会があれば殺そうとしていた?
ソレイユにどうやって毒を手に入れたのか確認するのが一番早いが、彼女が口を割るわけがない。ソレイユは、侍女に罪をなすりつけるだけでなく、自分が疑われないようにするために、すんなりレイハート公爵家を出ていったのでしょう。
まさか、自分が飲めと言われるなんて思ってもいなかったでしょうね。
とにかく今日は眠って、明日から頑張ろう。仕事がたまっている上に、登城しなければならない。やらなければいけないことがたくさんある。
「おやすみ、ベェ」
「ベェェー」
「ウォフ!」
キングサイズのベッドの真ん中に私が、左にベェが横になっていたのだが、右側からルピの声が聞こえてきた。
そうだった。ルピもいたんだった。
「おやすみ、ルピ」
いや、ルピがいたんだった。で、終わらせる問題ではない。
「ルピ! 帰らないと駄目よ!」
「ワウゥ」
ルピは私の言葉に反応したものの、眠気に勝てなかったのか、目を閉じてしまい、数秒で寝息を立て始めた。
うう。可愛い。可愛いけれど困ったわ!
「ルピ! 待って! 眠っちゃ駄目よ! あなたはお家に帰って寝なさい!」
「ベェ! ベェ!」
起きてよと言っているかのように、ベェも鳴きながらルピを揺さぶる。けれどルピは、幸せそうにすやすやと眠り続けるだけだ。
「……仕方がないわね。ベェ、用件を紙に書くから、イライアス殿下の所に飛んで行って渡してもらうことはできる?」
イライアス殿下もルピがいなくなったことには気づいているはず。ここにいるということはわかってくれているでしょう。かといって、ルピを連れ戻しに戻って来たら、早く帰った意味がない。
大丈夫だと頭ではわかっていても、心配ではあると思う。付き合いの浅い私だって、急にベェがいなくなったら不安になると思うもの。
「ベェ!」
できると返事をしているのか。ベェは元気よく鳴いた。
イライアス殿下にベェの言葉は通じない。だから、ルピが私の所にいると書いた紙をベェの背中のシルバートレイの上に置いた。
「悪いけど頼むわね」
「ベェ!」
返事をした瞬間、目の前に飛んでいたベェの姿が見えなくなったのだった。




